宮部みゆき『きたきた捕物帖』あらすじと感想!【待ってた!新シリーズ連載始動】

 

読む前からワクワクドキドキ

「きたきた捕物帖」

 

宮部みゆき氏は、

「模倣犯」「小暮写眞館」「理由」など

たくさんの人気作品を世に生み出しています。

「蒲生亭殺人事件」など現代ものの他にも

「おそろし」「初ものがたり」など

ちょっぴりホラー要素のある時代ものなども

人気があります。

映像化もされていてファンではないけれど、

テレビで観て作品を知った方も多いのではないでしょうか。

「さくらほうさら」

そして今回紹介する「きたきた捕物帖」など

一見すると意味がよくわからないタイトル

がつけられていているのも

宮部氏の特徴のひとつです。

しかし物語を読み進めるうちに

タイトルの意味がわかり、

目に前の霧がすっきりと晴れたような

感覚にしてくれます。

「きたきた捕物帖」は物語のどのあたりで

タイトルの謎が解けるのか、

「きたきた」とは何なのか、

読む前からもワクワクさせてくれるのが

「宮部みゆき」です。

 

 

 

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人生の試練は突然に

 

宮部みゆき、久々の新シリーズ始動! 謎解き×怪異×人情が味わえて、著者が「生涯、書き続けたい」という捕物帖であり、宮部ワールドの要となるシリーズだ。
舞台は江戸深川。いまだ下っ端で、岡っ引きの見習いでしかない北一(16歳)は、亡くなった千吉親分の本業だった文庫売り(本や小間物を入れる箱を売る商売)で生計を立てている。やがて自前の文庫をつくり、売ることができる日を夢見て……。
本書は、ちょっと気弱な主人公・北一が、やがて相棒となる喜多次と出逢い、親分のおかみさんや周りの人たちの協力を得て、事件や不思議な出来事を解き明かしつつ、成長していく物語。
北一が住んでいるのは、『桜ほうさら』の主人公・笙之介が住んでいた富勘長屋。さらに『<完本>初ものがたり』に登場する謎の稲荷寿司屋の正体も明らかになるなど、宮部ファンにとってはたまらない仕掛けが散りばめられているのだ。
今の社会に漂う閉塞感を吹き飛ばしてくれる、痛快で読み応えのある時代ミステリー。

 

渋くていなせで女性にモテモテ

岡っ引きとしての腕は確かで

喧嘩の仲裁もお手物もの。

そんな役者のようにいい男の

「文庫屋の千吉親分」が小唄の師匠と、

熱燗をやりながら食べた河豚鍋の河豚

にあたって死んでしまうところから物語は始まります。

主人公の「北一」は三歳のときにおっかさんと

はぐれて迷子になり、

とりあえず親分に引き取ってもらって

そのまま居ついた形でした。

親分が工夫をした「文庫」は商売として

大当たりしています。

文庫屋は一の子分とその嫁が事実上

切り盛りをしています。

親分が亡くなって文庫屋は誰が、

岡っ引きの跡目は誰か大もめになります。

もめた末に親分のおかみさんと北一は

家を追い出されることになり、

一の子分以外は散り散りになってしまいます。

なぜなら親分は子分の誰にも

跡目を継がせるつもりはなかったからです。

おかみさんは目が見えず心配な主人公は

文庫売りの仕事を続けさせてもらって、

おかみさんの様子をたびたび見に行きます。

そんなおかみさんですが見てきたように

物事をぴたりと言い当ててしまいます。

まるで「千里眼」のような眼を持っていると

北一は驚き思います。

おかみさんと、

何かと面倒を見てくれる長屋の差配「富勘」と、

その他にも知り合い関わる人たちとともに

北一は「ふぐと福笑い」から

「冥土の花嫁」まで事件に遭遇し、

一生懸命に解決しながら毎日を過ごしていきます。

北一が関わる人と縁が広がり、

魅力的な人物がたくさん登場して、

いつのまにか物語の世界に

グイグイ引き込まれていきます。

 

 

 

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つらくて暗い道でも一筋の光が差す

 

生い立ちのせいか、

外見のせいか主人公の北一は自分に自信がなく

一歩さがってしまうような、

割り切りが早い部分が見えます。

その部分をじゅうぶんに承知している

おかみさんや周りの人たちに助けてもらいながら、

北一は自信をもって生きていけるようになります。

宮部みゆき氏の作品はちょっぴり切なく、

つらく苦しい思いもしますが、

ただ暗いだけではなく一筋の光が見えるような部分も

しっかり描いています。

しっかりと描かれることで

私たちは主人公や主人公のまわりの人物とともに

ハラハラドキドキ

物語の世界に夢中になってしまう

のかもしれません。

 

 

 

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登場人物たちと主人公の成長を見守る

 

主人の北一の周りの大人たちは

一癖の二癖もあり底が見えませんが、

登場人物は善い人も悪い人も

しっかりしたキャラクターで描かれています。

北一と一緒になって

「イラッ」としたり「カチン」ときたり

してしまうことがあるくらいに、

しっかりと人物像が確立しています。

そのことがさらに物語を面白く、

魅力的にしているといっても過言ではない

と思いました。

北一は一見頼りなく自分はなんの役にも立たない

と悲観しますが、

要所要所でしっかり自分で考え行動します。

不器用で失敗もありますが

今まで結んできた人との縁も使い、

助けられて事件を解決に導きます。

周りの大人が「何かあったら声をかけてくれ」

と北一に協力をするのは、

真っすぐで素直で優しくて、

何より一生懸命に人を思いやることができる

からだと読んでいて気づかされました。

北一も協力者のひとりだった人物と

「友」と呼べるような関係を築くことが

できそうです。

物語の中では今までの宮部作品に

登場した人物の存在が示されていて、

お楽しみのひとつとなっています。

「きたきた捕物帖」のタイトルの意味が分かり、

どうか北一の周りの人たちとの縁が

続きますようにと思うと同時に、

次巻に期待をしてしまうほど

「きたきた捕物帖」は魅力的な作品

になっています。

 

 

 

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