澤村伊智『ずうのめ人形』考察とあらすじ!おすすめ本「連鎖していく呪いと死」

 

今回ご紹介する一冊は、

澤村伊智

『ずうのめ人形』です。

 

著者「澤村伊智」は

改題前の『ほぎわん』で

第22回日本ホラー小説大賞

を受賞しています。

 

そして『ほぎわんが、来る』

でデビューを果たします。

 

2019年には

『ほぎわんが、来る』を

『来る』とタイトルされ

映画化されています。

 

さらに『学校は死の匂い』で

第72回日本推理作家協会賞

(短編部門)

を受賞しています。

 

今回紹介する

『ずうのめ人形』

第1作目『ほぎわんが、来る』

に続く

「比嘉姉妹シリーズ」2作目

になります。

 

比嘉姉妹シリーズは

『ししりばの家』

『などらぎの首』

と続いていきます。

 

「ノンシリーズ」と

言われるものには

『恐怖小説 キリカ』

『ひとんち 澤村伊智短編集』

『ファミリーランド』

『うるはしみにくし あなたのともだち』

があります。

 

興味のある方は他の

「比嘉姉妹シリーズ」や

「ノンシリーズ」を

読んでみては

いかがでしょうか。

 

 

 

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澤村伊智『ずうのめ人形』 連鎖されていく呪いと死

 

 

その物語は、人を殺す――。『ぼぎわん』に続く、比嘉姉妹シリーズ第2弾!

オカルト雑誌で働く藤間が受け取った、とある原稿。読み進めていくと、作中に登場する人形が現実にも現れるようになり……。迫りくる死を防ぐために、呪いの原稿の謎を解け。新鋭が放つ最恐ミステリ!

 

 

連絡がとれなくなった

ライターの家に様子を

見に行く藤間という編集者

とバイトの青年が、

 

部屋を訪ねるとそこには、

不審死を遂げていました。

 

部屋に残された

『ずうのめの人形』

という都市伝説に関する

黒焦げの原稿。

 

そのライターは都市伝説を

追いかけていました。

 

黒焦げの原稿をこっそりと

持ち帰ったバイト青年に

藤間にコピーした原稿を

読んでほしいと渡されます。

 

原稿を読んだ藤間は

「読んだ人は呪いにかかり4日後には人形が殺しにやってくること」

を知ります。

 

呪いにかかった藤間は、

オカルトライターの野崎と

霊能者の比嘉真琴とともに

人形の呪いに挑むこと

になります。

 

作中には『リング』

『貞子』『懺悔』など

ホラーに関することも

出てきます。

 

『リング』を視たまたは読んだ人

は頭の中に内容や情景を

リアルに思い浮かべることが

出来るかもしれません。

 

『ずうのめ』という

聞きなれない単語が

意味するものは、

 

『ずうのめの人形』

とは何なのか、

どんな内容の都市伝説なのか、

想像を膨らまして

読み進めてください。

 

 

 

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澤村伊智『ずうのめ人形』 真の都市伝説の怖さは一人歩きし始めること

 

最初は遠くに見えていた。今はベットの脇にいる。傍らで突っ立ってこっちを見上げている。

猫くらいの大きさで、黒い振袖を着ている。おかっぱ頭で、手をだらりと垂らして、首は少しだけ傾いている

 

冒頭からこの文章が

書かれていて

思いっきりリアルに

脳内再生してしまいました。

 

これだけで得体のしれない

恐怖感がひたひたと

近寄ってくるようです。

 

さらには振袖を着た

(加えて振袖は黒色ですよ!)

日本人形というのも恐怖と

薄気味悪さを倍増させます。

 

物語は原稿の中に出てくる

主人公と実際に現代で

原稿を読んでいる主人公の

シーンが交互に登場し

語られていきます。

 

交互に語られますが

読みにくいことはなく、

それどころかぐいぐいと

物語に引き込まれ、

続きが気になってしまいます。

 

『口裂け女』

『トイレの花子さん』

『こっくりさん』

『ピアスの白い糸』

など創作された話で

現実のものではないと

理解していますが、

 

聞いてしまうと

やはり不気味さを感じます。

 

物語の中で都市伝説の

真の怖さは

「話が生き物のように一人歩きし始めることだ」

と説明されます。

 

その説に思わず納得

してしまいました。

 

 

 

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澤村伊智『ずうのめ人形』 1番怖くて愚かで哀しいのは人間なのかもしれない

 

『ずうのめの人形』の

都市伝説を読んだりした人は、

人形が見えるようになり、

その人形が少しずつ

近づいてきて4日後には

人形に殺されてしまいます。

 

『リング』での媒介方法は

ビデオでしたが

こちらは原稿です。

 

さらには主人公たちと

ともに読者も

『ずうのめの人形』

の都市伝説を知ること

になります。

 

小説の中の話だと

わかってはいますが気づくと、

ずうのめの人形を

退散させる歌を覚えよう

としてしまいました。

 

今回のお話は連鎖していくこと

が鍵になるのかもしれません。

 

人が生み出す憎悪や怨念、

怒り、憎しみなどが呪いとなり、

それを受けた人がまた・・・

負の連鎖はたやすく広がります。

 

原稿の中の主人公の話の中に

でてくる大人に嫌悪し、

4日というタイムリミットに

ハラハラし、

 

ラストの大どんでん返しと、

まんまとミスリード

されていたことに驚きました。

 

呪いを作るのはしょせん人間で、

広めていくのも、

止めるのも人間。

 

結果1番怖くて愚かで

哀しいのは人間

なのかもしれません。

 

 

 

 

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