【2020年版】アメリカンホラー小説おすすめ5選!あらすじ感想まとめ(海外ホラーの傑作短編集)

 

怪談とホラーとは

どう違うのか、

あるいは違わないのか。

 

真剣になるようなこと

ではないと思いますが、

遊戯として

考えてみるなら、

 

充分に楽しいことの

ように思えます。

 

たとえば怪談なら

本場は英国だろうが、

ホラーなら当然アメリカ

というような。

 

あくまでも

気分の問題ですが、

なんとなくそんな風に

思えませんか?

 

少なくとも

アメリカのホラー作家は、

そう考えても

おかしくないだけの

陣容を備えている

ように思えます。

 

そんな

アメリカンホラーから

五作を選ぶというのは

かなりの難題ですが、

とりあえず

がんばってみましょう。

 

 

 

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『ダンウィッチの怪』(著者:H・P・ラヴクラフト)

 

ラヴクラフトは不遇のまま、46歳でその生涯を閉じた。だが、彼の創造したクトゥルー神話は没後高く評価され、時代を越えて読者を虜にしている――。マサチューセッツ州の古い港町インスマスを訪れた私は、魚類を思わせる人々の容貌の恐るべき秘密を知る(表題作)。漂流船で唯一生き残った男が握りしめていた奇怪な石像とは(「クトゥルーの呼び声」)。英文学者にして小説家、南條竹則が選び抜き、新たに訳した、7篇の傑作小説。

 

最初はこの人しかないでしょう。

クトゥルー神話の創始者として、

ホラーのみならず、

世界中のあらゆるクリエイターに

影響を与え続けていると言って

過言ではない作家

ハワード・フィリップス・ラヴクラフトです。

実はラヴクラフトは生前には

単行本を一冊しか出せなかった、

不遇な作家だったそうです。

けれども彼は孤立していたわけではありません。

アマチュア作家の交流の場に入会した彼は、

そこでロバート・ブロック、

オーガスト・ダーレス、

クラーク・アシュトン・スミス、

ロバート・E・ハワードといった

多くの文通相手を得たのです。

クトゥルー神話は文通という

超アナログな手段を通した、

彼らのシェアード・ワールドでした。

そして没後、そうして得た仲間の尽力も

あってラヴクラフトの名は

不滅のものとなっていくのです。

全集と銘打たれたものだけでも

三つも出ているほど、

翻訳には恵まれているラヴクラフトですが、

2019年に新潮文庫から出た

傑作集『インスマスの影』から

『ダンウィッチの怪』を選んでおきます。

表題作でもいいのですが、

本作は個人的に始めて読んだ

ラヴクラフト作品なので

多少思い入れがあります。

アホな小学生の頃のことですから、

クライマックスの「弟」が

暴れるシーンでは、

「ウルトラ警備隊のうた」とか

口ずさんでたんですけどね。

 

 

 

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『鳩は地獄から来る』(著者:ロバート・E・ハワード)

 

〈英雄コナン〉の創造者の真髄をここに!
ホラー、ヒロイック・ファンタシーから、ウェスタン、SF、歴史、ボクシングまで、多彩に展開する怪奇と冒険の世界。
ハワード研究の第一人者が厳選し、本邦初訳と新訳でおくる傑作8篇!

 

二人目も前項で触れた

ラヴクラフト・サークルの中から

選びたいと思います。

迷うところですが、

ここはロバート・E・ハワード

にしましょう。

ハワードはハイボリアと

称する剣と魔法の古代世界を舞台に、

蛮族の英雄が暴れ回る

コナンのシリーズで、

サブジャンルとしての

ヒロイックファンタジー

確立させた作家です。

同時にラヴクラフトの

年若い友人として、

クトゥルー神話に属する傑作も多く残し、

さらには旧支配者を思わせる妖蛆に、

コナン的な野人ヒーローが

毒矢をもって挑むというような作品も

書いています。

つまりはヒロイックファンタジーと

クトゥルー神話の黎明期を

支えたのみならず、

そのジャンルミックスまで

早々とやってのけたわけです。

『鳩は地獄から来る』は、

けれどもクトゥルー神話でも

ヒロイックファンタジーでもなく、

純粋な(?)怪奇小説の傑作です。

怪奇短編ではハワードの最高傑作と

定評のある作品で、

傑作集『失われた者たちの谷』

編んだ仲村融氏は巻末解説で、

既訳が版を重ねていることを

承知の上で、

「この作品を欠かすわけにはいかず(……)収録に踏み切った」

 

と語り、

帝王スティーヴン・キングが

「二十世紀最高のホラー・ストーリーの一つ」

と呼んだことを紹介しています。

ストーリーを紹介しておくと、

ヴードゥものですね。

旅の途中、廃屋に宿を求めた青年たち

の一人が異様な状況で殺されてしまい、

残された一人が友人殺しの

疑いを晴らすため、

保安官とともに廃屋に潜む怪異の正体

を探っていくというホラーミステリです。

 

 

 

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『霧』(著者:スティーヴン・キング)

スティーヴン キング (著), 矢野 浩三郎 (翻訳)

 

スティーヴン・キングを読むならまずコレ!

