塩田武士『罪の声』小説版あらすじ感想!映画化「昭和最大の未解決事件を圧倒的スケールで描く」

 

今回ご紹介する一冊は、

塩田武士(しおたたけし)

『罪の声』です。

 

『罪の声』

昭和の未解決事件である

「グリコ・森永事件」

をテーマにした

ノンフィクション小説の様な

フィクション小説です。

 

「週刊文春ミステリーベスト10」第1位、

本屋大賞第3位を受賞しており、

2020年の秋には小栗旬と星野源が

主演での映画化も決まっています。

 

作者の塩田武士さんは、

神戸新聞社の元記者で、

その経験や取材能力を生かした小説

を出版しており、

最近では俳優の大泉洋を徹底取材した

小説「騙し絵の牙」も有名な作品です。

 

『罪の声』は、

父の遺品から昭和最大の未解決事件である

「ギンガ・萬堂事件」で使用された

音声テープが見つかったテーラーの男性と、

未解決事件を取材する

新聞記者の2人の主人公が、

未解決事件の真実に迫っていく様子

を描いた小説になります。

 

それでは、昭和最大の未解決事件が

テーマの圧倒的なスケールで

描かれている『罪の声』の書評

をしていきます。

 

 

 

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塩田武士『罪の声』グリコ・森永事件の取材の細かさ

 

逃げ続けることが、人生だった。

家族に時効はない。今を生きる「子供たち」に昭和最大の未解決事件「グリ森」は影を落とす。

「これは、自分の声だ」
京都でテーラーを営む曽根俊也は、ある日父の遺品の中からカセットテープと黒革のノートを見つける。ノートには英文に混じって製菓メーカーの「ギンガ」と「萬堂」の文字。テープを再生すると、自分の幼いころの声が聞こえてくる。それは、31年前に発生して未解決のままの「ギン萬事件」で恐喝に使われた録音テープの音声とまったく同じものだった――。

未解決事件の闇には、犯人も、その家族も存在する。
圧倒的な取材と着想で描かれた全世代必読!
本年度最高の長編小説。

昭和最大の未解決事件―「ギンガ萬堂事件」の真相を追う新聞記者と「男」がたどり着いた果てとは――。
気鋭作家が挑んだ渾身の長編小説。

 

『罪の声』の一番の魅力は、

テーマである「グリコ・森永事件」

の取材の細かさです。

 

作中では「ギンガ・萬堂事件」と

名前を変えている「グリコ・森永事件」は、

菓子メーカーや食品メーカーを

対象とした脅迫事件で、

グリコの社長の誘拐や青酸ソーダを

商品に混入させるということがあった

昭和最大の未解決事件と

いわれている事件です。

 

『罪の声』では、

この「グリコ・森永事件」を、

名前を変えただけで忠実に再現

しています。

 

犯行に使われた脅迫の

音声テープの再現から、

誘拐、身代金の受け渡しの説明の箇所は、

まるで真実の様に書かれており、

違和感なく読むことができました。

 

これほど、違和感なく読めるように

書くことは綿密な取材が必ず必要だと感じ、

作者に対して尊敬の感情をいだきました。

 

その他にも、作中で圧倒的な存在感があった

「キツネ目の男」や、

ひらがなを使った脅迫文の再現など

がリアルに描かれているところも

見どころです。

 

 

 

 

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塩田武士『罪の声』次々と現れていく驚きの新事実と真実に迫るワクワク感

 

2人の主人公が、

事件を調べていく中で

発見する新事実がすべて驚きの発見で、

読んでいてとてもワクワクします。

 

そして、その新事実をもとに

徐々に事件の真相に迫っていく様子は、

読んでいてどんどん緊迫感が増していき、

飽きさせずに読むことができました。

 

新事実を発見した場所や、

犯人が裏でやり取りを行っていたと

思われる場所など、

新事実に関係する説明の箇所には、

必ず起こった事件の詳細から

派生しています。

 

この部分を読んでいて、

新事実にワクワクするだけでなく、

塩田武士さんの徹底的な取材力に

とても驚かされました。

 

そして、主人公が

「ギンガ・萬堂事件」

の真相に迫っていくにつれ、

自分の父親が「ギンガ・萬堂事件」の犯人

ではないかという疑念が高まります。

 

その時の主人公が家族や仕事

のことを思い、

この事件の真相に迫るのが

本当に正しいのかという葛藤も

見どころの1つです。

 

 

 

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塩田武士『罪の声』未解決事件を題材にした作者の思いを想像して

 

私自身「グリコ・森永事件」は、

この『罪の声』を読むまで

名前を知っている程度の事でした。

 

この『罪の声』を読んで

「グリコ・森永事件」について

調べましたが、

どれほど日本中を騒然とさせて、

被害を出したかをはじめて知りました。

 

ほとんどの事件では、

犯人が捕まり、

その犯人に対して法律で

裁かれることにより、

被害者の心が少しは

落ち着くと思っています。

 

しかし、時効を迎えた未解決事件

となれば、

犯人は逮捕されておらず、

被害者は行き場のない怒りを

常に持って生きていかなければならず、

とてもつらいだろう、と感じました。

 

その様な人のために、

事件を風化させないという

強い思いのもと、

塩田武士さんはこの小説を

徹底的な取材されて、

『罪の声』を書かれたのだと思います。

 

文学賞を取ることや、

映画化にもなり、

より事件を風化させずに済む

ということは、

被害者にとっても、

日本にとっても大変重要なこと

だと思うので、

素晴らしいことだと感じています。

 

ぜひ皆さんも、

読んでみてはいかがでしょうか。

 

 

 

 

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