阿部智里『烏百花 蛍の章(文春文庫)』感想とあらすじ!八咫烏新刊本

 

今回ご紹介する一冊は、

阿部智里(あべ ちさと)

『烏百花 蛍の章』です。

 

この作品は累計150万部の

大ヒットファンタジー

「八咫烏シリーズ」の外伝集。

 

八咫烏とは日本神話にも

登場する三本足の伝説の烏で、

このシリーズは人間の姿に

変身することが出来る

八咫烏の一族が、

異世界・山内を縦横無尽に

飛びまわる異世界ファンタジーです。

 

平安王朝風のみやびやかな雰囲気と、

一族に次々と襲い掛かる事件。

 

そして一癖も二癖もある魅力的

なキャラクターが

多くの読者を魅了しています。

 

その外伝とあって、

本編のファンはもちろん、

その人気の高さから、

これまで八咫烏シリーズを

読んだことがない人からも

注目を集めています。

 

著者の阿部智里さんは

史上最年少の20歳で

松本清張賞を受賞、

デビューしました。

 

その後八咫烏シリーズとして

デビュー作「烏に単は似合わない」から

「弥栄の烏」までの

6巻までを第1部とし、

 

2020年9月に3年ぶりの

書き下ろし「楽園の烏」で

八咫烏シリーズの第2部を

スタートさせました。

 

 

 

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阿部智里『烏百花 蛍の章』 作り込まれた世界観がすごい

 

 

累計150万部の大ヒットファンタジー『八咫烏シリーズ』の外伝集。

異世界「山内」の壮大な歴史の流れの中、主要人気キャラクターたちは
どんな風に育ち、一方でどんな関係を結び、事件の裏側でなにを思っていたのか。

美貌の姫君へのかなわぬ想い、愛を守るための切ない大嘘、
亡き人が持っていた壮絶な覚悟、そして、「命をかけた恋」……
本編では描かれなかった、「恋」の尊い煌めきが満ちる魅惑の短編集。

2020年ついにスタートした第二部『楽園の烏』の前に必読!の書。

 

 

まずこのシリーズの

凄いところはその世界観です。

 

日本神話にも基づいて

作られた世界観は

とても細部まで凝っていて

読者を物語の中に

しっかりと引き込みます。

 

人間に化けることのできる

八咫烏の一族の相関関係や

身分の違いによる差別。

 

それによって起こる争いに

リアリティを感じてしまうのは、

そのしっかりとした設定があればこそ。

 

一見複雑に思えるけれど、

読むにあたっては

全く気になりませんでした。

 

それどこか実は外伝集から

この八咫烏シリーズに

入ったのですが、

世界観も人物設定も

十二分に理解できました。

 

著者の阿部さんの

説明能力の高さには

脱帽してしまいます。

 

すでに巻数が出てしまっていて、

手の取る勇気が出ない人は

この外伝集から、

八咫烏シリーズに

入るのもおすすめですよ。

 

 

 

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阿部智里『烏百花 蛍の章』 あくまでもこぼれ話

 

とはいえこの外伝集に

おさめられているのは

あくまでも本編のこぼれ話。

 

本編ファンにも

見逃して欲しくない1冊です。

 

著者の阿部さんも、

とあるインタビューで

カットせざるを得ない部分を拾い集め、短編として構築し直しました

 

と語っています。

(参照:ダヴィンチニュース)

 

壮大なファンタジーを

描く中では蛇足になってしまう

部分を救い上げてくれたおかげで、

キャラクターたちが様々な事件

の中でなにを思っていたのか、

ということを本編読者は

再発見することができるでしょう。

 

キャラクターへの理解も深まり、

より八咫烏シリーズを

楽しむことができます。

 

また阿部さんはこの外伝集の作品が

シリーズの2部へも繋がる部分

があると話しているので、

2部を読み出す前に、

外伝集をぜひ

手にとってみてください。

 

 

 

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阿部智里『烏百花 蛍の章』 救い上げた恋の尊い煌き

 

外伝集はあらすじにもあるように

「恋の尊い煌き」の

詰まった1冊です。

 

冒頭を飾る「しのぶひと」は、

浜木綿の筆頭女房・真赭の薄と

彼女に思いを寄せる澄尾の物語。

(本編を読んでいない人、

誰かわからないと思いますが、

ごめんなさい!)

 

そして最後の「わらうひと」

もこの2人のお話です。

 

この2つのお話の間に、

本編では大変な事件が

あったことが窺い知れるのですが

それがわからなくても、

2人の距離がどんどん

縮まっているのが伝わってきて

身分違いに恋に焦がれている

澄尾を応援したくなります。

 

また泣けたのは

「まつばちりて」

男として宮中に上がる女性、

松韻の恋のお話でしたが

この結末は、

切なくて悲しかったです。

 

本編では書くことが

できなかっお話だったのでしょうが、

この女性の生き方に

スポットライトを当ててくれた

ことに感謝したくなります。

 

冒頭と巻末の都々逸が、

この本全体の完成度を上げ、

美麗な表紙イラストがさらに

素敵なキャラクターたちの

イメージを広げてくれます。

 

八咫烏シリーズの入り口としても、

箸休めとしても楽しめる作品です。

ぜひお手にとってみてください。

 

 

 

 

 

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