映画化・TVドラマ化された巨匠の傑作「霧」。
ほかキングの初期作品から選り抜いた傑作選。

【収録作品】
ほら、虎がいる
ジョウント
ノーナ
カインの末裔

 

ハワードのところでも

名前を出した帝王キング。

今更と言われても、

この人抜きのアメリカンホラー五選など

あり得ないでしょう。

紹介すると言っても、

『キャリー』『呪われた町』

『シャイニング』『ペット・セマタリー』

『IT-イット-』『ミザリー』

と言った主要な作品のタイトル

を並べるだけで充分に思います。

『霧』はキングの中編の中でも

人気のあるストーリーで、

映画化(『ミスト』)もされ、

改変された結末が論争を呼びました。

珍しくキングが作品内で

ホラー小説を(自嘲的に)

語っていることでも知られます。

この作品を選んだわけは

もう一つあって、

クトゥルーものだという解釈

もあるからです。

霧の中から現れる怪物たちの正体は

再臨した旧支配者なのだ、

というわけです。

ちなみにジョン・W・キャンベルJr.の

『影が行く』にも同じような話があって、

クトゥルー神話であることを

前提にした邦訳もあります。

そう映画『遊星からの物体X』の原作です。

 

 

 

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『七たび戒めん、人を殺めるなかれと』(著者:ジョージ・R・R・マーティン)

ジョージ・R・R・マーティン (著), 鈴木康士 (イラスト), 酒井昭伸 (翻訳)

 

SF/ファンタジイ界を代表する作家マーティンの傑作全6篇を収録。

【収録作品】
ナイトフライヤー
オーバーライド
ウィークエンドは戦場で
七たび戒めん、人を殺(あや)めるなかれと
スター・リングの彩炎(さいえん)をもってしても
この歌を、ライアに

 

四人目は趣向を変え、

がっつりなホラー作家を外して

ジョージ・R・R・マーティン

選んでみました。

マーティンはジャンルなんか知らないよ、

とか言いそうなタイプの作家ですが、

一応はSFの作家と見なされることが多く、

『ナイトフライヤー』(Netflix)や

『ゲーム・オブ・スローンズ』(HBO)の

原作者としても知られています。

日本で独自にホラー系(非SF系)の

作品を集めて編まれた短編集『洋梨形の男』

あるのですが、

今回は2019年にハヤカワ文庫から出た

『ナイトフライヤー』から、

Netflixのドラマの原作になった

表題作をあえて外して

『七たび戒めん、人を殺めるなかれと』

を選んでみました。

星間交易商人を主人公に、

人類の植民惑星を舞台にした

アクションもたっぷりのSFですが、

凄惨すぎる結末の後を

引く感じがたまりません。

 

 

 

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『とうもろこしの乙女』(著者:ジョイス・キャロル・オーツ)

ジョイス・キャロル オーツ (著), 栩木 玲子 (翻訳)

 

ミステリー! ホラー! ! ファンタジー! ! !
心の暗闇にある何かから目が離せない。
現代アメリカ随一の短篇の名手が自ら編んだ傑作集
ブラム・ストーカー賞、世界幻想文学大賞受賞

【内容】
美しい金髪の下級生を誘拐する、有名私立中学校の女子三人組(「とうもろこしの乙女」)

 

五選を選ぶに当たって

最初から決めていた作家が三人います。

ラヴクラフト、キング、そしてオーツです。

ジョイス・キャロル・オーツ

ノーベル文学賞の候補にも

何度も名前のあがったことのある

文学畑の作家ですが、

同時にミステリやホラーに

属する作品も多く発表してきました。

また多作で知られ、

海外のミステリやホラーの

アンソロジーに関心がある人なら、

まず間違いなく彼女の作品を

目にしているはずです。

2013年に河出文庫に入った

『とうもろこしの乙女、

あるいは七つの悪夢』は、

そのわりに国内では

出ていなかったオーツの短編集です。

作家本人によるセレクトで、

実にろくでもない作品がそろっています。

これだけ読むとアメリカイヤミスの女王

くらいのことを言っても

いいかも知れません。

表題作の『とうもろこしの乙女』

女子中学生が下級生の美少女を

拉致監禁していたぶるという、

これも胸糞なお話。

救いみたいなものがないわけではなく、

そこまで読後感はひどくありません。

 

 

 

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落ち穂拾い

 

正直あまり怖い話を集められたようには

思えないんですが、

一種の幅みたいなものは

出せたかなと思います。

こういう幅がアメリカンホラーの持ち味

かも知れません。

あとマーティンを選んだときに

思ったのですが、

ホラーというと反射的に

思い浮かぶような作家たち、

クーンツとかマキャモンとか

F・ポール・ウィルスン、

あるいはピーター・ストラウブあたりが

あまりピンとこなくて、

実際、長編の翻訳状況を調べてみたら、

みんな十年単位で止まってるんですね。

入れ替わりが早いジャンル

なのかも知れません。

そう思うとキングはやっぱりすげえや。

最後に選びたくて選べなかった

ヴィクター・ラヴァルの

『ブラック・トムのバラード』を

タイトルだけ。

どうして選べないかというと、

筆者もまだ読んでいないから。

それでもアフロ・アメリカン

によるクトゥルー神話、

ラヴクラフトの中編の語り直し

とか言われると、

ラヴクラフトが(残念なことに)

人種差別主義者だったことを

知ってる人間としては、

気になるじゃないですか。

 

 

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