ブレイディみかこ『ワイルドサイドをほっつき歩け』新刊あらすじと書評(感想)!

 

今回ご紹介する一冊は、

ブレイディみかこ

『ワイルドサイドをほっつき歩け

--ハマータウンのおっさんたち』

です。

 

英国が大混迷しているとき

の様々な事情を、

「おっさん」と

世間から呼ばれる、

いわゆる中高年世代の

立場・視点から描く笑いと

感動のエッセイ集です。

 

あとがきにも書かれていますが、

この本は

「おっさんを書いてください」

という唐突な提案から

始まった作品なのだそうです。

 

皆様もご存知の通り、

著者の

『ぼくはイエローでホワイトで、

ちょっとブルー』

という作品は、

おっさんとは真逆の

フレッシュな少年たち

について書かれた作品です。

 

そんな対比を楽しみながら

読むのも良いかもしれません。

 

EU離脱を目前に控え、

時代が大きく変わろうと

している中で、

英国のおっさんたちは

何を思い、何を考え、

どう生きていこうとしているのか。

 

日本と似ている点や日本とは

全く違う点なども

たくさん出てきますので、

それを楽しめるのも

この本ならではの魅力と

言えるでしょう。

 

 

 

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ブレイディみかこ『ワイルドサイドをほっつき歩け』 ウーバーとブラックキャブ

 

EU離脱、競争激化社会、緊縮財政などの大問題に立ち上がり、人生という長い旅路を行く中高年への祝福に満ちたエッセイ21編。第2章は著者による、現代英国の世代、階級、酒事情ついての解説編。/「世界でいちばん愛すべきおっさんたち(&おばさんたち)が、ここにいる。あんたら、最高すぎるんだけど……」高橋源一郎(小説家)/「イギリスの市井の人の魅力を引き立てるブレイディさんの愛と観察眼と筆力に心を丸ごと持っていかれた。一編一編が人情に満ちた極上のドラマ!」ヤマザキマリ(漫画家/随筆家)/「高みからレッテル貼ってるだけじゃわからない、厄介で愛おしい人生たち!」ライムスター宇多丸(ラッパー/ラジオパーソナリティ)

 

 

この本に収められている

21ものエッセイの中で、

私が一番興味深かった

エッセイを紹介いたします。

 

それは、

「9、ウーバーとブラックキャブとブレアの亡霊」

です。

 

ブラックキャブは、

言わずと知れた

ロンドン名物のタクシーであり、

それに対し、

ウーバーも今や知らない人は

いない米国の

ウーバー・テクノロジーズ

が運営する

自動配車サービスまたは

配車アプリのことです。

 

英国では、この伝統的な文化と

革新的なテクノロジーが

どう共存しているのか、

非常に興味が湧くところです。

 

このエッセイを読むと、

どうやら共存とはほど遠い

ようで「対立」が起こって

しまっているとのことです。

 

それもただのサービスの

対立だけではなく、

英国人と移民の対立にまで

発展していて、

人種差別などの

社会問題にまで

発展してしまっているとのこと。

 

さらには、

国までもがウーバーの

営業免許更新を止めたり、

禁止を支持したりと、

 

単なる企業間競争では

済まない大きな問題に

発展しているのです。

 

私たち日本人でも

よくあることです。

 

テクノロジーが発展しすぎて

ついていけない。

 

便利なことはわかっているものの、

伝統や文化を守っていくこと

も大切だ。

 

こういう考えの元、

それを簡単には

受け入れられない

英国のおっさんたちが、

 

この後どちらを選択していく

ようになるのか、

今後の行方が

非常に注目されます。

 

 

 

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ブレイディみかこ『ワイルドサイドをほっつき歩け』 EU離脱問題が離婚に発展?

 

これは、最初のエッセイをはじめ、

いくつかのエッセイに

登場する夫婦の話題なのですが、

 

幸せに暮らしていた夫婦が

EU離脱問題を巡って

離婚の危機を迎えている

ということです。

 

国民投票で

EU離脱派に投票するか、

EU残留派に投票するかで

離婚問題に発展する

というのは、

 

なかなか日本では

聞いたことがないような

気がします。

 

英国ならではといっても

良いのではないでしょうか。

 

ただ、この根底には

ビジネスへの影響や

国民の主権の問題など、

EUを離脱するかしないかが

生活に直結するからこそ、

 

英国民一人一人が

真剣に向き合い、

自分の中で答えを

出さないといけない問題

であることがエッセイを

読み進めていくうちに

理解できるようになります。

 

それほどの大きな問題

であったのです。

 

結局、EUを離脱することが

決まった現在、

英国の人々の生活はどう変化し、

何を考え過ごしているのか、

 

実際に自分の目で

確かめてみたいものです。

 

 

 

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ブレイディみかこ『ワイルドサイドをほっつき歩け』 日本とは少し違うおしゃれな世代呼称

 

団塊の世代、バブル世代、

ゆとり世代などと、

日本には各世代ごとに

それを象徴する名称がつけられ、

 

メディアを中心にその名称で

呼ばれることが

よくあります。

 

これは日本特有のものではなく、

英国でも同じように

世代ごとに名称がつけられて

いるようです。

 

それは日本よりも

ちょっとおしゃれな名称でした。

 

例えば、

トラディショナリスト世代、

ジェネレーションX、

ブリジット・ジョーンズ世代

などです。

 

さらには、

各世代に全世界の誰もが

知っているような

代表的な英国民が

挙げられていて、

英国の歴史や伝統、

存在感の大きさに

圧倒させられます。

 

ただ、このエッセイを

通じて分かることは、

 

それぞれの世代で

抱えている悩みや

直面している問題は、

日本のそれと全く変わらない

ということです。

 

歴史や伝統は違えど、

現状はさほど変わらない

というのは何とも面白いことです。

 

正直なところ、

英国にはあまり興味が

なかった自分がこの本を

読んだことで、

「英国に行ってワイルドサイドを

ほっつき歩いて、

おっさんたちを観察したい」

と思うようになりました。

 

そして、英国のおっさんたちに

少しでも幸せが訪れることを

願っている自分も

いつの間にか存在していました。

 

 

 

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