今回ご紹介する一冊は、
数多 久遠（あまた くおん） 著
『航空自衛隊 副官 怜於奈』
です。
タイトルだけみると、
ライトノベルかな
と思うのですが
想像以上に
自衛隊の内情を
事細かに描いて
くれています。
それもそのはず。
著者の数多久遠さんは
航空自衛隊の
元幹部自衛官。
詳細は伏せられていますが、
副官経験のある
小説家であり、
軍事評論家です。
著書には航空自衛隊を
メインに取り上げた
デビュー作「黎明の笛」や
海上自衛隊を取り上げた
「深淵の覇者」など
ご自身の経験と見識を
存分に込めた作品を
発表しています。
この作品はこれまでの
著書よりも
自衛隊のことを
よく知らない人にも
手に取りやすそうな
内容になっています。
まず主人公が
若い女性であること。
そして副官と言う
あまり存在を
知られていない役職
について描かれていること。
ちょっと変わった職業の
お仕事小説としても
楽しめる作品です。
目次
数多久遠『航空自衛隊 副官 怜於奈』 自衛隊内の隠れた小ネタが満載！
二年前、沖縄那覇基地に転属してきた幹部自衛官の斑尾怜於奈は異動時期を迎えていた。その彼女に下ったのは、思ってもみなかった南西航空方面隊司令官付き「副官」の辞令。副官は激務として知られると同時に優秀と評価される者が就くポジションだが、その仕事内容を知らない彼女を待っていたのは……。元幹部自衛官で、自らも副官を経験した著者が「自衛隊が直面するトラブルと人間模様」を描く、新しい自衛隊小説の誕生！
皆さん、自衛隊の副官
ってどんな存在か
知ってますか？
私は全然知りませんでした。
自衛隊の中ではかなり
特殊なポジションで、
一般の会社で言うなら
秘書のような存在
だそうです。
ですが、自衛隊の中でも
ひよっこから
ステップアップしようか
という駆け出し
幹部自衛官が副官になる
そうで
将来的にはかなりの
要職ににつくかも
しれない存在です。
いろんな部署とのパイプ役
を担うこともあり、
自衛隊全体のことを
把握することのできる
ポジションでもあります。
この作品は副官に
抜擢されてしまった
怜於奈の目線で、
自衛隊の内情が
描かれているのです。
これも元自衛官という立場
でしか描けないような、
そうなんだぁっと思わず
感心してしまうような
小ネタもたくさん
入っています。
この小ネタの多さがまた
リアリティを感じさせます。
私にとっては
自衛隊の特別借り上げ宿舎
のことや幕僚担当の
ドライバーがいることも
衝撃でした。
もし自衛官の人が読んだら、
自衛隊あるあるが
楽しめるかもしれないですね。
数多久遠『航空自衛隊 副官 怜於奈』 軍事が好きな人はより楽しめる！
軍事、ミニタリーが好き
という人はもっと楽しめる
かもしれません。
この作品の中には
たくさんの軍事用の
言葉が出てきます。
パトリオットミサイルとか
ストロボとかＲＴＢとか。
民間人にはよくわからない
言葉ばかりですが、
わかる方には大興奮の
内容なのでは
ないでしょうか。
もちろん作中で
丁寧に解説してくれるので、
詳しくない人も
問題なく読み進められます。
でも軍事のことが
好きな人には、
特におすすめです。
また様々な行事に、
どの部署がどんなふうに
関わってくるのか、
なども事細かに
描かれているので、
副官をはじめとして、
どんな部署があって
どんな仕事を
しているのか
知りたい人は
ぜひ手にとって
みてください。
数多久遠『航空自衛隊 副官 怜於奈』 この国の防衛の現実
この作品は第一章から
第四章までありましたが、
一番緊迫して、
夢中になれたのは
最後の第四章でした。
きっと著者が
一番伝えたかったのも、
このお話なのでは
ないでしょうか。
それは、日本という国は
常に外敵に晒されていて
自衛隊が国防を
担っているという事実。
そしてそれが決して
正確に伝わっていない
という事です。
昨今の災害派遣などで、
自衛隊の存在意義への
理解はかなり進んだと
私自身は感じています。
けれど、まだまだ穿った
見方をする人も
数多くいるのだ、
ということを
この章では描いています。
自衛官の目線から見ると、
なんとも悔しい気持ち
だと思います。
国防はとても
難しい問題ですが、
自衛隊の人々は
まさに今この時も
国を守るために訓練し、
有事の際は動けるように
準備してくれているんだ
と感じることができました。
この作品は、
国防というものを
考えさせるきっかけを
与えてくれると思います。
作品の中では怜於奈が
副官に着任して
まだ一ヶ月しか
経っていないので、
まだまだ新たなエピソード
が生まれて来そうです。
著者の数多さん自身も
シリーズ化を
狙っているようなので、
ぜひこの最初の作品から
自衛隊と国防について
知見を深めてみては
いかがでしょうか。
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