濱野ちひろ『聖なるズー(集英社)』書評と内容あらすじ!「動物が恋人であること」

 

今回ご紹介する一冊は、

濱野ちひろ

『聖なるズー』です。

 

「愛情」というのは、

とてもたくさんの表現ができます。

純愛だったり、結婚だったり、

時として禁断の恋愛だったり。

 

ときどき不純な恋愛を耳にして

「ありえない!」と

驚くこともあると思います。

ですが、あなたは

「動物が恋人である」

という状況は信じられますか?

 

この本は、動物はペットではなく、

恋愛対象である、

という人たちの実話です。

 

動物性愛は、

外国の話だけではなく、

日本にもいます。

 

多様性が訴えられる

世の中であっても、

なかなか共感しづらいこと

かもしれません。

 

ですが、多くの人たちが

理解を深めれば、

少ない人たちが少しでも

生きやすくなれると思いませんか。

 

この本を読むことで、

マイノリティな人たちへ

理解が深まれば、

もしくはそういう世界も

あるのだということを

思ってほしいです。

 

 

 

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濱野ちひろ『聖なるズー』 動物と人だけれど、決していつわりのない純愛

 

 

【2019年第17回開高健ノンフィクション賞受賞作】

犬や馬をパートナーとする動物性愛者「ズー」。

性暴力に苦しんだ経験を持つ著者は、彼らと寝食をともにしながら、人間にとって愛とは何か、暴力とは何か、考察を重ねる。そして、戸惑いつつ、希望のかけらを見出していく──。

<選考委員、驚愕!>

○「秘境」ともいうべき動物との性愛を通じて、暴力なきコミュニケーションの可能性を追い求めようとする著者の真摯な熱情には脱帽せざるをえなかった。――姜尚中氏

○この作品を読み始めたとき、私はまず「おぞましさ」で逃げ出したくなる思いだった。しかし読み進めるにしたがって、その反応こそがダイバーシティの対極にある「偏見、差別」であることに気づいた。――田中優子氏

○ドイツの「ズー」=動物性愛者たちに出会い、驚き、惑いながらも、次第に癒やされていく過程を描いたノンフィクションは、衝撃でもあり、また禁忌を破壊するひとつの文学でもある。――藤沢周氏

○人によっては「#Me Too」の「先」の世界の感性があると受け取るのではないか。この作品を世間がどのように受容するのか、楽しみである。――茂木健一郎氏

○多くのファクトに翻弄された。こんな読書体験は久しぶりだ。――森達也氏(選評より・五十音順)

 

 

この本は、動物と人との愛と、

性について書かれています。

もしあなたがペットが

本当に好きで、

信じられないようなことが

書いてあるかもしれませんが、

腰を据えて読んでほしいのです。

 

動物を自分と同じ人として

愛するのは、

果たして本当に悪いことでしょうか。

本には、動物と人との、

恋人たちとしての日常が

書かれているように思いました。

 

動物を愛する人達には、

過去につらい思いをしていたり

しています。

もしかしたら人間という生き物が

嫌いなのかもしれません。

 

また、動物愛の中でも

レズビアンがいたり、

複雑な事情を抱えている人たち

もいますが、

それは人間も同じことですよね。

 

動物性愛は、犬・猫だけでなく、

馬に恋をする人たちもいます。

とても変わった人たちに見えますか?

でもわたしたちの普通という感覚も、

もしかしたら間違っている

のかもしれません。

 

人と人ではないから、

特殊に見えるかもしれませんが、

もともとそういう嗜好を

持った人たちには

普通のことなのです。

 

 

 

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濱野ちひろ『聖なるズー』 動物愛護や道徳から反しているという人たち

 

では、動物愛護団体としては、

どういう気持ちで

動物愛を見ているのでしょうか。

 

当然、人間と動物が性行為を

することにはとてもリスクがあるので、

動物愛護団体としては

見ていられない、

非難の目が向けられています。

 

動物愛護団体は決して

間違ったことを言っている

わけではありません。

 

ですが、動物を愛する人たち

からしてみれば、

本当に心から愛しているので、

心外なことを言われていると感じます。

 

人との間にも、

不道徳とされる恋愛はあるにしても、

それを完全否定することは、

あってはならないと思います。

 

ドイツでは動物保護法の中に、

個人の性的な行為に利用すること

を禁止しています。

 

これは動物性愛を否定している

のではないか、

ということになってしまいますよね。

 

また、この本には

「動物性愛擁護団体ゼータ」

という組織も出ています。

 

一定の少数派を偏見から守る人々

もいるということは、

動物性愛もあり得ない話では

ないということですよね。

 

非常にきわどい世界ですが、

この本は、

少数派がいる事実だけでなく、

いったいなにが正しいのか、

この本ではよく考えさせられます。

 

 

 

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濱野ちひろ『聖なるズー』 異質とみなされること

 

では、恋愛での正しさ

とはなんでしょうか。

動物を愛することが

法律や道徳としてきっぱり

間違っているのだとすれば、

少数派の人たちは、

犯罪者なのでしょうか。

 

本の中でも

「犬は裏切らない」

とあるように、

人間と人間が必ずしも

愛し合えるというわけ

ではないのです。

 

人間も生き物ですから、

生き物と動物が愛し合うことは、

正しいのか、間違っているのか、

考えさせられてしまいますよね。

 

愛するということは、

異質ではないはずです。

本人たちも、家族や友人たちに

表ざたにしたくなくて、

オンラインでのコミュニティ

であるゼータに集まっているのです。

 

その愛情という大事な気持ちを、

異質で取り除かれようと

しているのなら、

そう考えている人たちの方が、

とても危険な感じがしませんか。

 

決してすべての様々な形の恋愛を

肯定するわけでもなく、

否定するわけではありませんが、

何をもって「異質」というのか、

この本を読んで、

すこし立ち止まって

考えてみるといいかもしれませんね。

 

 

 

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