今回ご紹介する一冊は、
佐藤優(さとうまさる) 著
『調べる技術 書く技術
誰でも本物の教養が身につく知的アウトプットの極意』
です。
著者は、
元外務省主任分析官で現在専業作家の佐藤優。
氏が活動する上で心がけている、
必要な情報を「調べ」、
それとともに「書く」といった一連の
知的生産術を一冊にまとめたものです。
大量に読み、そして書くことを生業としている
佐藤氏は単に大量のインプットをしているわけではなく、
本書で紹介している「身につく」読み方を実践し、
インプットと合わせてアウトプットを行うことで
読んだ情報を本物の教養へと育てていきます。
現代は情報過多な時代です。
日々、SNSやスマホで手軽に多くの情報を
浴びて生活しています。
こうした手軽なインプットの「量」が、
本当に「自分のもの」になっているのかと、
佐藤氏は問います。
質の高いインプットとアウトプットの両輪が
そろうことで得た情報が自分の知識になり、
本物の「教養力」となります。
そんな実践的な技法が書かれています。
目次
良質なインプットをする
「月に500冊の本を読み、1200ページの原稿を書き、130人と面会、1日4時間をインプットに充てている」と語る作家・佐藤優氏。
そんな佐藤氏が毎日実践している、知的生産(「読む・書く・考える」の実践法)を、
初公開!
全ての情報はインプットから始まります。
基本は「本を読むこと」です。
インプットには大きく分けて2種類あります。
1つは理解力の土台を作るためのインプット、
もう1つは具体的なアウトプットのために行う
インプットです。
前者は高校教科書レベルの知識、教養と、
自分の仕事に関する知識を指します。
世の中には、基礎的な知識、
教養がなくては理解できない情報が
たくさんあります。
新聞1つをとってみても高校の教科書レベルの知識、
教養があるのとないのとでは、
理解のレベルもスピードも大きく異なります。
仕事に関する知識をしっかり身につければ、
新しくインプットする情報の理解度が底上げされます。
当然、そのインプットをもとに行う
アウトプットの質も高まります。
多少時間はかかりますが、
この土台を作る学びは今後の全てのインプット
の質を高めるために最も重要なことです。
後者は目的意識をもって行うインプットです。
理解力の土台を作るためのインプットには
目的がない一方、こちらは目的のある
インプットと呼ぶことができます。
ダイエットしたいからダイエット本を読む。
資格試験を受けるなら参考書を読む。
それと同じことです。
これは普段から誰もが行っていることです。
また、ネット情報は制限時間を設けないと、
時間を浪費してしまいます。
キーワード検索はスピーディーですが
検索結果が間違っている場合もあり注意が必要です。
アウトプットして定着させる
インプットしたあとはアウトプットすることで、
新しく触れた知識を自分のものにすることが大切です。
佐藤氏がすすめる情報処理方法は
「手書き」が基本です。
使うノートは「1冊」だけです。
全ての情報を1冊に集約させておけば、
過去に記した情報を参照したいときも、
その1冊をパラパラと繰るだけで済みます。
そこに「今日あったこと」を書き出す。
一日を振り返ることが、
日々の仕事の効率アップにつながります。
行動の記録が記憶を呼び覚ますこともあります。
知識を自分のものにすることは、
知識をしっかり記憶に定着させ、
必要なときに正しく引き出せるということです。
読書の際に記すポイントは、
「本の抜き書き」と
「それに対する自分のコメント」の2つです。
重要な箇所を選び、
手を動かして記すことで、
知識の記憶への定着率は確実に上がります。
そして自分の頭で考えてコメントするということは、
「批判的思考力」を持って物事を見ることです。
日頃から情報を鵜呑みにせず、
自分の頭で考える力を養うことが
知的生産力を上げることにつながります。
佐藤氏は、あるテーマについて
自分なりに感想をまとめてみるのもいいと言います。
それも「参照不可」で書いてみることが
勉強になります。
本やネット情報をいっさい参照せず、
純粋に自分の頭の中に定着している材料だけで
考えをまとめてみる。
すると、知識が抜けているところや
自分の考えの甘いところを知ることが
出来ます。
本物の知的生産力を身につける
最後にこうした知的活動を支える
インフラ整備すなわち「自己福祉」が大切です。
自分の経済状況や出費の傾向を把握すること。
そのなかで、賢くお金を使い、
「浪費」をなくす。
こうしてインプットにも適切にお金を
かけられるようにすることで、
持続可能な知的生産が可能になります。
そして、重要なのは知的生産力を高めること
自体ではなく、知的生産を高めることで
人生が充実することです。
「知的生産力を高めなければ」
と追い立てられるのではなく、
人と会ってコミュニケーションをとることや、
ときには休息することも必要です。
そういう時間を持ち、
心身のバランスをとることも
知的生産力の一部であると、著者は言います。
この本を読んで、
ぜひ「知的生産のための知的生産」ではなく、
「人生を充実させるための知的生産力」
を身につけてほしいと思います。
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