劉慈欣『三体Ⅱ 黒暗森林』感想とあらすじ!コロナ禍の世界批判合戦とリンクする

 

今回ご紹介する一冊は、

劉 慈欣(りゅう じきん)

『三体Ⅱ 黒暗森林』です。

 

「三体Ⅱ 黒暗森林」は、

世界中で人気の

中国人SF作家の劉 慈欣(りゅう じきん)さんの作品で、

ヒューゴー賞を受賞した

「三体」の第2弾の作品です。

第一弾の「三体」は、

科学技術が地球よりも遥かに発達した三体世界から、

地球が侵略されることが

分かったところで終わりました。

三体世界から侵略される1000艦の

宇宙艦隊が地球に到達するまで

400年ということが分かっており、

それまでに三体世界に対抗する戦力を

開発しなければなりません。

しかし、地球の科学技術の発展を阻止するために

「智子(ソフォン)」という陽子サイズの人工知能体

が地球に送られており、

地球の作戦などはすべて「智子」を

通じて三体世界にばれてしまうという

絶望的な状態でした。

それを踏まえて『三体Ⅱ 黒暗森林』では、

人類が三体世界の侵略に対抗する姿

を描いています。

それでは、『三体Ⅱ 黒暗森林』

を書評していきます。

 

 

 

 

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劉慈欣『三体Ⅱ 黒暗森林』面壁者の作戦の謎解き

 

 

人類に絶望した天体物理学者・葉文潔(イエ・ウェンジエ)が宇宙に向けて発信したメッセージは、三つの太陽を持つ異星文明・三体世界に届いた。新天地を求める三体文明は、千隻を超える侵略艦隊を組織し、地球へと送り出す。太陽系到達は四百数十年後。人類よりはるかに進んだ技術力を持つ三体艦隊との対決という未曾有の危機に直面した人類は、国連惑星防衛理事会(PDC)を設立し、防衛計画の柱となる宇宙軍を創設する。だが、人類のあらゆる活動は三体文明から送り込まれた極微スーパーコンピュータ・智子(ソフォン)に監視されていた! このままでは三体艦隊との“終末決戦”に敗北することは必定。絶望的な状況を打開するため、前代未聞の「面壁計画(ウォールフェイサー・プロジェクト)」が発動。人類の命運は、四人の面壁者に託される。そして、葉文潔から“宇宙社会学の公理”を託された羅輯(ルオ・ジー)の決断とは? 中国で三部作合計2100万部を突破。日本でも第一部だけで13万部を売り上げた超話題作〈三体〉の第二部、ついに刊行!

 

 

智子によって情報が筒抜けの中、

「智子」が唯一人類から情報を

獲得できないことは、

人類の思考でした。

そのため、人類は4人の人物に

軍を動かせるほどの権限を与えます。

この4人の人物が面壁者です。

面壁者は、三体世界の侵略に対しての作戦

を三体世界だけでなく、

人類に対しても欺かなければならず、

孤独な戦いになります。

また、「智子」を神としている三体協会

という敵との戦わなければならず、

追い詰められていきます。

主に上巻では、面壁者が三体世界に対する

対抗手段としてとっている行動と、

それを分析して作戦を暴こうとする

三体協会とのやり取りは、

『三体Ⅱ 黒暗森林』の見どころの1つです。

面壁者が取っている行動は、

作戦が分からないように人類を

騙さなければならないため、

読者を巧みに騙してきます。

伏線がすべて回収される様子は

とてもスッキリするうえ、

よくそんな作戦を思いつくと感動します。

 

 

 

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劉慈欣『三体Ⅱ 黒暗森林』三体世界からの脅威に対する大衆の混乱

 

『三体Ⅱ黒暗森林』では、

三体世界からの侵略に対して大衆の混乱の状態

が克明に書かれています。

主に大衆について書かれている場面は、

三体世界の侵略が判明した時と、

実際に三体世界の攻撃が始まった時の2つです。

デストピアの小説では、

大衆の混乱の場面はよく書かれていますが、

この本の場合は、状況を淡々と描写しており、

その描写によって、

より残酷さが伝わってきたと思います。

特に印象に残った場面は、

地球と別の星に逃げようとしている人

を引きずり降ろそうと行動する群衆です。

人類の存続のために、

世界中が一致団結して

突き進まなければならない時に、

足の引っ張り合いをしています。

これは、コロナウイルスに対する

世界各地の批判合戦に似ている部分もあると感じ、

このようになる運命は避けられないのかと感じました。

本当の人類の危機が迫った時に、

人類全体で協力できる世界

なってほしいと強く思います。

 

 

 

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劉慈欣『三体Ⅱ 黒暗森林』宇宙社会学などの興味深い新理論・科学技術描写

 

最初の場面で、第一弾の「三体」で、

三体世界へ地球の位置を知らせた

葉文潔(イエ・ウェンジエ)が主人公である

羅輯(ルオ・ジー)に対して

宇宙社会学について教えていた場面があります。

これは、誰も研究していないような

内容の新しい理論で、

この本の題名でもある

暗黒森林問題という理論の宇宙版です。

この宇宙社会学が三体世界との戦いにおいて、

非常に重要な役割をなすのですが、

最後の最後まで何に使われるかが分からず、

種明かしされたときは感動しました。

その他にも新しい理論として、

脳科学の潜在意識への洗脳技術や、

三体世界の進んだテクノロジーが出てきます。

どれも根拠などが現実的に描写されており、

とても納得できるうえ、

科学技術への興味や関心が強くなりました。

また、先端の天文学的現象や原子力の理論、

コンピューターサイエンス、

ウイルス学などが作中で多発するので、

SF好きや科学技術に対して理解が深い人は

本当に楽しめる要素が多い作品だと思いました。

 

 

 

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