今回ご紹介する一冊は、
石原 明(いしはら あきら)著
『営業マンは断ることを覚えなさい』
です。
近年モノが売れない時代に
突入したと言われています。
とりわけ日本のビジネスパースンで
大多数を占める営業マン(セールス)の方は、
それを一層肌身に感じていると思います。
多くのセールスは、
会社入社後の各種研修やOJT、
日ごろの営業活動を通して自社商品の
販売手法を身に着けているにも関わらず、
安定して売れるセールス・
売れないセールスが必ず存在します。
どんなに教育訓練と経験値を重ねたとしても、
不思議な事に誰もが売れるセールスに
はなれません。
ビジネスの根幹を支える「販売」という
プロセスにおいて、
成果を得るための手法が未だに確立されていない
のはなぜなのでしょうか。
本書は、
セールスという職種の先入観を根底から見直し、
誰もが売れる仕組み・考え方を
分かり易く解説してくれます。
著者の石原明氏は、
ヤマハ発動機~外資系教育会社を経て6万人
のセールスの中でトップクラスの成績を維持し、
現在は日本経営教育研究所という
プラットフォームにおいて、
国内・外問わずビジネスの最前線で
活躍中の経営コンサルタントです。
目次
『なぜ売れないのか。営業に対するイメージを変える事から始まる。』
全ての経営者・営業マンへ!
自費出版が口コミで17,000冊以上売れ、日本中で話題になった石原明の代表作が
文庫サイズで帰ってきました。
さらに今回は、今やマーケティング理論のスタンダードとなった
「石原式4ステップマーケティング」の解説を丸ごと1章追加した超お得版!
常にカバンに入れて、何度でも読み返して欲しい一冊です。
セールスという仕事は、
一般的にはネガティブに捉えられがちです。
顧客の言いなりになり、
無理難題を受け入れつつ、
顧客が最大限満足するように社内調整する、
セールスという職種に対しそのようなイメージ
を持つ方は多いのではないでしょうか。
しかし、本書ではこのイメージ自体を
根本的に否定する所からスタートします。
実は、どんなにOJTを重ねても
商談ロールプレイングを重ねても、
誰もが思うような成果はあげられません。
それはなぜか。
通常、セールス側の目線は“モノを買ってほしい”、
一方顧客の目線は“いい条件でモノを買いたい”、
販売における売り手と顧客の心理的な構図は
このような関係性となります。
多くのセールスは、
「顧客と良い関係を築くには顧客の要求を
いかに実現するかが最重要であり、
そのためには自身の時間や会社のリソースを
割くことは当然である」
このように考えています。
しかし、本書はその考え方を根底から
覆すロジックを示します。
それは、あえて戦略的に
顧客の要請をスルーし、
自身(自社)が常に優位に立つポジショニング
をキープしながら販売に繋げる、
という一見矛盾に満ちているような、
一般的な感覚からはかけ離れているような
魔法のようなテクニックを、
論理的に提示します。
本書前半は、
この「商談の主導権を相手に渡さない」
ためのトピックを様々な観点から解説します。
長年ビジネス界の最前線で活躍してきた
著者ならではの唯一無二の営業手法が
多数散りばめられています
『なぜ売れないのか。経営サイドも営業に対するイメージを変え、組織体を変えていかない限り成果は出ない。』
本書中盤以降は、
前項で示したテクニックを実践していく事が
できる組織体を作り上げるための、
経営サイドからのアプローチ手法を
紹介していきます。
売上を最大限に高める手法として、
本書では「4ステップマーケティング」
という考え方を提示します。
これは著者である石原明氏が
独自に考え出した
マーケティングメソッドです。
まずはマーケティングという
ビジネスの一連の活動を細分化し分類します。
この際の注意点として、
仕事をパーツに切り分けること(部分最適)が、
切り分ける前よりも労働成果が
高いか否かを最重視します。
次に分類した各ステップを、
「①集客。②見込み客フォロー。③販売。④顧客化」
という4つの分類に分け、
それぞれの属性に応じてビジネスの一連の活動を
①~④に振り分けていきます。
一般的な現代のマーケティングのセオリーは
「①集客。②販売。③顧客化」
の3ステップを基本としますが、
著書で提示する4ステップの最大の特徴が、
2番目に追加された
『見込み客フォロー』というステップになります。
このレイヤーが1つ追加されることで、
成約率・リピート率・売上規模が劇的に向上し、
ビジネスのアウトカム(成果)が大きく変貌を遂げます。
本書中盤では、
売上規模の劇的向上に繋がる
「4ステップマーケティング」を、
実際のビジネスシーンのケーススタディー
を例に挙げながら、
その導入効果を様々な観点から説明していきます。
「経営者が断れる仕組みをつくる。」
セールスがどんなに主導権を握った
営業ができるようになっても、
組織としてセールスをバックアップできる
体制が整ってなければ、
売上の最大化は図れません。
セールスは自身の売上目標を達成するため
の行動をとります。
組織に所属するセールスたちは、
各々が方針や施策に基づき、
成果を上げるために行動します。
はたして各セールスたちの“部分最適”な活動が、
“全体最適”に繋がるのでしょうか。
営業マンが断ることを覚えることで、
主導権を持った活動が出来るようになり、
成果が出始めたとします。
しかし、最終的な意思決定者は、
経営者となります。
経営者が判断する局面は、
営業マンが判断する内容と比較すると、
その重みや影響度合は比較にならない
場合が多いでしょう。
本書では、
企業の販売活動をマーケティング的観点から捉え、
現場(セールス)~管理(経営)
のそれぞれの階層での、
最適行動を説明してきました。
これは言い換えると部分最適の積み重ね
となります。
果たして、部分最適を積み重ねることが、
全体最適に繋がるのでしょうか。
本書の帰結として、
この部分最適を全体最適に終結させるために、
経営者・役員が持つべきマインドを紐解きます。
労働集約化がより一層激しくなってきた昨今、
個人の成果をいかに上げるかに
スポットが当てられていますが、
定量評価できる個人の達成度に縛られると、
組織はゆっくりと崩壊し、
死んでいきます。
売上アップに繋がる一連の行動
を支えるには、
成果を第一義とする組織風土を作らない経営者
の判断が最も重要であり、
セールスという職種において
成果を最大限に発揮するためには、
成果を重視するだけでは
目標は絶対に達成することは出来ない、
と本書は説きます。
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