南杏子『ディア・ペイシェント 絆のカルテ』あらすじと感想!NHKでドラマ化も

 

今回ご紹介する一冊は、

南 杏子(みなみ きょうこ)

『ディア・ペイシェント 絆のカルテ』

です。

 

南杏子さんは

内科医で小説家です。

 

小説家になったのは

小説執筆にはまったから

という理由には驚かされます。

 

『ディア・ペイシェント 絆のカルテ』

のほかに

『サイレント・ブレス 看取りのカルテ』

『ステージ・ドクター ナナコが熱くなる瞬間』

の著書があります。

 

『ディア・ペイシェント 絆のカルテ』

で千晶が通っている

ロシア武術「システマ」教室

の呼吸法は神経を

落ち着かせるようなので

私も参加してみたいものです。

 

システマは呼気を刺激する

呼吸法(ブリージング)で

鼻から息を吸い、

口から「フッ」と吐き、

これを1分間に100回くらい

の速度で

フッフッフッフッフッフッと

繰り返していきます。

 

システマはロシア語で

「仕組み」を意味し、

心理の仕組みから集団心理まで、

 

さまざまな人の動きに

関する重カニズムを解明し

目の安全のために活用する

方法だそうです。

 

そんなシステマで平常心を

取り戻して仕事をしている

勤務医のことが書かれた作品

についてお話していきます。

 

 

 

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南杏子『ディア・ペイシェント 絆のカルテ』 佐々井記念病院の勤務医

 

病院を「サービス業」と捉える佐々木記念病院で内科医を務める千晶は、日々、押し寄せる患者の診察に追われていた。そんな千晶の前に、嫌がらせを繰り返す患者・座間が現れた。座間はじめ、様々な患者たちのクレームに疲弊していく千晶の心の拠り所は先輩医師の陽子。しかし彼女は、大きな医療訴訟を抱えていて……。現役医師による感動長編。

 

 

真野千晶は常勤内科医で

大きな病院では一般的

となっている3分診察を

こなしていました。

 

外来患者にはS「スムーズ」、

M「まどろっこしい」、

L「Low pressure」と

分類されています。

 

Sの患者は要領よく病状を

伝えてくれて説明もすんなりと

聞いてくれるので3分診察に

支障はありません。

 

Mの患者は少し世話が

焼ける感じで処方した薬も

用法通りに服用せずに

勝手に中止したりもするけど、

本人に悪気がないのだけど

診察時間は3分超えて

しまうところがあるようです。

 

不安を抱えている人は

どうしてもMの状態に

なりやすいのかもしれません。

 

問題はLの患者で

意味は低気圧から来ているよう

初めから

「何かあれば訴えてやる」

と身構えている場合も

あるので要注意です。

 

外来診察時に多いのは

圧倒的にMの患者で

生活習慣を聴こうものなら

「私が悪いの?」

と言い出して診察時間が

長引いたりします。

 

確かに

「血圧が上がっていますね。

塩分摂りすぎていませんか?」

と聞かれたら

「減塩醤油にしているけど…」

と反発したくもなる

のかもしれません。

 

どの職種でもそうですが、

質問の仕方だけでなく

受け答えによっても

相手がSにもMにも

Lにもなりえるということを

 

心にきざみながら

話をするほうが

いいかもしれません。

 

 

 

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南杏子『ディア・ペイシェント 絆のカルテ』 モンスターペイシェント

 

「病院はサービス業」

というイメージが

定着してきているのもあり

クレームが多くなりやすい

環境にあるようです。

 

医療サービスも他の業種の

サービスと同じように

料金に応じたサービスを

得られると思っていること

もクレームが増える原因

かもしれません。

 

もちろん医療サービスを

受ける人に悪気はないかも

しれないけど

ちょっとしたことで

M-Lの患者になってしまう

ような危なげなところも

あります。

 

処方された薬についても

診察時に

「この薬は欲しい」けど、

担当医が必要だと考えている

「その薬は余っているからいらない」

などというのは

医療サービスを違う

サービスと勘違い

しているようです。

 

診察する担当医は

その患者様のことを

考えて処方しているのに

自分はサービスを

受けているほうなので

服用する薬についても

選ぶ権利があるというのは

違和感しかありません。

 

もしかしたら病院は

そんなモンスターを

受け入れやすい環境

にあるのかもしれません。

 

そんな患者様にも

病院で対応するために

マニュアルがあります。

 

そのマニュアルには

「クレームにはまず感謝をしましょう」

「まずは謝罪の言葉を述べましょう」

「患者様が不快に思われていることに

耳を傾けましょう(傾聴)」

と書かれています。

 

命と向き合う医師の仕事を

しながらも

モンスターペイシェントにも

対応できるなんて

度量の広さを感じます。

 

 

 

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南杏子『ディア・ペイシェント 絆のカルテ』 真野千晶と父

 

真野千晶の父は

山梨の診療所で働く医師です。

 

千晶には認知症の母と

その世話をする

妹の4人家族です。

 

実家に帰ったときに父に

「患者さんって、いろいろだね」

に対して

「患者から見たら、

医者もいろいろだろうな、きっと」

と答えます。

 

クレームが多くて

びっくりしていると話すと父が

「お前の患者たちは

みている山が違う」

と病気を山に例えて

話し始めます。

 

「患者の症状、診断、治療、予後-それぞれがみんな違うことをていねいに説明してごらん。そしてその山を一緒に登るんだ」

「一緒に、患者ひとりひとりのペースに合わせてゆっくりと。それが患者に寄り添うということだから」

 

の言葉に千晶とともに

私の心の中であかりが

灯ったような気持ち

になりました。

 

患者にもっと寄り添って

いこうとした千晶に

モンスターペイシェント(座間)は

 

「必要な薬の処方を渋る信用できない医者だ」

「食事代を払わされた」

 

などのブログコメントを

拡散させます。

 

それだけではなく座間は

病院を痛烈に批判する

書き込みもし、

千晶の身も心も打ちのめして

しまいます。

 

様々な事件が起こるなか父に

「私もいつか訴えられるのかな」

と聞いてみたのです。

 

「訴訟は運じゃない。医者が何をやったかではなくて、どうやったか、で起きる」
「誠心誠意、ちゃんと説明したか-それが大きい。相手にもよるけど」

 

の返答に自分なりに

納得するのです。

 

「言」「宅」「言」は

「詫言」(わびごと)で

自分自身を責めて謝罪の意を

持ち続けることも必要だけど、

 

しっかりと話をすることは

より大切なことなのだ

と思います。

 

 

 

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