本日ご紹介する一冊は、
ハ・テワン 著
『すべての瞬間が君だった
きらきら輝いていた僕たちの時間』
です。
今回の書籍は、
韓国からの一冊です。
このテワン氏は
作家で詩人でもあり、
今の時代らしく
SNSで人気を獲得してきた
人らしいですね。
この『すべての瞬間が君だった』は
デビュー2作目の作品で、
韓国国内ではかなり
爆発的なヒットをしました。
韓国のドラマ
「キム秘書はいったい、なぜ?」
の作中で本著が使用され、
ミュージカル化もされてます。
心配事があって眠れぬ夜、
大事な人の事を思っている時、
疲れ、傷ついた時。
この本が少し背中を
支えてくれるような
癒しの本になるのでは
ないでしょうか。
それくらい、どのページを
開いても甘く切ない言葉
が並んでいました。
韓国ドラマのように
ベタな「甘い言葉」の
オンパレードで
くどいと思う読者も
いるかもしれませんが、
今の韓国社会で
このような本が流行っている
という事を理解するためにも
良本です。
目次
ハ・テワン『すべての瞬間が君だった』 「僕」が「君」に綴った詩集
韓国でたちまち
大ベストセラー50万部突破!これは、韓国のSNS、エンタメ業界が熱狂した
胸がしめつけられるほど甘く、もどかしい運命のお話――。あのK-POPアイドルも愛読と噂される、
不器用ながらも温かい恋と人生と「君と僕」を
みずみずしく綴った、心に染みわたるエッセイ――。「こんなにめちゃくちゃで勝手な世の中を
しょっちゅう悲しみ
ときどき笑いながら
耐え抜いているあなたは
もしかしたら本当にすごい人なのかもしれない」
この『すべての瞬間が君だった』は
最初から最後まで、
自己肯定の言葉が
並んでいます。
過去、現在、そして未来
のすべての瞬間瞬間を
肯定していくこと。
その瞬間を共に過ごした
人々に対して、
感謝していくこと。
全ての瞬間に価値がある
ということだと思います。
韓国からの翻訳本は
最近多く書店に
並んでいますね。
淡い色を基調にした、
落ち着くような表紙が
特徴的です。
丁度以前にも、
『あやうく一生懸命生きるところだった』
を紹介しましたが、
表紙の雰囲気、
内容とともに
同じ系統ですね。
僕が君に対して、
様々なメッセージを
詩集形式で綴っていきます。
「君」を誰に設定するのかは、
読者自身にゆだねられている
と思います。
本では恋人という設定ですが、
そこは友人でも、親でも、
兄弟でもいいでしょう。
大切な人であれば、
その人に伝えたいで
あろうことが
見つかるかもしれません。
しかし私が一番この本を
通じて感じる事は、
韓国社会も日本社会と同様
「今」に疲れている人が
多いんだなという事です。
ハ・テワン『すべての瞬間が君だった』 ぼくの取り扱い説明書
これは、『すべての瞬間が君だった』
に収められている詩の一つ。
まるで西野カナみたいだなと
思い印象に残ったので
簡単に紹介したいと思います。
「ぼく」曰く、
自分は自己肯定感が低いと
認識している。
だからつい付き合う人に
執着してしまい、
束縛したがってしまう。
だから、相手には溢れる
愛情を自分に注いでほしいと
思っていて、
自分の事が本気で好きなら、
心から大切にしてほしいと
綴っています。
「ぼく」はどうやら、
過去にいびつな愛で
深く傷ついたことが
あったようです。
この作品のように、
すべてを通して相手への愛情、
そして自己肯定への欲
で溢れています。
自分を否定したり、
相手を否定するような事は
やめようというのが
基本スタンス。
正直言って、
男性読者には
くどいかもしれません。
どちらかと言えば
女性向けですね。
韓国ドラマ、
K-POPなどと同じで、
女性読者の人気をつかめれば、
今後どんどん韓国文学が
日本に浸透してくるのでは
と思います。
ハ・テワン『すべての瞬間が君だった』 この本から見る韓国社会
『すべての瞬間が君だった』から
韓国社会を見ると
いうのは大げさかも
しれませんが、
上述の通り韓国社会も
日本社会と同様
かなり疲弊しているんだな
と感じます。
この本に書かれているのは、
人間と人間の関係性の
理想です。
皆が皆こんな考えだったら
どんないい会社、学校、
家族が生まれることでしょう。
激烈な競争社会と、
それがもたらす大きな
格差社会。
大企業に入らなければ、
即負け組の烙印を
押されるような社会
だと聞きます。
それは
映画「パラサイト~半地下の家族~」
でも描かれていました。
韓国人も私たち日本と同様、
今が嫌になるときも
あるんだなという共感性から、
日本でも売れ始めて
いるのでしょう。
だからこそ、
こんな理想を描いた本が
流行るのではないか
と思います。
かなり甘いので、
昭和のおじさん方には
くどすぎるかもしれません。
しかし、「僕」が
語り掛けている対象を、
子供や自分の大事な人に
置き換えて読んでみると、
結構胸にぐっとくる表現も
見つかるとは思います。
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