阿部智里『楽園の烏』感想とあらすじ!(文藝春秋)「八咫烏シリーズ2部開始!」

 

今回ご紹介する一冊は、

阿部 智里(あべ ちさと)著

『楽園の烏』です。

 

『楽園の烏』は、

累計150万部を突破した

大人気の「八咫烏シリーズ」

の2部の最初の小説です。

 

第1部の最後では、

八咫烏と猿の戦いを

八咫烏が勝利するという

終わり方でした。

 

その20年後の

八咫烏が住む異界の

「山内」を舞台に、

 

行方不明になり

死亡届が出された祖父から、

 

「山内」がある山の権利を

相続した安原はじめが

「山内」に連れてこられ、

 

そこで八咫烏が

生活している世界を

見学していくという話です。

 

ワクワクする展開が多かった

「八咫烏シリーズ」の

続編ということで、

 

この「楽園の烏」も

驚く展開が多く、

とても楽しめました。

 

それでは、

「八咫烏シリーズ」第二部

のはじまりの

『楽園の烏』の書評を

していきます。

 

 

 

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阿部智里『楽園の烏』 第一部で活躍した登場人物が成長した姿を楽しめる

 

シリーズ累計150万部突破!
「八咫烏シリーズ」第2部、ついに刊行開始

「この山を売ってはならない理由が分かるまで、売ってはいけない」

資産家である養父の奇妙な遺言とともに、ある「山」の権利を相続した安原はじめ。その途端、彼のもとに「山を売ってほしい」という依頼が次々と舞い込み始める。この山には一体、何が隠されているのか? その答えを知っていると囁く美女に誘われ、山の内部に入ったはじめは、そこで信じられないものを目にする――。

舞台は東京から、八咫烏たちが住む異界「山内」へ。猿との大戦(『弥栄の烏』)より20年の時を経て、いま再び物語が動き始める。
動乱の時代を生き抜いた八咫烏たちの今。そして新たなる世代の台頭。第1部以上のスケールを持っておくる傑作異世界ファンタジーです。

 

 

第一部で活躍していた

登場人物が成長して

登場するところが、

 

私が『楽園の烏』を

楽しめた要素の一つです。

 

八咫烏が住む「山内」が

第一部からどの様に

変わっていったのかを、

 

懐かしい登場人物の

成長した姿とともに

知ることができます。

 

第一部で大活躍した

八咫烏の長である金烏は

出てきませんでしたが、

 

その部下である雪哉が

出世しており、

金烏に次ぐ2番目の権力を

持つようになっていました。

 

その雪哉は、

多くの八咫烏から

尊敬を集める人物に

なっていました。

 

金烏からこき使われていた

可愛いキャラクターに

出会った雪哉が大人びて、

高い地位を手に入れていた

姿を見て、

 

少し見ないうちに成長した

子供の姿を見ているような

気持になりました。

 

その他にも、

金烏の兄である長束や、

裏社会のボスである塑王など、

 

第一部で活躍した

キャラクターが多く

登場して楽しませてくれます。

 

八咫烏シリーズの第一部が

完結したのが3年前で、

話の内容からして

完結したと思っていたので、

 

続編が出てとても嬉しくなり、

懐かしい気持ちになりました。

 

 

 

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阿部智里『楽園の烏』 スピード感のあるどんでん返し

 

この『楽園の烏』の話

の大部分は、

人間世界の安原はじめが

「山内」について

見学していく様子が

書かれています。

 

しかし、後半から

非常に急展開になっていき、

20年後の「山内」について

様々な思いがけない事実

がどんどん出てきて、

とても楽しめました。

 

前半部分では、

一度猿やゴロツキによる

襲撃で主人公達がピンチに

なりますが、

 

それ以降は特に危なげなく

物語が進んでいきます。

 

主人公たちは襲撃から

逃れるために、

スラム街に潜伏すること

になるのですが、

 

元スラムの住人や犯罪者が

どの様な生活をしているのか

を目の当たりにしていき、

少しずつ伏線が

張られていきます。

 

猿の正体や安原はじめの正体、

子供が中心となって

成り立っているスラム街である

「谷」の本当の姿など、

 

次々に明らかになっていき、

思わず一気読みしました。

 

具体的な内容だと

ネタバレになるので

言いませんが、

とても驚く内容であった

とともに、

非常に考えさせられる

内容でした。

 

 

 

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阿部智里『楽園の烏』 人権の問題についてとても考えさせられる話

 

『楽園の烏』は、

人権の問題について

非常に考えさせられる

内容であったと感じました。

 

アメリカの警察官による

銃発砲事件から始まった

「Black Lives Matter」

について通じる部分が

あると私は考えます。

 

八咫烏シリーズでは、

八咫烏から人間に

変身できるという設定ですが、

 

八咫烏の状態で

足を切り落とされてしまうと、

二度と人間の姿に戻れません。

 

そのため、犯罪者や

裏社会で生活していた人が

八咫烏の姿で

一生奴隷の様な扱いを

されるという描写があります。

 

今の黒人差別の問題も、

昔アメリカで黒人を

労働力として使うために、

 

黒人を不当に逮捕して、

刑務所に収監して

働かせるという制度が

元となっていると

言われており、

 

足を切られて

一生人間の姿には

なれない八咫烏の扱い

についても

似たようなものがある

と感じました。

 

アメリカでは、

親が逮捕されるなどして

生活に困窮した子供たちは、

 

スラムで犯罪の様な

仕事をしなければならず、

また逮捕され、

 

刑務所で奴隷のように

働かされます。

 

主人公達が襲撃の追手から

逃れるために逃げ込んだ

スラムでも同じような状況

になっていました。

 

上の階級や全体的にみた

社会システムからすれば、

非常に合理的な状況だと

『楽園の烏』の登場人物は

言っていましたが、

 

読んでいてとても

違和感が残る内容でした。

 

どの様な社会になれば、

全員が幸せになるのか、

とても考えさせられる

内容でした。

 

 

 

 

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