吉田修一『路(ルウ)』あらすじと感想!【NHKドラマ化で人気の原作を読む】

 

『路(ルウ)』は、

台湾高速鉄道の建設をめぐる日本、

台湾の人々の生き様を描いた長編小説です。

作者である吉田修一

芥川賞をはじめとして、

山本周五郎賞、文学界新人賞などなど、

多くの文学賞を受賞されている、

超人気作家なので、ご存じの方も多いでしょう。

2020年には、波瑠さん主演で

NHKでテレビドラマ化されており、

それでこの作品の存在を知った方も

多いかもしれません。

この物語は一貫して一人の主人公の一人称視点で

展開されるのではなく、

様々な人物の目線から描かれています。

バラバラの点だった登場人物たちが

線で結ばれていき、結び付いていくのには、

読み進めていて快いものがありました。

純粋に物語として楽しめるだけでなく、

明日からを生きていく勇気をもらえる作品です。

また、舞台となる台湾の魅力も存分に描かれており、

読み終えるころには台湾に旅行に行きたくなる

こと間違いありません。

台湾って近いけど意外と知らないという人はもちろん、

台湾なら何度か旅行に行ったことがあるという方

にはより一層、読んでほしい作品です。

 

 

 

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吉田修一『路(ルウ)』あらすじ

 

1999年、台湾に日本の新幹線が走ることになり、入社4年目の商社員、多田春香は現地への出向が決まった。春香には忘れられない思い出があった。台湾を旅した学生時代、
よく知らないまま一日を一緒に過ごした青年がいた。連絡先をなくし、それ以後ずっと会えないままだった……。台湾と日本の仕事のやり方の違いに翻弄される日本人商社員、車輛工場の建設をグアバ畑の中から眺めていた台湾人学生、台湾で生まれ育ち終戦後に日本に帰ってきた日本人老人、そして日本に留学し建築士として日本で働く台湾人青年。
それぞれをめぐる深いドラマがあり、それらが台湾新幹線の着工から開業までの大きなプロジェクトに絡んでいきます。政治では問題を抱えていても、日本と台湾の間にしっかりと育まれた個人の絆を、台湾の風土とともに色鮮やかに描く『路(ルビ:ルウ)』。大きな感動を呼ぶ、吉田修一さんの渾身の力作です。

 

台湾高速鉄道の建設という、

台湾史上最大の建設プロジェクトにかかわる

商社の若手社員、多田春香がこの物語の主人公です。

彼女は台湾での鉄道建設プロジェクトに志願し、

日本に彼氏を残して台湾へと渡ります。

かねてから彼女は旅行などで台湾を訪れていたのですが、

実は彼女が台湾にこだわりを持つのには理由がありました。

それは、彼女がかつて台湾を訪れた際に、

道に迷っていた春香をスクーターの後ろに乗せて、

街を案内してくれた台湾人青年がいたからなのです。

彼女はその青年に思いを寄せている、

というわけではありませんが、

心のどこかに引っかかっていたのは事実です。

そして春香は台湾で日々汗を流し、

様々な人々と関わっていきます。

ちょうどそのころ台湾人青年、

劉人豪のもとにとあるメールが届きます。

その内容は、彼が偶然出会って台湾の街を

案内して以来探していた、

日本人女性が見つかったというものでした。

春香、劉人豪をはじめとした人物たちの境遇は、

台湾高速鉄道の建設進展とともに

大きく変わっていきます。

 

 

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『路(ルウ)』の魅力

 

登場人物たちが出会い、時には別れ、

考え方や感情が変化し成長していく様子は、

読んでいて本当に心地いいです。

バラバラだった都市を高速鉄道がつないでいくように、

バラバラだった登場人物たちが互いに結び付き、

とも呼べる関係を築いていくことこそが、

この作品の魅力ではないでしょうか。

この物語は複数の人物の目線で展開されますが、

視点となる人物たちは最初は全く関係がなく、

あたかも取り留めがないかのようにも見えます。

しかし、それを見事に一本の線、

へとまとめあげる作者の技量には、

目を見張るものがあります。

また、登場人物たちの心情の変化は、

私たちにも様々なことを学ばせてくれます。

何気なく過ごしている毎日を見つめ直す、また、

あって当たり前と思っている周囲の人たちとの

関係を改めてとらえ直す、

そのきっかけになるのではないでしょうか。

明日からをよりよく生きていくための勇気や、

活力を与えてくれる、そんな作品です。

読んでいて面白いストーリー性がありながら、

私たちにも多くのものを与えてくれる、

さすがは純文学と大衆小説両方の賞を

受賞した作家だと、

感嘆せずにはいられません。

 

 

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NHKドラマ「路~台湾エクスプレス~」

 

この作品は、

NHKと台湾のPTSの共同制作によって

2020年にドラマ化され、大きな反響を呼びました。

実際の高速鉄道が走っている映像など、

小説では味わえない良さがあります。

しかし、人々の絆が感動を与えてくれることは変わりません。

登場人物たちの織り成す物語が、

主演の波瑠さんをはじめとした役者さんたちが

息を吹き込むことによって、

また違った魅力を醸し出しています。

小説を読み終えたら、

是非とも味わっていただきたい作品です。

先にドラマを見たという方も、

原作を読むことで、

ドラマとは違う良さを味わってほしいですね。

少し長くはありますが、文章も読みやすく、

すらすら読めてしまうと思います。

小説はもちろん、ドラマも本当に良作であると、

胸を張っておすすめできる作品です。

 

 

 

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