【感想】『古代ローマ帝国軍 非公式マニュアル』内容をレビュー!フィリップ・マティザック著

 

今回ご紹介する一冊は、

フィリップ・マティザック

『古代ローマ帝国軍 非公式マニュアル』

です。

 

著者のマティザック氏は、

オックスフォードで博士号を取った

古代ローマ史の専門家で、

これまでに

『古代ローマ旅行ガイド 一日5デナリで行く』

や『古代アテネ旅行ガイド 一日5ドラクマで行く』

などの邦訳があります

(いずれもちくま学芸文庫)。

 

タイトルからもお分かりのように、

これらは古代都市の生活を

トラベルガイドの形式を借りて、

紹介したもの。

 

手堅い史学研究の成果を、

堅苦しい専門書としてでなく、

ユーモア溢れる読み物として

まとめるのが得意な著者という認識

でいいようです。

 

史学は門外漢なので、

書評の受け売りになりますが、

軽そうな見かけに反して、

公証は案外としっかりしていること

にも定評があるようです。

 

そんなマティザック氏の今回のテーマは

古代ローマ帝国軍。

 

「帝国は諸君を必要としている!」

の惹句も雄々しく、

如何にして帝国軍の一員となるかに始まり、

 

戦場において武運拙く散華した場合の

墓碑銘の書き方まで(おいおい)

を網羅して、

 

あなたの帝国軍人ライフを快適にしてくれる、

必携の(非公式)マニュアル

というわけです。

 

そんなわけで内容を

少しばかりご紹介しましょう。

 

『古代ローマ帝国軍 非公式マニュアル』

こちらでもすぐに入手できますよ♪↓


『古代ローマ帝国軍 非公式マニュアル』帝国は諸君を必要としている!

フィリップ マティザック (著), 安原 和見 (翻訳)

 

帝国は諸君を必要としている! ローマ軍兵士として必要な武器、戦闘訓練、敵の攻略法等々、超実践的な詳細ガイド。血沸き肉躍るカラー図版多数。

 

 

ただし以下の条件を満たすならば。

まず女性の方は

ご遠慮いただいております。

 

この項は正式には

「男性器が揃っていること」なので、

去勢者の方もお引き取りください。

なお妻帯者の方も残念です。

 

それから目が悪い方、

身長が173センチに満たない方

もここまでとなります。

 

五体満足でない方、健康でない方は

軍隊ですので当然ではないかと。

基本的に前科がある方もお断りです。

 

読者の方には大変残念なお知らせですが、

ローマの市民権をお持ちでない方も

お引き取りを頂いております。

 

その上で、なるべく地位の高い方からの

推薦状を必須とさせて

いただいております。

あしからず。

 

ちなみに市民権に関しては、

背に腹は代えられない時期はあったものの、

外国人はもとより奴隷も

お断りだったそうです。

 

奴隷が身分を隠して入隊した場合、

最悪死罪もありえたとのこと。

 

意外な気もしますが、

これフィクションのネタになりそうだな、

なんて思いますね。

 

以上の条件を満たせば、

試験(面接による単なる確認のようなもの)

となり、これに合格すれば、

宣誓を経てあなたは晴れて

ローマ帝国軍の一員というわけです。

 

なお実際の勤務地にある兵舎が

遠くにある場合もあって、

そんな場合でもわりと旅費だけ渡されて、

現地集合だったそうです。やれやれ。

 

 

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『古代ローマ帝国軍 非公式マニュアル』軍団、他の軍種、装備、訓練、エトセトラ

 

いっぱいあった軍団とは

何かの話を始めると、

この紙幅では収まらないので、

本書をどうぞ。

 

その軍団以外にローマ軍には、

ローマ市民ではないあなたでも

入れる補助軍(アウクシリア)や

(あんまり優秀とは言えなかった)騎兵、

(継子扱いだった)海軍など

あったそうです。

 

目指すなら、

おすすめは近衛軍(プラエトリアニ)

でしょうか。

 

この将軍直属の部隊は

首都ローマを離れることはめったになく、

勤務は楽で、

その他様々な役得を得ていたようです。

 

もっとも一般市民からは

嫌われていたようですが。

 

続いて装備の話をしましょう。

著者によるともっとも重要な装備は

サンダルとチュニックだそうですが、

これではさすがにピンとこないので、

もう少しらしいもの、まずは鎧のお話。

 

引用をしておくと

「鎧の主たる役目は磨かれること」

なのだそうですが、

本書ではもっとも一般的だった

ロリカ・セグメンタタ(ザリガニ風と呼ばれる)

のイラストなどを見ることができます。

 

このロリカ・セグメンタタは

ローマ兵といえば、

まず最初に連想されるくらい

特徴的なものですが、

ローマ兵は槍も特徴的なもの

を使っていました。

それがピルムです。

 

この槍は一般的な短槍と違って、

戦闘の時以外はまったく使えない

(しかも重たい)厄介者でした。

 

ローマ軍の主な訓練

(というか実戦も)隊列を作って、

ひたすら歩くことだったそうですから、

そりゃあ重いものは嫌でしょう。

 

著者は

「もう運ばずにすむというチャンスを見逃すな」

とアドバイスをしています。

 

 

 

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『古代ローマ帝国軍 非公式マニュアル』この本の使い方

 

基本的には完読すると言うより、

暇なときにパラパラとめくって、

豊富な図版を眺めたりして

楽しむ本だと思います。

 

それからローマ帝国軍ってこの辺、

どうなってたっけ?

みたいな場合に辞書的に使うか。

 

項目は網羅的で、記述は詳細です。

しかもその記述はいわゆる兵士目線。

 

例えば前項で触れたピルムのことを

ネットで検索すると、

かなり詳細な記述が見つかります。

 

けれど重くて使えない厄介者を、

徒歩で運ばなければならない兵士

の気持ちになんかは誰も触れていません。

 

そういう意味でもユニークな本です。

では最後にもう一度

「帝国は諸君を必要としている!」。

 

 

フィリップ マティザック (著), 安原 和見 (翻訳)

 

 

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