今回ご紹介する一冊は、
たかのてるこ 著
『ガンジス河でバタフライ』
です。
たかのてるこさんは、
旅人・エッセイストとして7大陸、
70カ国を飛び回っています。
また、テレビプロデューサーとして
自ら「制作」と「旅人」を兼ねた旅番組を
OAする等、ユニークな活動をしており、
まさに「好きなことを仕事に」している方と言えます。
『ガンジス河でバタフライ』は、
著者が初めて一人旅に出ることを
決意するところから始まります。
もともと人見知りで人一倍コンプレックス
の強かったてるこさんは、
母が突然腹話術を始めたのをきっかけに、
「何かを始めるのに遅いことはない。
私にも何かできるはず」と一念発起し、
20歳にして初めての一人海外旅行を
急遽決行してしまいます。
その行動力と実行力に驚きましたが、
不安で一度予約をキャンセルしようとしたり、
家族や知り合いに電話してお別れの挨拶をする等
の葛藤する気持ちもリアルに描かれています。
「旅のバイブル」としてぜひ読みたい一冊です。
目次
小心者だから旅をする
20歳にして、長年夢見ていたひとり旅に出たてるこ。極端な小心者だからこそ、五感をフルに稼働させて、現地の人とグッと仲良くなっていく。インドでは聖なる河ガンジスを夢中で泳ぎ、ぶつかってしまった人に謝ると、なんと流れゆく死体だった……。ハチャメチャな行動力とみずみずしい感性が大反響を呼んだ、爆笑紀行エッセイ第一弾。
海外へ一人旅する人というと、
流暢な英会話に社交的でアクティブなイメージを
想像するでしょう。
しかし著者が一人旅を決意したのは、
「やりたいことをやれていない」
小心者の自分から脱出するために
ありったけの勇気を振り絞って、
その勢いで申し込みをしてしまいます。
しかも出発は3日後というから驚きます。
そして、翌日にはそのプレッシャーに
負けそうになりキャンセルを試みようとするのですが、
料金の払い戻しができないことで
半ば諦めた形で旅行に行くことになります。
そこで引き返せないことを再認識し、
身の危険を心配するあまり、
よく眠れないまま当日を迎えることになるのです。
このように感情豊かにありのままを
綴っている所に小気味よさと潔ささえ感じてしまいます。
この著者の何が凄いかというと
「不安だけど行動しよう」というマインドを
優先して進んでしまうところです。
ガイドブックさえも持たずに海外旅行へ
行くという所もまた素敵ですね。
恐怖心に打ち勝つためのインド旅行
お兄さんがインド旅行から帰ってきた途端に
倒れてしまったことにより
恐怖感を抱くようになったインド。
もしも私だったら、
「インド旅行だけには絶対行くまい」と心に誓いますが、
著者は恐怖心に打ち勝つため
ガンジス河でのバタフライに挑戦することを決めます。
思い立ったが吉日という具合に、
今回も数日後に出発する予約をし、
ガンジス河でバタフライをすべくインドへ旅立ちます。
ガンジス河は聖なる河であり、
生と死が共存する場所。
そこで、
彼女は様々なカルチャーショックを受けますが、
その一つひとつを自然に受け入れ、
楽しんでいきます。
好き嫌いの分かれるインド旅と言われていますが、
お調子者の性格が功を奏し、
フンドシいっちょの少年たちを前に
華麗にバタフライをやってのけたのです。
そうして、海外でやりたいことを叶えていくうちに、
自分自身の夢や目的が明確になり、
日常のありがたさに気付いたことで
帰国を決心します。
旅は出会いの連続
てるこさんは今回初の海外で
一人旅をしたわけですが、
行く先々で様々な人との出会いがありました。
その出会った人達が誰もみな魅力的に描かれていますが、
てるこさんの明るくユニークな人柄が
そういった人達を引き寄せているように思います。
忙しなく締め切りに追われて日々を
過ごしてきた日本から脱出し、
海外で一人になることで本来の自分らしさを
見出せたのではないでしょうか。
人生は出会いの連続です。
今日会えた友人とまたいつ出会えるのか
なんて誰にも分かりません。
毎日過ぎていく時間は、
決して同じではないのにマンネリ化してしまい
つい当たり前の日常になってしまいます。
だからこそ、自分を見つめ直す一人の時間が
必要なのかもしれませんね。
本来の自分が分からなくなってしまい、
小心者の自分が顔を覗かせた時、
ありったけの勇気を振り絞って旅に出てみよう。
きっと今まで見えなかった新しい自分に
出会えるのではないでしょうか。
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