貴志祐介『硝子のハンマー (角川文庫)』小説の感想とあらすじ!防犯探偵榎本シリーズ1作目

 

今回ご紹介する一冊は、

貴志 祐介(きし ゆうすけ)

『硝子のハンマー』です。

 

『硝子のハンマー』は

長編推理小説で、

防犯探偵・榎本シリーズ

の第一作です。

 

貴志祐介は青春ミステリーや

ホラー小説、

さらにはSFなど

幅広いジャンルを手掛けていますが、

本格ミステリーに

位置付けられるのがこの作品です。

 

この作品は

第58回日本推理作家協会賞を受賞し、

その後シリーズ化、

 

さらには嵐の大野智主演で

ドラマ化もされているので、

ご存じの方も多いでしょう。

 

ドラマの題名は

「鍵のかかった部屋」なので、

よく勘違いされる方も

いるようですが、

 

この『硝子のハンマー』が第一作で、

『鍵のかかった部屋』は第三作です。

 

このシリーズの特徴は、

事件がすべて密室で

起こることにあります。

 

密室という手法は

簡潔で分かりやすく、

これまで数多くの推理小説の中で

使われてきましたが、

 

その中でもこの作品の

密室の完成度は

とても高いものになっています。

 

ドラマでご覧になった方も、

小説ではまた違った楽しみ方

ができるので、

ぜひご一読いただきたいですね。

 

 

 

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貴志祐介『硝子のハンマー』 あらすじ

 

 

日曜日の昼下がり、株式上場を間近に控えた介護サービス会社で、社長の撲殺死体が発見された。エレベーターには暗証番号、廊下には監視カメラ、窓には強化ガラス。オフィスは厳重なセキュリティを誇っていた。監視カメラには誰も映っておらず、続き扉の向こう側で仮眠をとっていた専務が逮捕されて……。弁護士・青砥純子と防犯コンサルタント・榎本径のコンビが、難攻不落の密室の謎に挑む。日本推理作家協会賞受賞作。

 

 

六本木センタービル

という12階建てのオフィスビルの、

10階から最上階までを占める

介護サービス会社ベイリーフ

が今回の事件の舞台です。

 

ベイリーフでは、

株式上場を控えていることから、

日曜日でありながらも

重役らが休日出勤していました。

 

社長の頴原昭造、副社長の頴原雅樹、

専務の久永篤二の三人が揃うと、

 

新サービスの中核となる

介護システムを決めるための

実演会が行われます。

 

その後昼食をとり、

社長と専務は仮眠、

雅樹は外出とそれぞれ時間を

過ごしました。

 

2時間ほど外出して、

雅樹が会社へと戻ってきても、

 

社長と専務はまだ眠っており、

雅樹はそのことを不審に思います。

 

すると、窓ふきの清掃員から

社長が倒れていると

聞かされるのです。

 

社長室に入って確認すると、

社長の脈はすでに

ありませんでした。

 

社長室は最上階にあり、

暗証番号を求められるドアや、

監視カメラなどがあるため、

誰にも見られずに

現場に出入りすることは不可能、

つまり完全な密室でした。

 

そのため、

社長室に近い部屋で

仮眠をしており、

唯一セキュリティをくぐる

必要のない専務久永が

逮捕されます。

 

しかし、久永は無罪を主張、

 

弁護人となった青砥は

防犯コンサルタントの榎本径に

密室の解明を依頼するのです。

 

 

 

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貴志祐介『硝子のハンマー』 の魅力

 

この物語は

二つの部分に分かれていて、

 

前半で榎本と青砥が

様々な方法を模索しながら、

事件の真相に

たどりつくまでを描いています。

 

実際に真犯人が犯行に

及ぶまでを描くのは後半であり、

この形式は倒叙形式とも

呼ばれる方法です。

 

密室が舞台となるこの作品では、

容疑者や使える方法も

限られており、

 

私たち読者もあれかこれかと

推理を巡らせながら

読めるのも楽しみの一つですね。

 

この物語の最大の魅力は、

何といっても

練りこまれた高度なトリックです。

 

一見完璧で崩すための糸口

すら見いだせない密室が、

 

榎本の手によって少しずつ、

しかし確かに解決されていく様子は、

読んでいてとても心地が

いいものですよ。

 

しかし、魅力的なのは

ストーリーだけではありません。

 

登場人物たちも

一人一人が個性的で、

魅力にあふれた人物たちです。

 

また、文章も読みやすいだけでなく、

描写力にも優れていて、

さすがは超人気作家と

舌を巻かずにはいられません。

 

 

 

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貴志祐介『硝子のハンマー』 ドラマ「鍵のかかった部屋」

 

『硝子のハンマー』を

第一作とする

防犯探偵・榎本シリーズは、

 

第三作「鍵のかかった部屋」

の題名でフジテレビから

ドラマ化されています。

 

主演は嵐の大野智、

そのほか戸田恵梨香や

佐藤浩市など人気俳優、

女優が出演しており、

大人気を博したので

ご存じの方も多いでしょう。

 

「月9」枠のドラマは

恋愛ものが多かったのですが、

 

この作品は本格ミステリーであり、

異例の作品ということでも

話題になりました。

 

キャッチコピーの

「密室は、破れました」は、

 

劇中で大野くん演じる榎本が、

心理にたどりついた時に

呟くシーンも印象的です。

 

また2020年には

新型コロナウイルスの影響で

放送されていた

ドラマの放送が延期され、

8年ぶりに特別編が放送されました。

 

それによりドラマはもちろん、

原作である『硝子のハンマー』

初めとした防犯探偵・榎本シリーズの

人気も再燃しています。

 

作品そのものは決して

新しくはないですが、

 

このブームの影響で

平積みにして販売している本屋さん

も少なくありません。

 

ぜひこの機を逃さずに

名作をお楽しみください。

 

 

 

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