古市憲寿『アスク・ミー・ホワイ』本のあらすじと感想!新感覚ラブストーリー

 

今回ご紹介する一冊は、

古市 憲寿(ふるいち のりとし)

『アスク・ミー・ホワイ』

です。

 

「新感覚のラブストーリー」

そんな表現が一番適当

なのではないかと

私は思います。

 

なぜ新感覚なのか、

という具体的な理由

についてはこれから

明かしていく訳なのですが、

 

なんといっても

読み終わった後に

今まで感じたことのない

感情に包まれていること、

言葉ではなかなか

表現しにくい気持ち

になっていること、

 

それこそが「新感覚」

なのだと思います。

 

これは実際に

読んでみないと

伝えるのは難しく、

ただ、読んでみたらきっと、

私が言っていることに

共感してくれるはずです。

 

それでは

新感覚ラブストーリーの謎を

少しずつ紐解いていきたい

と思います。

 

 

 

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古市憲寿『アスク・ミー・ホワイ』 著者のイメージとのギャップ

 

 

過去はね、変えられるはずなんだよ。
もしかしたら、未来よりもずっと簡単に

初めて港くんと会ったのは、大寒波が到来した冬の日だった。
港颯真・元俳優。写真週刊誌のスキャンダル報道によって、彼は、
少し前に芸能界から姿を消した。
ヨーロッパの街を転々としていたようが、
ここアムステルダムに住み始めたという噂は本当だったのだ。

初めはブルーやグレー、
途中から淡いピンクが重なったり。
彩りはあるけど、虹色と括れなくて、
すごく好きな世界でした。ーーー乃木坂46 高山一実

心も、身体も、酒も、誤解も。
溶け始めた瞬間が、最も艶めかしく、
意識の奥底を温める。
この物語には、人々の瘡蓋を溶かす、
蒼い陽射しがある。 ----リリー・フランキー

 

 

著者はご存知の通り、

今ではテレビなどで

引っ張りだこの

古市憲寿氏です。

 

皆様はこの方に

どのような印象を

お持ちでしょうか。

 

私は

「自分の意見を遠慮なく

率直に伝える人」

「様々な分野に精通し、

博識な人」

「時にはストレートに意見を

言いすぎて炎上する人」

 

などのイメージを

持っています。

 

おおよそ皆様も

同じような印象なのでは

ないでしょうか。

 

そんな印象、

いわゆる先入観を持って

この本を読み始めると、

まんまと著者が

仕掛けた罠にはまって

しまいます。

 

それは、テレビなどの

イメージでは

考えられないほどの繊細さ

や敏感さに溢れた文章で

あるからです。

 

登場人物の心情や

妄想の表現が

まるで女性が描いたような

センシティブな印象を

強く受けます。

 

また、舞台となっている

ドイツ・アムステルダムの

情景や主人公が

得意である料理の描写

なども抜群に豊かで細かく、

 

読者を物語の世界に

惹き込ませる大きな要因

となっています。

 

本当にテレビで見ている方

と同じ人物なのだろうかと

何度も疑ってしまうほどです。

 

このギャップへの戸惑いが、

まずは新感覚を

呼び起こす大きな原因

であることは間違いありません。

 

 

 

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古市憲寿『アスク・ミー・ホワイ』 同性愛を描くラブストーリー

 

新感覚の2つ目の理由は、

いわゆる「同性愛」を

描いた作品であることです。

 

私自身、

このテーマを描いた作品

を読むのは初めてでした。

 

ただ、一言で同性愛と

言ってくくってしまうと、

それは違う気もしています。

 

主人公は、これまで

あくまでも女性との交際しか

経験がなく、かつ、

彼女とは別れたばかりで

男性への好意は一度も

抱いたことのない

ごく普通の大人の男性でした。

 

ふとしたきっかけで、

昔名を轟かせた俳優と

知り合うことになり、

この俳優に次第に心を奪われ、

そういった感情へと

変化していくのです。

 

ただ、主人公本人でさえも

「これは、いわゆる今まで自分が異性に抱いていた愛という感情とは違う」

 

と自分の心と何度も

確認し合う作業を行っています。

 

強いて言葉で表現するなら

「憧れ」でしょうか。

 

憧れの存在が

物語の後半に進むにつれ、

明らかに「愛情」と分かる

表現へと変わっていきます。

 

この辺りも著者の言葉の

チョイスや表現方法が巧みで、

私も主人公と同じ

気持ちになってしまいそう

になるほどです。

 

ラブストーリーは

勝手に男と女の物語である

と決めつけていた自分が

恥ずかしくなりました。

 

 

 

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古市憲寿『アスク・ミー・ホワイ』 出会いや別れではないドキドキ

 

昔付き合っていた彼女と

よりを戻すか戻さないかの

ひと悶着、

 

お互い心惹かれ合っている

はずなのに

ふとしたことで喧嘩になり

距離を置くことになる、

 

などといった

ラブストーリーでは

ありがちな出会いと別れを

何度か繰り返す展開が、

この物語では一切ありません。

 

主人公の気持ちは

常にまっすぐでぶれる

ことがありません。

 

もちろん不安や絶望などには

悩まされるのですが、

だからと言って他の人に

気持ちが向いたり、

 

変に相手を傷つけてやろうと

人間の嫌な部分が見えて

しまったりすることがなく、

 

読んでいてとても

気持ちが良い

ストーリーでした。

 

これも新感覚を味わえた

理由の一つなのだと

思います。

 

紆余曲折、波乱万丈が

あるからこそ

絆は強くなるわけではなく、

 

一途で真っ直ぐな想いこそ

絆を強くする正しい方法で

あることが再認識でき、

 

読み終わってなんだか

心が軽くなった気がします。

 

最後の結末も決して

ドラマティックに

終わるわけではなく、

 

ふと心が温まって

終わる何気ない展開が、

最後まで好感の

持てる作品でした。

 

今年№1の

ロマンチックストーリー

という評価は

間違っていませんでした。

 

 

 

 

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