三津田信三『碆霊の如き祀るもの』考察と感想!刀城言耶シリーズ「民俗学×ホラー×ミステリ」

 

今回ご紹介する一冊は、

三津田信三

『碆霊の如き祀るもの

(はえだまのごときまつるもの)』

です。

 

三津田信三さんと言えば、

「ホラーのイメージがありますね。

推理作家でもあり、ホラー作家でも

あります。

 

映画化もされている『のぞきめ』は、

本当に怖くて夏にぴったりなんです。

 

今回ご紹介する、

『碆霊の如き祀るもの

(はえだまのごときまつるもの)』は、

【刀城言耶(とうじょうげんや)シリーズ】

第9作目にあたります。

 

刀城言耶シリーズとは、

怪奇幻想作家の刀城言耶が訪れた先々で、

怪奇伝承が絡んだ殺人事件に巻き込まれて

謎を解いていきます。

 

民俗学×ホラー×ミステリといった感じで、

とにかく面白くて大好きなんです。

 

時代設定が戦前~戦後で、

田舎を訪れて土着信仰なども登場し、

おどろおどろしい雰囲気もあることから

横溝正史っぽさもあるなと感じます。

 

閉鎖的な寒村で起こる怪異や殺人事件

お好きな方にはたまらないはずですよ。

 

 

 

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三津田信三『碆霊の如き祀るもの』あらすじ

 

刀城言耶が祖父江偲らとやって来たのは海と断崖に閉ざされた犢幽村。
そこで次々と起こる不可解な殺人事件は、村に伝わる「怪談」をなぞるかのような様相だった。
刀城言耶は「怪談」の解釈の奥にある事件の真相に迫るのだが……

 

これは、

三津田信三氏の【刀城言耶シリーズ】

あるあるだと思うのですが、

とにかく出て来る漢字の読み方が難しい!

 

ところどころにルビは振ってあるものの、

まずそのまま読めた試しがない。

まあ、それも味なんですけどね。

 

今回、刀城言耶が編集者の

祖父江偲(そふえしの)と

訪れたのは犢幽村(とくゆうむら)。

 

まずはその地に伝わる四つの怪談から

ストーリーが始まります。

初っ端から怖いです。

 

その怪談に興味をもった刀城言耶が

犢幽村を訪れたのですが、

例によって奇っ怪な殺人事件

巻き込まれます。

 

怪異はどうやら、

犢幽村の「碆霊様(はえだまさま)」信仰

に由来しているようなんです・・

 

犢幽村は海に面していて、

角のように競り出した二つの岬に囲まれ、

浜から沖までは岩礁地帯が続く地形です。

 

岩礁のため、座礁する船が多く、

犢幽村の人々がそれを助けて

亡くなった乗組員は「絶海洞」という

洞穴の中へと葬っていました。

 

その死者たちを祀るのが

「碆霊様(はえだまさま)」です。

ですが、本当の意味は

どうやら違うようです。。

 

 

 

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三津田信三『碆霊の如き祀るもの』変死のオンパレード

 

この地は、

犢幽村・閖揚村・塩飽村・石糊村・磯見村

という5村で強羅(ごうら)地方と

呼ばれています。

 

強羅(ごうら)の五人衆という集まりが

昔からありました。

各村の代表者の会みたいなものです。

 

地方ではこういう集まりが

「影の権力者」集団ということが

往々にしてあるのですが、今回は違います。

 

ですが、もっと大きい秘密のために

存在しているということを後に知ることに

なります・・

 

そんな中、連続殺人事件が発生。

 

第一の被害者は、

竹林宮という竹林の中で餓死

していました。

そう、「竹林の魔」という

怪談そっくりの状態で。

 

第二の被害者は、

海に突き出た「物見櫓(ものみやぐら)」の上で、

忽然と姿を消しました。

 

これも、「物見の幻」という怪談

そっくりに。

 

第三の被害者は、

絶海洞という死者を埋葬する場所で

漁具で刺されていました。

 

これは、「海原の首」という

怪談そっくりです。

 

第四の被害者は、

閖揚村の代表者が納屋で

縊死していました。

 

すべての事件の犯人であり、

自殺?と思われたが不審な点が残ります。

 

連続殺人事件である痕跡(笹船)が

すべての現場に置かれていたことから、

同一犯による犯行と推定されましたが

すべての事件を貫く動機と機会をもった

容疑者が存在しないのです。

 

警察の捜査も難航、

果たして刀城言耶はどう解決するのか!?

 

ちなみに私も謎ときに挑戦しましたが、

今回はお手上げ状態でした。

 

 

 

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三津田信三『碆霊の如き祀るもの』怪異の謎と村の秘密を解く

 

この連続殺人事件には、

数多の謎が残されていて、

なんと70以上!

そんなにあるんかい!?

まさに怒涛の謎だらけ祭りです。

 

最後の刀城言耶の謎解きが、

迷いに迷って迷探偵化してました。

 

どんでん返しのどんでん返しのどんでん返し。

こんなに頼りない探偵も珍しいです。

 

本作品の怪異の謎と村の秘密を解くポイント

を端的にまとめますと、

・かつてこの地は飢えに苦しんでいた

・人身御供

・横溝正史「八つ墓村」に出て来る

落ち武者のエピソード

です。

 

もうほぼ答えを言ってしまってますね私。。

 

なんとなく予想が当たってしまった結末

ではありました。

 

やはり、貧しさの中で生きることに

必死だったのですね。

最後の結末には一抹の寂しさ

を感じました。

 

 

 

 

 

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