行成薫『名も無き世界のエンドロール』あらすじと感想!映画化決定「どんでん返しがある!?」

 

今回ご紹介する一冊は、

行成 薫(ゆきなり かおる)

『名も無き世界のエンドロール』

です。

著者行成薫は2012年に『マチルダ』

(のちに名も無き世界のエンドロール』

に改題しています)

第25回すばる新人賞を受賞し、

2013年に単行本として発表されました。

他にも『バイバイ・バディ』

『僕らだって扉くらい開けられる』

『ストロングスタイル』

などを発表しています。

著者が受賞した第25回のすばる新人賞の

選考委員がそうそうたるメンバーで、

著者の物語の完成度と実力が

証明されているのではないでしょうか。

この『名も無き世界のエンドロール』

2021年に映画化も決まっており

主人公は人気イケメン俳優のこちらのお二人!

岩田剛典×新田真剣佑が初共演です。

映画版のホームページには、

著者や監督、俳優のコメントも

出されています。

映画が公開される前に未読の方は原作を、

既読の方はもう一度物語のおさらいを

してから映画を楽しみに

待ってみてはいかがでしょうか。

 

 

 

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ビビリストとドッキリストが企てる史上最大のプロポーズ大作戦

 

【第25回小説すばる新人賞受賞作】ドッキリを仕掛けるのが生き甲斐のマコトと、それに引っかかってばかりの俺は、小学校時代からの腐れ縁だ。30歳になり、社長になった「ドッキリスト」のマコトは「ビビリスト」の俺を巻き込んで、史上最大の「プロポーズ大作戦」を決行すると言い出した――。一日あれば、世界は変わる。男たちの命がけの情熱は、彼女に届くのか? 大いなる「企み」を秘めた衝撃作。

 

主人公ふたりの名前はキダ(俺)とマコト。

この二人は小学校からの腐れ縁です。

ドッキリを仕掛けるのが生きがいの

「ドッキリスト」のマコトと、

そのドッキリにいつも引っかかってしまう

「ビビリスト」の俺の前に小学5年生のある日、

転校生の少女『ヨッチ』が現れます。

親に恵まれない三人はお互いを

お互いの居場所として成長していきます。

やがて30歳になり社長になったマコトは

俺を巻き込んで史上最大のプロポーズ大作戦

を決行すると言い出します。

頑なに俺は断りますがいつのまにか

協力することになります。

史上最大のプロポーズ大作戦は成功するのか、

物語はスピードをあげて結末まで

駆け抜けていきます。

物語は過去と現在とヨッチの記憶を通して

時間軸を行き来します。

著者が好きな作家に伊坂幸太郎

挙げているように、

読む人によっては伊坂幸太郎に

似ていると感じる人もいるように、

三人の関係と友情、恋。そして絆が楽しく、

時には熱く切なく描かれています。

史上最大のプロポーズ大作戦の結末が

気になる人は是非

『名も無き世界のエンドロール』

を手に取ってみてはいかがでしょうか。

 

 

 

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現在と過去を行き来しながら語られる青春群像と陰

 

物語は現在と過去を行き来しながら進みます。

マコトと俺の関係や、

ヨッチが転校してきてからの三人の関係性は

まるで青春群像劇を見ているようです。

三人は家庭に恵まれず、

辛い過去も背負っていいるヨッチが

いつも口にする言葉があります。

 

「一日あれば、世界は変わる。二日あったら、宇宙がなくなってもおかしくない」

 

大げさにも聞こえるヨッチのこの言葉に、

頷く人もいるのではないかと思います。

ヨッチはそう言えるほどの過去を背負って

生きているのだとこの言葉で感じることができます。

そんな三人が育む友情と絆は切ないくらい綺麗

で美しいと思いました。

自分の気持ちに純粋なマコトが

仕掛ける史上最大のプロポーズ大作戦は

マコトの裏の部分を見ているような気持になります。

一見純粋で天真爛漫なマコトにも

陰の部分がありました。

ところどころに陰が見え隠れする

マコトの言動や行動にマコトが企てる

史上最大のプロポーズの意味に深いもの

があるのではと考えずにはいられません。

 

 

 

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エンドロールで観えるもの

 

ヨッチが言う

「押しボタン式信号の押しボタンを押さなかったら、押しボタンの立場がない」

 

が特に印象に残りました。

この言葉は物語の中でも

意味を持つ言葉なのですが、

他にヨッチの気持ちを

表しているのではないかと思いました。

もしかしたらヨッチは存在というもの、

特に自分の存在というものを

無意識のうちに意識している

のではないかと感じました。

物語は現在と過去を行き来しながら、

現在の世界で行われようとしている

史上最大のプロポーズ大作戦へと

伏線を回収しながら進みます。

結末に行く着く先にすべての真実がわかります。

それでいいのか、それでよかったのか、

作戦が決行されたあとの残る切なさに

何とも言葉が出ず、

せめて指輪が届くといいなと思いました。

著者はこの物語を映像でも見れるようにと

書いたと話しています。

著者が言うようにこの物語は

エンドロールまで観て感じることができる

と思います。

結末がハッピーエンドかバットエンドか

意見はさまざまです。

エンドロールまで観て

あなたはどのように感じるのでしょうか。

 

 

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