ジェーン・オースティン『高慢と偏見』感想!人間の虚栄心や偏見に満ちたイギリス恋愛名作!映画版も

 

「高慢と偏見」はイギリスの作家、

ジェーン・オースティン作の長編小説です。

ドラマ化や映画化もされているので、

タイトルに聞き覚えのある方もいるのではないでしょうか。

主人公はベネット家の次女・エリザベスです。

読書が好きな才女で、笑うことも大好き。

あるとき、大地主で容姿端麗のダーシーという男性と知り合いますが、

ダーシーの高慢な態度がいやになり、反感を抱くようになります。

やがて、エリザベスは将校のウィッカムと知り合い、

その優しさと美貌に惹かれはじめます。

彼はダーシーとは旧知の仲でしたが、ダーシーについて苦言を呈したのでした。

エリザベスはその話を信じてしまいますが、はたしてその真偽は……。

いつまでも色あせない、イギリス恋愛小説の名作です。

 

 

 

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ずば抜けた観察力

ジェイン・オースティン (著)
コリン・ファース (出演), ジェニファー・イーリー (出演), サイモン・ラングトン (監督)
キーラ・ナイトレイ (出演), マシュー・マクファディン (出演), ジョー・ライト (監督)

 

経済的理由で好きでもない人と結婚していいものだろうか。いつの時代も幸福な結婚を考える女性の悩みは変わらない。エリザベスとダーシーの誤解からはじまるラブロマンスは、いつ読んでもみずみずしく、オースティンの細やかな心理描写は、ときおり毒もはらむがユーモラスで、読後は幸せな気持ちにさせてくれる。

 

 

「高慢と偏見」は、ひとことで言えば「上流階級の女性の結婚話」で、

これといって大きな事件は起きません。

でも、つい、先が気になってしまうのです。

それは、作者オースティンの観察眼にあります。

オースティンは、夏目漱石が「文学論」で絶賛していることでも知られる、

観察力に長けた作家です。

その観察力こそ、「高慢と偏見」が名作となった理由のひとつ。

登場人物の仕草や表情が細かく描写され、

ちょっとした一文だけで人物像が浮かび上がってきます。

本作の主人公であるエリザベスは、観察力に長けた女性です。

自分が観察眼に鋭いことを自覚していて、

それを頼りにしていることも伺えます。

長女・ジェーンとダーシーの友人・ビングリーが好き合っていること

にいち早く気づいたり、その場にいる人たちの性格を考えて話題を変えたりと、

立ち回りも鮮やかです。

オースティンは、エリザベスの変化を通して、

観察眼に頼りすぎることの危うさについても描いています。

ぜひ注目して読んでみてください。

 

 

 

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滑稽な登場人物たち

 

先ほども書いたように、オースティンは観察力に長けた作家です。

「こんな感じの人、いるなあ」と思わずクスッと笑ってしまう人物が多く登場します。

たとえば、エリザベスの母親であるベネット夫人は、

ささいなことに一喜一憂する人物です。

ベネット夫人は、娘たちが結婚できるかどうかを何よりも気にします。

娘の恋愛が少しでもいい方向に転がったときは、

大げさなまでの喜びようです。

反対に、少しでも望みが薄くなると、ひどく落ち込んだり、

冷静な意見を述べる夫に噛みついたりと、手がつけられません。

ベネット家の遺産を目当てにエリザベスに求婚するコリンズも、

滑稽な人物のひとり。ひどい自惚れ屋で、エリザベスがプロポーズを

いくら断ってもへこたれません。

さらに、尊大な態度でくだらないことを話しつづけ、

ベネット家の人々をうんざりさせます。

しかし、作者はそのような人々を突き放すのではなく、

あくまで面白おかしく書くことに徹しているので、

好感をもって読み進めることができます。

 

 

 

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知的な主人公・エリザベス

 

「高慢と偏見」には、頭の切れる人物も登場します。

主人公のエリザベスとダーシーです。

快活なエリザベスと、偏屈なダーシーの対照も鮮やかで、

言葉の端々からふたりの人柄が伝わってきます。

特に、エリザベスのセリフは、登場人物だけでなく、

ときとして読者をもドキリとさせます。

ダーシーが「初対面の相手とはうまく話せない、

相手の話に関心があるふりができないから」

とエリザベスに言う場面があります。

すると彼女は、ピアノを弾くことにたとえ、

以下のように返すのです。

「あら、それなら私の指と同じですわ。(中略)私も面倒なことが嫌いで、練習をしないからです」(ちくま文庫『高慢と偏見(上)』中野康司訳)

 

ダーシーが初対面の相手と上手く話せないとしたら、

それはただの怠惰だというわけです。

エリザベスは、人間の愚かさや滑稽さを笑うのが大好きな女性です。

彼女の目を通して見ると、「人ってこんなに面白いんだな。

こんなに個性的なんだな」と発見があります。

「高慢と偏見」を読み終えたあとは、

周りの人たちのことをもっと知りたくなっているはずです。

 

ジェイン・オースティン (著)
コリン・ファース (出演), ジェニファー・イーリー (出演), サイモン・ラングトン (監督)
キーラ・ナイトレイ (出演), マシュー・マクファディン (出演), ジョー・ライト (監督)

 

 

 

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