【書評】青山美智子『お探し物は図書室まで』あらすじと感想!(ポプラ社)

 

今回ご紹介する一冊は、

青山 美智子

『お探し物は図書室まで』

です。

 

著者青山美智子は

1970年生まれ愛知県出身で、

大学卒業後、

シドニーの日経新聞社で記者として働き、

帰国後に上京して雑誌編集者として

勤務していました。

 

デビュー作『木曜日にはココアを』

第1回宮崎本大賞を受賞し、

2作目の

『猫のお告げは樹の下で』

未来屋小説大賞を受賞しています。

 

他には『鎌倉うずまき案内所』や

『ただいま神様当番』があります。

 

著者はインタビューで初めて

小説家になりたいと思ったのは

14歳の時だと話しています。

 

それから33年間書き続けることを

辞めずに47歳でデビューを果たしました。

 

デビューまでに

「オリジナリティがない」「普通すぎる」

と言われても書くことを辞めなかった理由

に年齢制限はなく資格もいらない。

パソコン1台あれば書けること

をあげていました。

 

書くことを諦めないで47歳で

デビューした著者の作品を

是非手に取ってみてはいかがでしょうか。

 

青山美智子『お探し物は図書室まで』

こちらからすぐに読めますよ♪↓


青山美智子『お探し物は図書室まで』 何かお探し?小町さんに本を選んでほしい

 

お探し物は、本ですか? 仕事ですか? 人生ですか? 人生に悩む人々が、ふとしたきっかけで訪れた町の小さな図書室。悩む人々の背中を、不愛想だけど聞き上手な司書さんが、思いもよらない本のセレクトと可愛い付録で、後押しします。
明日への活力が満ちていくハートウォーミング小説。

 

 

『お探し物は図書室まで』

5つのお話がおさめられた連作短編集です。

 

スーパーの婦人服売り場で働く

21歳の朋香は婦人服販売の仕事に

行き詰まりを感じています。

 

雑貨店を経営することを夢見ているけれど、

いろいろ考えてしまって

1歩を踏み出せない35歳の諒は

仕事を辞めたいと思い始めている自分

に気づきます。

 

妊娠・出産を経て復帰をして

またバリバリ働きたいと思っていた

40歳の元雑誌編集者の夏美は

ぶつかる現実に複雑な思いを抱きます。

 

30歳の浩弥はなりたいものになれず

夢破れて就職したものの、

つまづき仕事を辞めてしまい

ニート生活をしています。

 

そして定年退職を迎えこれからを

どう過ごしていくべきか悩む

正雄など悩める5人が

ふと訪れたコミュニティハウスの

図書館に足を踏み入れます。

 

そこには初対面の人が必ず

おどろくほど大柄な司書【小町さん】がいます。

 

「何かお探し?」と聞く小町さんが

レファレンスしてくれた本には、

一見他の本と関係ない本が混じっています。

 

そして本の「おまけ」もついています。

そこから彼らはそれをきっかけに

自分の悩むことへのきっかけを

見つけ出していきます。

 

 

 

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青山美智子『お探し物は図書室まで』 視点が違うだけであらたな世界がひろがる

 

初めてあった人はかならず

驚くほどの小町さんの外見は、

登場する5人の視点から様々なものや

人に例えられます。

 

「ベイマックスのようだ」

「鏡餅みたいだ」などと例えられますが、

例えがそれぞれに違うのは

その人の持つ背景で違うのではないか

と思いました。

 

その例えるものや人からも

その人物が悩む事柄が少しだけ

垣間見えるような気がします。

 

小町さんが選んだ本のなかに

他のものと関係なさそうな本が

混じっています。

 

そして小町さんは、

「きっかけはその人が勝手に見つけるもの」

という意味のことを言います。

 

その言葉通り悩める5人の登場人物は

きっかけを自らつかみ1歩を

踏み出しています。

 

きっかけをくれる本は

『ぐりとぐら』『月のとびら』

『ビジュアル変化の記録』など

多岐に渡ります。

 

著書とは違う本も紹介されていて

ついつい興味をひかれてしまう人も

いるのではないかと思います。

 

『ぐりとぐら』の物語の内容が

人それぞれに違っていて、

読む人によってさまざまな視点

があると気づかされました。

 

 

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青山美智子『お探し物は図書室まで』 心がぽかぽかになる。そして勇気をくれる

 

夢が破れ仕事でつまずき

ニート生活をしている小説家を目指す

浩弥の友達が言う言葉に

 

「村上春樹がデビューしたのは30歳だ」

「でも、それも過ぎちゃいそうだからあわてて次を探した。浅田次郎がデビューしたのは40歳だ」

 

というのがあります。

 

この言葉には著者が小説家に

なりたいと思って

33年間諦めずに書き続けたからこそ

の言葉であると思います。

 

小説家になりたいと頑張る人には

力強い言葉ではないでしょか。

 

スーパーの婦人服販売をしている朋香は

仕事に対して行き詰まりを

感じてしまいます。

 

そこで司書の小町さんに

渡された本の中に

『ぐりとぐら』があります。

 

きっかけをつかんだ朋香がつぶやく言葉に

「そうだ。今の自分にできることをやる。それでいい。」

そして行動した朋香は気づきます。

「じわっと、涙がにじむ。そして心に決めた。これからは本当に・・・・。自分で自分を、ちゃんと食わせる」

 

著者の本は心がポカポカ

温かくなります。

 

悩む人にも立ち止まる人にも

元気とその人にあう勇気を授けてくれる

本になっています。

 

 

 

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