伊坂幸太郎『砂漠』あらすじと感想!新表紙で登場

 

今回ご紹介する一冊は、

伊坂幸太郎

『砂漠』です。

 

大学生という

青春の時代を描いた

ストーリーです。

 

春、夏、秋、冬、

そして春と

章が進んでいく中で

主人公たちは

人生最大の経験をしたり、

気持ちが変化していったり。

 

変わったキャラも多く

「現実にはこんな

大学生いないのでは」

と初めは思うかも

しれませんが、

 

読んでいくうちに

自分の大学生時代を

振り返りたくなる、

そんな作品です。

 

 

 

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伊坂幸太郎『砂漠』 砂漠=広い世界

 

 

作家デビュー20周年記念 NEWカバー!
砂漠 冬バージョン登場!! (2020年5月現在)

この一冊で世界が変わる、かもしれない。

実業之日本社創業120周年記念!
小社文庫限定の書き下ろしあとがき収録。

仙台市の大学に進学した春、なにごとにもさめた青年の北村は四人の学生と知り合った。
少し軽薄な鳥井、不思議な力が使える南、とびきり美人の東堂、極端に熱くまっすぐな西嶋。
麻雀に勤(いそ)しみ合コンに励み、犯罪者だって追いかける。
一瞬で過ぎる日常は、光と痛みと、小さな奇跡で出来ていた――。
明日の自分が愛おしくなる、一生モノの物語。

 

 

タイトルの「砂漠」とは、

大学を卒業したのちに

出ていく社会のことを

指しています。

 

社会人デビューと言え

ば聞こえは良いけれど、

要はこれまで知らなかった

広い世界に大学卒業と

共に放り込まれ、

 

「水」という正解が

どこにあるのかも

分からないままに

もがき続ける。

 

そんな様子のたとえとして

「砂漠」という言葉は

使われています。

 

また、別の章では

「砂漠に雪を降らせる」という、

無謀なことの表現としても

「砂漠」というワードが

出てきます。

 

社会に出て現実を知る前の

「よくわからないけれど

とにかくやってみよう」

という無謀なチャレンジも、

大学生ならでは。

 

そんな様子も

このタイトルに

象徴されているようです。

 

大人になった今では

「そんなの無理だよ」

と思うことでも、

 

大学生の頃には

「きっとできる」と

信じていたこと。

 

誰でも一つや二つある

と思います。

 

本作品で出てくるほどの

冒険はしないにしても、

そういった挑戦する心

みたいなものを

思い出させてくれる作品です。

 

 

 

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伊坂幸太郎『砂漠』 モラトリアム期間で変わっていく主人公たち

 

大学生時代のことを

「モラトリアム」と

表現することがあります。

 

高校を卒業した時点で

もう社会に出ることは

可能だが、

 

あえて大学に進学する

ことで4年間の猶予を得る、

これを「モラトリアム」

と言います。

 

本作品はまさに

「モラトリアム」期間

である大学生時代、

キャンパスライフを

描いたものです。

 

働くようになると、

効率を重視したり

生産性を追及したりと

なるべく無駄のないような

動きを求められることも

多いですが、

 

モラトリアム期間では

あえて非効率なことをしたり、

無駄かもしれないけど

やってみたいと

思えるようなことに

熱中したり、

 

そんなことが

許されています。

 

そういった、

一見意味のない出来事、

 

正しくないと思われること

でも経験することで

その人の性格や価値観が変わり、

 

より強くなった状態で

社会に出ていくのです。

 

本作品の主人公はもともと、

どちらかというとドライで

現実的なタイプの性格です。

 

愛がないわけではないけれど、

愛だけでは動けないタイプ。

 

付き合っている彼女からは

「冷血漢」なんて

嫌味を言われるシーンが

あるほどです。

 

そんな主人公ですが、

大学に入って友人もでき、

その友人たちと関わることで

性格が変わっていきます。

 

合理的でないと

分かっていながら

あえて感情を優先したり、

自分以外の誰かのために

熱くなったり。

 

主人公だけでなく

周りの友人たちも、

守りたい存在ができたこと

で強くなったり、

 

いじめられっ子が

自分らしくいられる場所を

見つけたりと

変わっていきます。

 

本作品を読み進めるうちに

その変化を目の当たりにして、

 

共感したり

「自分もそんな時期があったな」

と懐かしくなったりする方

は多いのではないでしょうか。

 

 

 

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伊坂幸太郎『砂漠』 緩急のあるストーリー展開と工夫された描写

 

退屈な日々の中で刺激を求め、

面白そうなことに

首を突っ込んでいく主人公たち。

 

おかげでストーリーは

時に予想しない方向へ

進んでいきます。

 

ふだん推理小説を

よく読まれたり、

ストーリーの裏を読むのが

得意だったりする方には

大したことないのかも

しれませんが、

 

書いてある話を

そのまま受け取ってしまう私

にとっては

突然「えっ!?」

となるような展開

がありました。

 

突然の展開に思わず

涙したシーンもありました。

 

そうかと思えば、

最終章では

「きっとこんな展開になるんだろうな、

なったらいいな」

と主人公たちの幸せを

願いながら読む気持ちが

そのまま描かれたかのように、

 

予想を裏切らない展開が

出てきます。

 

驚きも涙もないけれど、

じんわりとした安心感と

感動を覚えました。

 

著者の伊坂幸太郎さんの

作品はこれまでも

短編・長編問わず何冊か

読んできましたが、

 

突然の展開があったかと

思えば緩やかな感動シーン

が描かれたり。

 

この緩急のある

ストーリー展開は、

伊坂さんならではかなと

感じました。

 

この緩急を支えているのは

ストーリーのテンポ感も

もちろんそうですが、

 

描写の仕方も緩急が

出るように工夫されている

と思います。

 

ぜひ、最後まで通して

読んでこの緩急を

感じてみてほしいな、

と思います。

 

 

 

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