ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』は掛け値なしの熱きノンフィクション

今回はブレイディみかこさんの

 

『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』をご紹介します。

 

こちらは、数々の賞を受賞している話題作です!

 

Yahoo!ニュース|本屋大賞2019
ノンフィクション本大賞受賞!
第73回毎日出版文化賞特別賞受賞!
第2回八重洲本大賞受賞!
第7回ブクログ大賞 エッセイ・ノンフィクション部門受賞!
紀伊國屋書店スタッフが全力でおすすめする
ベスト30「キノベス! 2020」第1位!
We Love Books 中高生におすすめする
司書のイチオシ本2019年版第1位!
第13回神奈川学校図書館員大賞(KO本大賞)!
読者が選ぶビジネス書グランプリ2020
リベラルアーツ部門 第1位!
埼玉県の高校図書館司書が選んだ
イチオシ本2019 第1位!
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「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」あらすじ

この作品のあらすじは、
本人たちはレイシズムを無くすためという大義名分の元で行い、
実のところ無自覚の時もある息子も、親友の一人が、本人も移民なのに他者をレイシズム的発言で傷つけてい
るところをたしなめている描写がよく表現されています。
英国に20年以上滞在し、英国労働者階級の配偶者との我が子の進化と中学生になった後の1年半に焦点を当てた
ノンフィクションです。
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レイシズムを考える

レイシズムとは、

人種間に根本的な優劣の差異があり、優等人種が劣等人種を支配するのは当然であるという思想、イデオロギーである。

 

人種主義のことですね。

 

この作品において、

レイシズム発言を受けた仲間が報復をするのはまだわかります。

ただし、現実には、その仲間からレイシズム発言を受けていない周囲の人が異常に攻撃的になる事

のほうが多々あります。

レイシズム発言を正すという名目の元、ただ単に攻撃をしている、

ある一人をターゲットにしていじめたいだけの人間が多々あるという事です。

けれども、正義が暴走し、憎しみが増幅し合い、後戻りできない、

どっちかを再起不能にしては全く解釈がないと思います。

ただ、そのたしなめかたが過剰になる場合もあり、

レイシズム的な思想により、フィジカル的に、メンタル的にもダメージを与えるのはご法度です。

息子の周囲に潜むレイシズムー英国労働者階級が現在置かれている状況、

新たな移民への差別、英国人や学校の順位にも表れてくる序列等、

現地で長い間日々を過ごす筆者だから書けるノンフィクションです。

 

 

 

 

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娘と差別

 

息子は大人の鏡であり、学校は社会の縮図です。

実のところ生活してみないと本当のところは分からないと思うけど、

そのような事が現実にあることの連続です。

世の中の色々な混乱を乗り越えるために必須なのは、自らと異なる立場にいる人や違う考えを

持つ人の想いを想像するキャパシティーです。

現代イギリスの生々しい姿とか、ブレグジットの裏側とか、

根っこにある社会的な問題を初めて知りました。

正義の暴走や施しという名の押しつけ等格差を生み出す悲しい現実を、

我が子は敏感に感じとります。

米国でも分裂が問題になってたけど問題の根本は同じという事。

誰しもアイデンティティは1つではありえないのに、そのどれか1つを他者の身に纏わせ、

自らの方が上にいるのだと思えるアイデンティティを選択して身に纏うケースに起こるのが、分断。

多様性が裕福な家庭の我が子の周囲に多くあるという現実、

少数派が少数派を差別するという差別の多層化。

日本で自身の見てるワールドワイドはまだまだ未解決部分。

移民の受け入れや多様性って実を言えば社会の分裂と表裏一体なのです。

 

 

 

 

 

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心が温かくなる息子と母親の関わり

 

アイデンティティや差別、性別に対する息子さんのコメントが非常に大人っぽいです。

エンパシー=自身で誰かの靴を履いてみる事(自らがその人の立場だったらと想像する事によって誰かの感情や

経験を分かち合う才能)というスタンスはどの人にも自身にも必須です。

楽ばかりしていると無知になるから、この言語はこういった分類の本を読んで来なかった自らには凄く響き、

反省しましたし、諸々な文化や性を受け入れる力も不可欠だと思いました。

英国には(あからさまではないにしても)階級の仕組みが残っていることには驚きました。

英国中学生の息子とその母親らの学校暮らしの中にある色々な社会問題を取り上げた一冊です。

クリスマスライブでジェイソンが歌った「万国の万引きたちよ、団結せよ」は

要望を捨てていないのだと思いました。

問題は大いに根深い中身であり、陰湿に、重くなりがちだが、

それを感じさせないのはこの息子と母親のやり取りだからでしょう。

 

 

 

 

 

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段々と差別に関しての意識を抱いていく

 

厄介な言い回しはなく、まさしく小学生にも伝わる言い回しとはこういった事だったのかと、

ストンと胸に落ちました。

労働階級と中上流階級の階級差、貧困、女子割礼、DV、いじめ、同性婚など実のところのエピソード土台で

昨今社会で取り上げられている多様な問題が語られていてすごくわかりやすかったです。

親子のトークや学校暮らしなどの普段的な出来事から、人種や地域格差、アイデンティティの問題などが伝わ

り、諸々腹積もりさせられました。

ただ、すごくトピックになっていたので読む前のハードルをあげてしまっていたので、

少しばかり物足りなかったというか思っていたほど深い示唆は得られませんでした。

平易な文でこれだけ含蓄のある事を書けるとは、素晴らしいの一言です。

来る多様化社会に向けての心構えを息子が意識していく過程が心に響きました。

 

 

 

 

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