湊かなえ『ポイズンドーター・ホーリーマザー』感想とあらすじ!wowowドラマ化も

 

今回ご紹介する一冊は、

湊かなえ

『ポイズンドーター・ホーリーマザー』

です。

 

この本は六作からなる短編集であり、

全て主人公は女性という

こだわりのある作品です。

 

そして、そのほとんどが

「母親」の存在というものが深く

関わっているのです。

 

特にこの短編集のタイトル

にもなっている

『ポイズンドーター』

『ホーリーマザー』

 

同じ物語を

「母」と「娘」それぞれの

視点から描くという何とも

巧妙な手法で、

 

親子ならではの心のすれ違いや

ふとしたことから生じる

思い込みや先入観などが

ありのままに

描写されているのです。

 

この本の最後にある解説文にも

書かれていますが、

「物事は解釈一つで白から黒へと反転する」

「同じ出来事でも角度を変えると違って見える」

 

これらの面白さが、

この2つの作品には鮮明に

表れているのです。

 

それぞれの作品のあらすじを

紹介していきながら、

改めて「湊かなえワールド」の魅力

に迫っていきたいと思います。

 

 

 

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湊かなえ『ポイズンドーター・ホーリーマザー』 ポイズンドーター

寺島しのぶ (出演), 足立梨花 (出演), 吉田康弘 (監督), 滝本憲吾 (監督)

 

あなたの「正しさ」を憎みます。 女優の弓香の元に、かつての同級生・理穂から届いた故郷での同窓会の誘い。欠席を表明したのは、今も変わらず抑圧的な母親に会いたくなかったからだ。だが、理穂とメールで連絡を取るうちに思いがけぬ訃報を聞き……。(「ポイズンドーター」)母と娘、姉妹、友だち、男と女。善意と正しさの掛け違いが、眼前の光景を鮮やかに反転させる。名手のエッセンスが全編に満ちた極上の傑作集!

 

 

直訳すると「毒娘」という

タイトルです。

 

母子家庭で母親から厳しく育てられ、

そんな自分の母親を

「毒親」と呼ぶ娘視点での物語です。

 

学生時代の友達とのメールの

やりとりという形で

物語は進んでいきます。

 

女優という職業であたかも

成功者に見える「娘」は、

母親に対して異常なくらいの

嫌悪感を持っているのですが、

 

それは子どものころから

なんでも母親の思い通りに

やらないと怒られてきた過去や、

 

将来の職業や結婚相手なども

勝手に決めつける性格、

 

そして女優でのキスシーンなど

に対して半狂乱になって

電話を掛けてくる現状などが

その原因なのです。

 

口では応援しているとは言うものの、

実は女優になったことを

今でも母親は良く思っていないだとか、

 

直接そうは言われていないものの、

そう思わせてしまうほど

今までの経験が娘にとっては

辛く苦しいものだったことが

容易に想像されます。

 

もし自分がこの娘の立場だったら、

同じ気持ちや想いに至るだろうと

思えるほどの表現で

母親の異常なくらいの

娘に対する束縛などが

描写されています。

 

そんなある日、

女優のお仕事として

トーク番組の出演依頼が来ます。

 

トークテーマは『毒親』。

 

そして、突然入った中学時代

の初めての友達だった子の訃報。

しかも『自殺』。

 

さらに・・・。

ここからの展開が

あまりにも急すぎるので

初めはなかなかついて

いけないかもしれません。

 

ただし、それでいいのです。

 

少しついていけないまま、

どうぞ次の

『ホーリーマザー』

読んでみてください。

 

 

 

 

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湊かなえ『ポイズンドーター・ホーリーマザー』 ホーリーマザー

 

直訳すると「聖母」という

タイトルです。

 

先述しました

『ポイズンドーター』の

物語を母親の視点から

描き直した物語です。

 

母親の娘に対する

本当の想いから

読み進めていくこの物語は、

 

本当の親子関係について

映し出されているため、

 

『ポイズンドーター』

違和感を感じていた部分や

何か辻褄が合わなかった部分

に対する答えが見えてくるという

謎解きのような展開を

してくれるのです。

 

子どもの幸せを願うのは

親としては当たり前のことで、

 

時には命をかけて

自分のことよりも

子どものことを案じるのは

当然であるという書き出しが、

 

いつの間にか「毒親」という

イメージを刷り込まれていた自分

に気づかされ、

 

頭の中をリセットした状態で、

この『ホーリーマザー』を

読み始めることができるという効果

を与えてくれるのです。

 

そして「毒親」がテーマだった

トーク番組に出演したことで

様々なことが動き出し、

そして様々な想いや真実が

紐解かれていくのです。

 

母親目線で語っているからこそ、

その激しく動き出すストーリーが

読者にもストレートに伝わってきて、

 

まるでジョットコースターに

乗っている気分にさせられて

しまうほどです。

 

本当に毒親だったのか、

はたまたタイトルの通り

「毒娘」と「聖母」だったのか。

 

2つの作品をどちらも

読むからこそ分かる真実が、

そこにはありました。

 

 

 

 

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湊かなえ『ポイズンドーター・ホーリーマザー』 この作品が教えてくれること

 

最後に、

この作品が教えてくれることを

私なりにまとめてみたいと思います。

 

その人それぞれにものの見方、

捉え方、受け止め方があり、

どれが正しくどれが間違っている

ということはない。

 

むしろそのそれぞれがすべて正しく、

逆にすべてが間違っている

可能性もある。

 

だからこそ人間は、

そして人生は楽しいのでは

ないでしょうか。

 

全員が同じ視点で物を見て、

同じ受け止め方をしていたら・・・

 

考えるだけでもゾッとしませんか。

 

その人それぞれの捉え方、

受け止め方、考え方を尊重しましょう。

 

自分と違うからと言って

仲間外れにするのはやめましょう。

 

そういう考え方もあるのかと、

広く許容しましょう。

 

そうやって生きていかないと

結局は自分ひとり孤立してしまいます。

 

例え同じ血が流れている

家族でさえも離れていって

しまうのです。

 

寺島しのぶ (出演), 足立梨花 (出演), 吉田康弘 (監督), 滝本憲吾 (監督)

 

 

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