川上健一『翼はいつまでも』おすすめ本のあらすじと感想!青春アドベンチャー小説

 

今回ご紹介する一冊は、

川上健一

『翼はいつまでも』

です。

 

川上健一さんは

『跳べ、ジョー!B・Bの魂が見てるぞ』

で1977年に小説現代新人賞を受賞し、

作家デビューします。

 

2001年、

青春自伝小説『翼はいつまでも』

『本の雑誌』ベストテン入り

して注目を集めました。

 

作者の出身地青森県の十和田を

舞台に描かれたこの作品は、

坪田譲治文学賞を受賞します。

 

他にも川上健一さんの作品は

2004年に『雨鱒の川』、

2006年に『四月になれば彼女は』

(映画タイトル『アオグラ AOGRA』)、

2013年に『渾身』などの

作品が映像化されています。

 

 

 

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川上健一『翼はいつまでも』 青春を思い出したい人に

 

【第17回坪田譲治文学賞受賞作】青森県の中学三年生、神山は補欠の野球部員、平凡な生徒だ。ある日、米軍放送で聴いたビートルズの「プリーズ・プリーズ・ミー」が彼を変えた。聞き覚えてクラスで歌い、彼はクラスで認められた。多恵からも声をかけられ初恋の思いを抱く。夏休み、さまざまなトラブルが彼を襲う。でも彼には仲間がいるし、ビートルズがくれた勇気もある。「本の雑誌が選ぶ2001年度ベスト1」「第17回坪田譲治文学賞」受賞。

 

 

自伝的小説ということで、

舞台はビートルズが

日本に入ってきた1960年代前半。

 

平凡な野球部員、

神山君はビートルズの

「プリーズ・プリーズ・ミー」

という曲と出会い、

 

クラスで歌い、

自分の好きなものを

みんなに教えることで

自分の殻を破っていきます。

 

自分の思っていることを

表現できるになる、

大人への第一歩を

中学生の彼は踏み出します。

 

あっという間に若者を

虜にした、ビートルズの衝撃。

 

ビートルズを不良の聞く音楽

だと否定する大人たち。

 

命令と服従を要求する時代背景が、

この作品からは

読み取れます。

 

個人的には

こんなに酷い学校教育

があったのか、

と驚いてしまいました。

 

平気で生徒を殴ったり、

学校でツイストを踊ると

処罰されたり、

聴く音楽を否定されるなんて

ことが学校現場であったという

事実に衝撃を受けてしまいました。

 

素直に青春小説として楽しむには、

時代背景を理解していないと

物語に入っていけません。

 

ぜひ作者と同年代の方に

読んでいただきたいです。

 

当時の熱狂を思い出させて

くれるでしょう。

 

 

 

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川上健一『翼はいつまでも』 僕らはこうして大人になる

 

かと言って、

時代背景がわからないと

いけないかというと

そうではないのです。

 

時代が変われど、

子どもが大人に成長する過程

で感じることは

大きく変わりません。

 

今の子ども達と同じように

部活動に打ち込んだり、

異性が急に気になりだしだり、

好きな音楽や映画に

大きな影響を受けたり。

 

私は特に野球部のメンバーが、

みんなで大人に意見をする

様子にぐっときました。

 

部活動を通じて学べる

すれ違いや連帯が、

読者に追体験させるくらい

リアルに描かれています。

 

あとは初体験を済ませる

目標のためキャンプにいくという

エピソードに、

いかにも中学生らしい

単純な発想で笑ってしまいました。

 

そんなふうに泣いたり

笑ったりした日々を思い出して、

昔に想いをめぐらすと

 

私たちはこういった経験を重ねて、

大人になるのだなぁと

しみじみ懐かしく感じ、

他の人もそうなんだろうかと

想像が膨らみます。

 

時代背景はわかっていた方が

楽しめます。

 

けれど変わらないものを

見つけるのもきっと面白い。

 

年代が違えど紛れもない

青春小説です。

 

 

 

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川上健一『翼はいつまでも』 きらきらした初恋が与えてくれたもの

 

青春といえば忘れてはいけない、

「恋」です!

 

甘酸っぱくてどこか

こそばゆい初恋を

経験してこそ青春です。

 

初体験を目的に

(文庫の裏には大人になろうと

書いてあります)

十和田湖のキャンプ場へ

ひとり旅だった神山君は、

そこでクラスの

女子生徒と出会います。

 

学校にいるときと

違った彼女の様子に、

神山君はいとも簡単に

恋に落ちてしまいます。

 

その純粋さと自然豊かな

透明度の高い十和田湖の情景を

想像したとき、

 

人生の中で忘れ難い、

美しいひと夏の思い出

が立ち上ってきます。

 

 

 

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川上健一『翼はいつまでも』 その女子生徒の台詞で印象に残ったものをご紹介します。

 

「今の大人みたいにはならない。わたしはわたしになるんだ」(『翼はいつまでも』p203から引用)

 

 

彼女は神山君と出会い、

恋を知ることで

自分の生き方に

大きな影響を受けます。

 

その成長する過程をしめす、

素敵な言葉だと思います。

 

そんな彼らが10年後、20年後、

30年後どうなっているのか…。

 

青春時代の出会いが、

私たちにどれだけの影響を

与えてくれているんだろうと

しみじみ感じさせてくれる

素敵な作品です。

 

 

 

 

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