ジョージ・オーウェル『一九八四年 新訳版(ハヤカワepi文庫)』あらすじと感想!映画版も

 

今回ご紹介する一冊は、

ジョージ・オーウェル

『一九八四年』

です。

 

『一九八四年』は、

イギリスの小説家

ジョージ・オーウェル

によって書かれたSF小説です。

「ディストピア小説」と呼ばれる、

理想的な「ユートピア」とは真逆の世界を

舞台とした小説の代表格で、

政治や社会に対する皮肉や警鐘が

ふんだんに盛り込まれています。

2017年にドナルド・トランプが

アメリカ大統領となった際には、

全世界で爆発的なヒットを飛ばしたので、

それでこの作品を知ったという方

もいるかもしれません。

作者であるオーウェルは

イギリス一の名門校とも呼ばれる

イートン・カレッジを卒業した

超エリートでしたが、

当時の帝国主義的なイギリスの在り方には

反感を抱いていました。

むしろ社会主義思想に共鳴するなどしており、

そうした作者の政治思想

この作品にも反映されています。

私たちが普段、ともすれば忘れがちな

「自由」に関して、

私たちに様々なことを

教えてくれるのがこの作品です。

とても半世紀以上前に書かれた作品

だとは思えないほどです。

 

 

 

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ジョージ・オーウェル『一九八四年』のあらすじ

ジョージ・オーウェル (著), 高橋 和久 (著), 高橋和久 (翻訳)
ジョン・ハート (出演), リチャード・バートン (出演), マイケル・ラドフォード (監督)

 

〈ビッグ・ブラザー〉率いる党が支配する超全体主義的近未来。ウィンストン・スミスは、真理省記録局で歴史の改竄に従事していた。彼は奔放な美女ジュリアとの出会いを契機に、伝説的な裏切り者による反政府地下活動に惹かれるようになる。

 

「ビック・ブラザー」と呼ばれる指導者

が率いる党による独裁政治が続く、

全体主義的社会がこの物語の舞台です。

主人公であるウィンストン・スミスは、

真理省記録局と呼ばれる政府機関

に勤務しています。

しかし「真理省」という名称は正に名ばかりで、

党の方針に合わせて記録や文書を

改ざんするのがこの機関の仕事だったのです。

党は民衆に絶対的な忠誠を求め、

その言動は表情に至るまでカメラとしての

役割も持ち合わせたモニターによって

常に監視され、反体制的なことを

考えることすら禁止されていました。

スミスはそんな全体主義的な体制に

兼ねてから不満を抱いており、

その体制が打倒されることを、

心の奥底では願っていたのです。

何しろ政府による改ざんの現場を

目撃するどころか、

自らが改ざんに携わっているのですから、

反感を抱くのも当然でしょう。

そんな中で、スミスは奔放で

自由を愛する女性ジュリアと出会い、

反体制的な活動に惹かれていく

ことになります。

思考警察と呼ばれる秘密警察の影におびえ、

いつかは自らも逮捕されることを予感しながらも、

彼は政府を、

そしてビック・ブラザーを憎み続けるのです。

果たして、彼を一体どのような運命が

待ち受けているのでしょうか。

 

 

 

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ジョージ・オーウェル『一九八四年』のメッセージ

 

オーウェルはこの物語を完全なる

フィクションとしてではなく、

起こりうる近未来として描いたのでしょう。

そこにはオーウェルから私たちへの、

数多くのメッセージが込められています。

この作品で描かれる世界は間違いなく

「ディストピア」です。

食べ物をはじめとした物資は常に不足しているのに、

政府は産業が発達していると発表し、

さらには常に隣国と戦争状態にある。

そして何より恐ろしいのは、

人々がそうした現状になんの疑問や不満

も持たず、政府を妄信していることです。

その姿は、ナチス・ドイツ政権下の、

人々の狂気的なまでの熱狂を彷彿とさせます。

オーウェルが私たちに伝えたかった

最も大きなメッセージは

「政府やメディアを妄信せず、自らで考えろ」

ということではないでしょうか。

スマホから流れてくる情報を

鵜呑みにしてしまいがちですが、

一度立ち止まって考えてみろと、

オーウェルは70年も前の世界から

私たちに警鐘を鳴らすのです。

 

 

 

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ジョージ・オーウェル『一九八四年』のリアリティ

 

ディストピア小説には他に、

同じくオーウェルの『動物農場』や、

ブラッドベリの『華氏451度』などがありますが、

それらに共通しているのは社会に対する皮肉や、

メッセージが込められているということです。

『一九八四年』が今なお世間で注目を浴びるのは、

こうしたところに理由があるのでしょう。

例えば、「森友学園問題」では

財務省による文書の改ざんが問題視され、

連日報道されたことは

記憶に新しいかもしれません。

しかしこの文書の改ざんは、

正に「真理省」が行っていた

それではありませんか!

さらに、作中で描かれる異様なまでの

監視体制と反対派の排除は、

北朝鮮や中国といった独裁国家のそれ

を彷彿とさせます。

70年前の作品が、現在に通じる社会の問題点を

描ききっているのは、

オーウェルの豊富な知識と卓越した思考

があるからでしょう。

「民主主義が脅かされている」と、

よく耳にする今日の社会だからこそ、

ぜひとも一読していただきたい作品です。

読了後には、きっと社会を見る目が

変わっているはずです。

 

ジョージ・オーウェル (著), 高橋 和久 (著), 高橋和久 (翻訳)

 

 

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