今回ご紹介する一冊は、
坂木司(さかき つかさ) 著
『アンと愛情』です。
累計80万部を売り上げた大人気作品です!
「和菓子が食べたくなる本」として、
広まりました。
2作目:『アンと青春』
3作目:『アンと愛情』
著者の坂木司は、
デビュー作『青空の卵』を含む、
『引きこもり探偵シリーズ』で注目されました。
著者の作品スタンスは
【和菓子のアンシリーズ】も
『ひきこもり探偵シリーズ』も
「日常の謎」と「主人公の成長」を
中心に書かれています。
著者は覆面作家としても
知られており性別も
明らかにされていません。
理由は
先入観を持たずに作品を読んでほしいから
との著者の思いがあるようです。
登場人物の、
特に男性の書き方から
「作者は女性では?」との声が
聞かれるようですが、
著者の作品を読んだことがある方、
これから読む方、
読後に物語の内容とともに
作者像も思いを巡らせてみるのも
良いかもしれませんよ^^
目次
坂木司『アンと愛情』 和菓子の謎に、ライバル?環境の変化も訪れる
今回も主人公「アン」が働く
和菓子屋「みつ屋」を舞台に
お客様が持ち込む和菓子の「なぞ」と
主人公の「成長」が描かれる
5つの物語プラス書き下ろし2つのお話です。
アンちゃんが成人式を迎えたこともあり
物語はアンちゃんの成長する姿を、
少しだけ切ない部分も
織り交ぜながら語られていきます。
和菓子の説明もいつものように
雅な輝きを持って語れていて
上生菓子を食べてみたい熱が
湧き出すこと請け合いです。
今回アンちゃんに同年代の社員さんと
働く機会が訪れます。
そして大切な人との関係の変化が訪れます。
成人式の着物選び、バレンタインデー催事、
金沢旅行の和菓子、ワラビ餅の謎、
おせんべいでのあれこれなど
謎やイベントの中で今回も
「食は文化」ということを
しっかり伝えてくれています。
アンちゃんとアンちゃんと同年代の社員に
椿店長が言った言葉
「問題点は理想的な店員の姿が一種類しかないことよ」
のように仕事をする上で
心にとめておきたい言葉、
日常でも思いや言葉など、
5つの物語の中で心に残るものが
必ず読んだ人それぞれあると思いました。
書き下ろし2つのお話の中の師匠が
桜井さんにと作った
『豆大福』想像して
「これは可愛すぎ!さすが師匠!お茶目で粋!」
と思ってしまいました。
それを見た立花さんの乙女も全開でした。
どんな豆大福かは読んでのお楽しみです。
あーー、豆大福食べたい。。
坂木司『アンと愛情』 主人公も周りも魅力的 だから応援したくなる!
この物語は
【デパ地下の和菓子屋「みつ屋」】が
舞台です。
主人公の他にも一緒に働く人たちの
キャラクターがとても素敵です。
自分に自信が持てないアンちゃんを
見守りつつも、
注意するべきところはきちんと
注意するところが、
社会人として働くことの厳しさを
アンちゃんに教えているのだなと思います。
そのことをアンちゃんは
卑屈に捉えるのではなく、
素直に聞き、吸収していくところが
アンちゃんを応援していきたくなるところ
かもしれません。
仕事ができて大人で素敵な
アンちゃんのあこがれる椿店長、
きっちり爽やか、そして乙女な立花さん、
すっきりさっぱり元ヤンの桜井さん。
アンちゃんと一緒に働く
この3人の素敵なキャラクターも
ファンをとらえて離さない要因
のひとつではないでしょうか。
アンちゃんと立花さんの恋の行方も
気になるところでヤキモキさせられます。
師匠も忘れてはいけません。
師匠はお茶目ですが和菓子を愛し
素敵な和菓子をつくる職人さんです。
前回のシリーズで師匠が言った言葉
「半殺し」。
和菓子用語で「半殺し」という言葉を
使うことを知りました。
和菓子の背景も含めて和菓子は
奥が深いなとシリーズを
読むたびに感じます。
坂木司『アンと愛情』 ゆっくりでも1歩1歩進んでいく
本作品でアンちゃんにも和菓子を通して、
調べることで学ぶことへの意欲
が出てきたように思いました。
大学には進学せずアルバイトを
しているアンちゃんの心の変化に
ゆっくりでも、
1歩1歩進んでいる様子が
見られたような気がします。
そしてアンちゃんがあることで
とても辛くなり、
立花さんと桜井さんに
意見をされています。
特に立花さんにはキツイと
思うようなことを言われてしまいます。
しかしこれを言える立花さんも
アンちゃんを思ってのことでは
と思いました。
確かに子供といえるような考えを
アンちゃんはしてしまったのかも
しれません。
反面それは仕事に対して
真面目に向き合っていることの
表れではないかと思いました。
誰でも少なからず1度は遭遇する出来事、
そのことを乗り越えたからこそ
アンちゃんを益々応援したくなる
のではないでしょうか。
今回はアンちゃんや周りも
ステップアップしたように思います。
続きがますます楽しみになりました。
しかし【和菓子のアンシリーズ】を読むと
和菓子が食べたくなるのは
善い意味で困ったものです。
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