畠中恵『いちねんかん』あらすじと感想!しゃばけシリーズ最新刊19作目

 

今回ご紹介する一冊は、

畠中 恵(はたけなか めぐみ)

『いちねんかん』です。

 

今回紹介する

『いちねんかん』

【しゃばけシリーズ】では

19作目になります。

 

しゃばけシリーズは

著者がどの巻からでも

読めて楽しめるようにと

巻数をふっていないそうです。

 

シリーズ第1作目の『しゃばけ』、

そして『ぬしさまへ』『ねこのばば』

と発表されて18作本目の

前作『てんげんつう』を経て

約1年ぶりに今回19作目の

『いちねんかん』が発表されました。

 

シリーズはどこから読んでも

楽しく読めますが、

始めから読んでいくと「若旦那」

の成長もわかりさらに楽しみが

広がります。

 

シリーズの外伝の『えどさがし』では

明治時代が舞台となっていて、

仁吉が銀座で人探しをする物語

など5編が収録されています。

 

さらには番外編、

絵本仕立ての『みぃつけた』も

発表されています。

病弱でいつもひとりぼっちで

寝込んでいる若旦那の幼い頃のお話です。

 

『いちねんかん』で若旦那と

あやかしたちが繰り広げる物語に

興味を持った人はぜひ他のお話を読んで、

【しゃばけワールド】にとっぷりと

はまってみてはいかがでしょうか。

 

 

 

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畠中恵『いちねんかん』若旦那の成長を登場人物とともに見守る

 

ついに、病弱若だんなの後継ぎ修業が本格始動! 試練続きの一年の幕開けだ。江戸の大店長崎屋の主夫妻が旅に出かけ、父から店を託された若だんなは大張り切り。しかし、盗人に狙われたり、奉公人となった妖が騒ぎを起こしたり、相変わらずのてんやわんや。おまけに江戸に疫病が大流行! 長崎屋に疫病神と疫鬼が押しかけてくるし、若だんなは無事に長崎屋と皆を守れるの~? 波乱万丈なシリーズ最新刊。

 

 

『いちねんかん』では

両親が湯治に出かけることになり、

なんと若旦那が両親の代わりに

店を預かることになります。

 

両親が帰ってくるまで

頑張って店を切り盛りしようと

頑張る若旦那ですが、

 

長崎屋の主人が留守にしていることを

知り悪さを仕掛ける者がいたり、

江戸で「疫病」が流行りだすし、

なぜか上方の店のお婿さん選びを

手伝うことになるし、

賊が襲ってきたと若旦那の前に

トラブルがいくつも立ちはだかります。

 

せっかく店を任せられたのに、

任された早々にトラブルになり

若旦那は自信とやる気を

失いそうになります。

しかし若旦那は持ち前の

頭の回転の速さと、

あやかしたちの協力で

トラブルを見事に乗り越えていきます。

 

もちろん兄やたちの若旦那への

超過保護っぷりも健在で、

屏風のぞきや小鬼など

あやかしたちも大活躍です。

今回は若旦那がしっかりと

成長していく様子を見ることが

できました。

 

主人が長く不在になったとたんに

番頭や奉公人たちが浮足だったり、

悪さを仕掛ける者がいたりと、

お話は江戸時代ですが

現代でも代替わりした店では

あり得ることかもしれないと思いました。

 

たくさんの苦労を当代の店主たちは

しながら代々店を続けて

いっているのだなぁと

しみじみ気づかされました。

 

しかし今回は

「若旦那、よく頑張りました!」

と褒めてあげたいです。

 

 

 

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畠中恵『いちねんかん』安定のしゃばけシリーズの魅力

 

この【しゃばけシリーズ】は

ファンタジーミステリーと

言っていいのかもしれません。

このシリーズが発表されてから

「あやかし」などの題材が

クローズアップされてきた

ように思います。

 

あやかしを世に出した著者の

「畠中恵」の経歴の中に、

漫画家アシスタント・イラストレーター

を経て、

都筑道夫氏に師事し小説家

となるとあります。

 

都筑道夫氏と言えば

あの有名な

『なめくじ長屋捕物さわぎ』が有名です。

その氏に師事した著者が

描き出す世界観に思わず納得です。

 

しゃばけシリーズはあやかしが

視える若旦那とあやかしたちが

謎を解き明かしていき

ワクワクし可愛らしくて、

楽しく読めますが、

人間の業の深さや、やるせなさ、

理不尽さなどもしっかりと

書かれています。

 

楽しいだけではなく、

光の部分だけではなく、

切なさ、やるせなさ、

理不尽さや陰の部分も

しっかり書かれているからこそ、

 

子供も大人も読める

【しゃばけシリーズ】となっている

のだと思います。

物語が続く限り若旦那を見守り、

応援していきたくなります。

 

 

 

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畠中恵『いちねんかん』古の人々の営みがあったからこそ

 

今回の物語の中では江戸で

「疫病」が流行ります。

 

原因は「疫鬼」と「疫病神」が

やってくるからなのですが、

なんてタイムリー!と思いました。

 

「疫鬼」と「疫病神」に

若旦那はきちんと対処することが

出来たのですが、

若旦那が疫病に罹ってしまわないか

ドキドキしました。

 

古の人々も現代に生きる私たちも

「疫病イコールウィルス」を恐れる

気持ちは変わらないんだなと思いました。

 

賊にも襲われることになりますが、

ここでもあやかしたちは大活躍をします。

賊退治のために罠をしかけるあやかしたち。

特に兄やたちの罠は容赦なく

思わず笑ってしまいます。

 

今回、若旦那は薬問屋と廻船問屋の

大番頭たちと新しい商いを始めます。

 

両親が湯治に出かけて

若旦那が店主代理を務めたことで、

若旦那の頑張りや成長を見ることができました。

 

身体の弱い若旦那が

「きちんと役にたてる人になりたい」

と望みながら頑張る様子と

あやかしたちの魅力いっぱいの活躍

がこの先も楽しみな一冊となっています。

 

 

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