梶山三郎『トヨトミの野望 (小学館文庫)』あらすじと感想!どこまで実話なのか!?

 

今回ご紹介する一冊は、

梶山 三郎(かじやま さぶろう)

『トヨトミの野望』です。

 

梶山三郎さんは経済記者で

覆面作家でもあります。

この『トヨトミの野望』

衝撃デビューをした作品です。

 

「本当のことを伝えたかったら、小説を書くしかない」(アーサー・ヘイリー『ホテル』)

 

に書かれていることから考えると

『トヨトミの野望』

あながち嘘ではないのかも?

しれません。

 

そんな梶山三郎さんは

メディアが嫌いなのか、

顔なども不明です。

 

顔は出ていないけど

Twitterのつぶやきの中で

『自動車会社が消える日』

の本を読んだことや

大手メーカーが病魔に

侵されているのかも、

などのつぶやきを読みました。

 

ただ経済の行く先を

見守るだけでなく

自分なりのも考えて文字に

しているのだと理解しました。

 

一般的に経済書はどうしても

難しくてなかなか読もうと

されないけど

『トヨトミの野望』を読んでみて

日本経済で起こっていることに

触れるのも何かしら

新鮮な感じがします。

読んでみると全く違う世界

のものでもないのではと

思うところの話をしていきます。

 

 

 

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梶山三郎『トヨトミの野望』 サラリーマン社長

 

 

経済界を震撼させた超問題作奇跡の文庫化。

「本書の内容のどこまでが事実でどこまでがフィクションなのか。
これについて、巨大自動車企業に極めて近い経営者は99%が事実と私に言い切った。一方で良識ある自動車業界担当の官僚は、まあ、半分くらいじゃないですかね、と口を濁す。名古屋界隈の書店から本書はすべて消えた、とか(中略)さまざまな噂が駆け巡るが、真実を知るものは本書の登場人物のモデルとされる人物だけだろうし、彼らが本書の真偽を語ることは絶対にないだろう。
本書は週刊誌ではないのだから、真偽のほどなどどうでもいい。フィクションと割り切って読むと、これほど面白い企業小説はない」(夏野剛氏による解説より)

 

 

サラリーマン社長の

武田剛平には自分にも厳しく

経営者の心得を忘れずに

仕事をしています。

 

「寝ても覚めても経営のことを考えることが経営者の本来の姿です。
経営者になった以上血ヘドを吐く覚悟で仕事に取り組まなければならない。
仕事中に死んでも社員とその家族を食わせていく者の責務なのです」

 

と独自の心得を持っています。

お金に関する考え方も

かなり厳しく銀行に関しても

 

「頼まれたから借りてやったとか、審査して貸したのだから銀行にも責任がある。とめちゃくちゃな言い訳をして平然推しているような卑怯な経営者が増えてきています。
そのことが日本の停滞、活力のなさに繋がってきたのでは?借りたものは必ず返す。
なにがあったとしても命がけで返す。これが世の中の常識でしょう」

 

という言葉には

その通りだなと納得です。

その武田社長が

日本の将来を憂え

「このままではいずれ日本は沈没する」

「その最たるものが人口減だがそれに対する対策はほとんどなされずに危機感もかなり薄い、この状態が続くと国力が衰退する一方で間違いなく日本は終わります」

 

その言葉に背筋が冷たく

なったのは私だけでは

ないはずです。

 

 

 

 

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梶山三郎『トヨトミの野望』 スキャンダル

 

御子柴宏が

サラリーマン社長に

就任したときに

武田剛平は会長に

なっていました。

 

米国、ニューヨーク現地法人

「アメリカ・トヨトミ」

の代表取締役社長の

堤正也は重大なトラブルに

巻き込まれていました。

 

それは社長秘書の

タカコ・レイモンドに

セクハラ疑惑で訴えられたことです。

 

もともと独身の堤はそれを

恋愛ととらえたのなら

問題ないと考えていけど、

事態はとても深刻なもの

となっていました。

 

裁判にするかの話し合いの中で

武田会長は和解を提案しました。

それは長期の裁判になると

致命的なイメージダウンを

被り多額の損失になるけれど

和解すれば一切外に漏れずに

会社を守ることになるからです。

 

和解金はとても高額ですが

武田会長は米国での堤の働きを考え、

米国内での大量生産・販売の実現、

販売促進などからもトヨトミ自動車に

大きな利益をもたらしていることも

和解の理由となっていたのです。

 

実際にセクハラをしていない堤は

和解ではなく裁判を起こしたかったけど、

会社のイメージを守るためにも

和解を承諾するしかありませんでした。

 

現在の会社員はなにがきっかけで

訴えられるかわからず、

それは自分が正しくても

加害者にも被害者にもなる

そんな世の中なのです。

 

ある意味、会社員はどんな場面でも

緊張していなければいけない

のかもしれません。

まさにビジネスは戦争といっても

過言ではありません。

 

 

 

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梶山三郎『トヨトミの野望』 豊臣家

 

2008年リーマンショックの影響は

トヨトミにも及んでいました。

豊臣本家が社長の座を

今度こそと取り戻すべきだと

統一は考えていました。

 

丁度その時、

トヨトミ自動車は営業成績の

下落と更なる地獄が迫っていました。

そのため豊臣新太郎は

統一に「なにもするな」と告げます。

 

そう言われても、

統一もじっとしていることはなく

非情なまでの粛清人事の果て

権力を手中に収めて、

わずかに手に光を見出して

日本のトヨトミは生き残ったのです。

 

それもつかの間、

超高級セダン「ゼウス」等の

フロアマットがずれて

アクセルペダルに引っかかり

ペダルが戻らなくなった可能性が

あったにも関わらず

なかなかリコールしませんでした。

 

その後、トヨトミのあまりの

対応の遅さに批判も激しくなり

トヨトミブランドは失墜の一途を

たどりました。

 

そうなる前の統一の記者会見での

翻訳された批評のベストセラー経済書

の一筋を引いて雄弁に語ったこと

が心に残っています。

 

それは

「企業が凋落していく段階には五段階があります。
第一段階は「成功体験から生まれる自信過剰」
第二段階は「規律なき規模の追求」
第三段階は「リスクと危うさの否定」
第四段階は「救世主にすがる」
最後の第五段階は「企業の存在価値が消滅」」です。

 

トヨトミの社長は

武田剛平が続投していれば

失墜しなくて済んだのかもしれません。

実際に会社も国もトップが

与える影響はとても大きい

といえます。

 

 

 

 

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