森見登美彦『新釈 走れメロス(角川文庫)』作品感想とあらすじ!パロディ!?

 

今回ご紹介する一冊は、

森見登美彦

『新釈 走れメロス』です。

 

今作は「現代文学の換骨奪胎」を

目指し書かれたそうです。

 

それぞれの短編に違いがあり

一冊でさまざまな楽しみ方

ができます。

 

「藪の中」ではシリアスに、

「走れメロス」は馬鹿馬鹿しいですが、

「桜の森の満開の下」では

しっとりと話が進みます。

 

短編集ですが、

同じ登場人物が

違う話でも出てきます。

 

詭弁論部や炬燵など

森見登美彦の他作品にも

度々出て来る要素が

物語の中で散見します。

 

森見登美彦さんの作品

すべての作品に

繋がりがあるのではないか

と毎回読む度に思わされます。

 

 

 

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森見登美彦『新釈 走れメロス』 森見登美彦作品のキーワード

 

森見登美彦『新釈 走れメロス』
気高いまでの破廉恥。 ―近代文学を現代京都に転生させた名短編集―
芽野史郎は全力で京都を疾走した――無二の親友との約束を守「らない」ために! 表題作の他、近代文学の傑作四篇が、全く違う魅力をまとい現代京都で生まれ変わる! 滑稽の頂点をきわめた、歴史的短編集!

 

詭弁論部、自転車にこやか整理軍、

図書館警察など不思議な

キーワードが出てきます。

 

まるで聞いたこともないような

独特な名前ですが、

これは森見登美彦さんの作品

に度々出て来る謎の団体

の名前なのです。

 

例えば、詭弁論部とはその名の通り、

詭弁を振りまき周りを困らせる

というなんとも

不思議な部活動です。

 

詭弁論部は

『夜は短し歩けよ乙女』や

『有頂天家族』などにも出てきます。

 

自転車にこやか整理軍は

『夜は短し歩けよ乙女』や

『四畳半神話大系』に出てきます。

 

今作の『新釈 走れメロス』

出て来る芽野と芹名は

『四畳半王国見聞録』でも出てきます。

 

こういったように

森見登美彦さんの作品には

作品の壁を跨いで、

同じキャラや団体が登場するのです。

 

私もまだすべてを読んだわけ

ではないので記憶にある限り

ではこんな感じです。

 

 

 

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森見登美彦『新釈 走れメロス』 新釈 走れメロス

 

物語の大筋は有名な太宰治の

『走れメロス』になっています。

 

しかし、途中からかなり

暴走して話はあらぬ方向へ

向かっていくのです。

 

ここで一応、

『走れメロス』を振り返ります。

 

メロスが邪知暴虐の王に激怒し、

親友であるセリヌンティウスを

身代わりに置いていき

妹の結婚式へと向かい、

また王の元に戻って

友情の素晴らしさを示すという話です。

 

主人公の芽野は自らが所属する

詭弁論部の部室を図書館警察なる

団体に奪われたことに怒り、

部室を返すように要求しました。

 

図書館警察長官が出した

返す条件として、

明日の文化祭で

「美しく青きドナウ」

に合わせてパンツ一丁で

踊れと言ったのです。

 

しかし、芽野には姉の結婚式に

出なければならないから、

と言って友人の芹名を身代わりにし、

もし明日の夕方までに

帰って来なければ

芹名が代わりに踊ること

になってしまうのです。

 

しかし、芹名は芽野に姉など

いないことを知っていました。

 

芽野は逃げたのです。

 

それを聞いた長官は怒り、

何としてでも帰って来させ、

芽野にパンツ一丁で

踊らせようとします。

 

それから芽野の逃走劇が

はじまるのです。

 

私が好きなのは、

長官が何としても約束を

守らせようとした時に、

芹名が言った一言。

 

「俺の親友が、そう簡単に約束を守ると思うなよ」

 

と言ったところです。

 

大素の話とは大分違いますが

面白い作品です。

 

 

 

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森見登美彦『新釈 走れメロス』 この作品の京都の名所とパロディー

 

ただ短編の集まりという訳ではなく、

阿呆な大学生が京都を

舞台に走り回るのです。

 

やはり、森見登美彦と言えば

京都を舞台に描いた作品ですので

今作もそのようになっています。

 

法然院、古刹南禅寺、祇園祭、

銀閣寺、一乗寺、喫茶進進堂、

哲学の道、平安神宮、叡山電車

などが出てきます。

 

私はこの本を片手に

京都巡りをすることが夢です。

 

この短編集はすべての話が

有名な小説をパロディーした話

として描かれています。

 

書名では

『新釈 走れメロス』とありますが、

 

それ以外にも、

中島敦『山月記』、

芥川龍之介『藪の中』、

太宰治『走れメロス』、

坂口安吾『桜の森の満開の下』、

森鴎外『百物語』の作品を

元に描いているのです。

 

そして、この作品を読んでいると

元となった小説を

読んでみたいと思いました。

 

 

 

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