【2020年版】英国怪談集・英国怪奇小説おすすめ5選!あらすじと感想まとめ「最恐」

 

創元推理文庫の

『怪奇小説傑作集』の4巻:フランス編

は渋澤龍彦氏の編集によるもので、

実際には小ロマン派を中心とした

幻想文学のアンソロジーです。

 

渋澤氏の名著『悪魔がいる文学史』を

理論編とするなら、

実践編とでも言うべき

このアンソロジーは、

 

本邦における海外幻想文学の

受容史において欠くことができない存在

なのですが、困ったことに怖くない

むしろ感心してしまうくらいに怖くない

 

最近東欧編を除いて、

全巻が再刊された河出文庫の

国別怪談集も同様です。

 

渋澤氏がそうだったように、

編者の多くが元から怖い話を

集めるという意思に欠けていたのかな

と思えるほどに怖くありません。

 

そんな中、異彩を放っているのが

『英国怪談集』です。とにかく怖い。

しっかり怖い

 

目次を見ても、

これは怖いと指摘できる話が

幾つも見つかります。

 

怪談文芸というものが

この国ではしっかりと確立していることが

こんなところからも分かります。

 

今回はそんな怖い英国怪談から

五編を選んでご紹介したいと思います。

 

 

 

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『マグヌス伯爵』(著者:M・R・ジェイムズ)

M・R・ジェイムズ (著), 南條 竹則 (翻訳)

 

異教信仰の研究者が自らの計画のために歳の離れた従兄弟の少年を引き取る「消えた心臓」。スウェーデンのある地方で発見した古文書のなかに記された“黒の巡礼”から戻った人物の来歴を探る「マグヌス伯爵」など9篇を収録。「英国が生んだ最高の怪談作家」ジェイムズの傑作短篇集。

 

 

最初の一人は、

光文社の古典新訳文庫から

『考古家の怪談集』の新訳が出たばかり

のジェイムズにしましょう。

 

『英国怪談集』に選ばれていた

『若者よ、口笛吹けば、われ行かん』

も怖いんですが、

 

ここは新訳版の表題作とします。

 

ジェイムズは写本を中心に

中世の古文書や遺物の研究で知られた、

高名な学者で、

余技として怪談を書くアマチュア作家でした。

 

彼の怪談は、クリスマスなどで

集まった友人や家族に読み聞かせて、

楽しませるために書かれたもの

だったそうです。

 

怪談とホラーの違いというのが、

たまに話題になりますが、

こんな話を聞くと、

なるほどジェイムズが書いたようなもの

が本来の怪談なのだなと

分かったような気持ちになりますね。

 

ジェイムズの怪談は作者本人を

思わせる考古家、

つまり古いものへ関心が

趣味や仕事である人が、

その古物の持つ悪い因縁に絡められると

いう話が多いのですが、

 

『マグヌス伯爵』

そのヴァリエーションのようなお話で、

不吉な伝説で知られる、

古の暴君の故事を調べていた作家

が陥る地獄を描いています。

 

書かれた動機のせいか、

ジェイムズの怪談は

最後には丸く収まることが多いのですが、

今作は珍しくバッドエンドです。

 

 

 

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『ゴースト・ハント』(著者:H・R・ウェイクフィールド)

H・R・ウェイクフィールド (著), 鈴木 克昌ほか (翻訳)

 

「赤い館」「ゴースト・ハント」などの名高い作品をはじめとする、黄金期最後の英国怪奇小説の名手による傑作短編を、本邦初訳5作を含む全18編を収める決定版。

 

二人目はジェイムズ

と入れ替わるように活動を始めた

というウェイクフィールドにしましょう。

 

時期的にも怪談がホラーに

入れ替わっていく流れの中にあった人で、

作品もそんな感じです。

 

2012年に創元推理文庫から出た

傑作集『ゴースト・ハント』

巻末解説によると、

本国では忘れられた作家に近いようですが、

それに比べて本邦での評価は

高いものがあります。

 

なぜかと問われたなら怖いからでしょう。

 

『英国怪談集』に採られている

『目隠し遊び』も、

あちこちのアンソロジーに採られている、

掛け値なしに怖い話ですが、

傑作集のタイトルに選ばれた

『ゴースト・ハント』も怖い。

 

ここではそちらを採っておきます。

これはラジオの企画で、

幽霊屋敷に霊能者と乗り込んだアナウンサーが、

そこから生中継をしている

という体のお話で、

 

全編がそのアナウンサーのトークのみで

構成されています。

 

今で言うPOVホラーを先取りして、

テキスト版にしたような感じでしょうか。

 

 

 

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『ミドル小島に棲むものは』(著者:ウィリアム・ホープ・ホジスン)

オーガスト ダーレス (編集), August Derleth (原著), 三浦 玲子 (翻訳)

 

影へのキス(ロバート・ブロック) / 帰ってきて、ベンおじさん!(ジョゼフ・ペイン・ブレナン) / ハイストリートの教会(ラムゼイ・キャンベル) / ハーグレイヴの前小口(メアリ・エリザベス・カウンセルマン) / ミス・エスパーソン(スティーヴン・グレンドン) / ミドル小島に棲むものは(ウィリアム・ホープ・ホジスン) / 灰色の神が通る(ロバート・E.ハワード) / カーバー・ハウスの怪(カール・ジャコビ) / 映画に出たかった男(ジョン・ジェイクス) / 思い出(デイヴィッド・H.ケラー) / 魔女の谷(H.P.ラヴクラフト&オーガスト・ダーレス)ほか。

 

東宝制作のカルト特撮ホラー

『マタンゴ』の原作者としても

知られるホジスンを三人目とします。

 

ホジスンは若い頃に船乗りだったことがあり、

このときの経験を元にした海洋ホラー

の書き手として知られています。

 

この系統での傑作とされるのが

『マタンゴ』の原作でもある

『夜の声』ですね。

 

その他、ラヴクラフトの絶賛を受けた

長編『異次元の色彩』や、

オカルト版シャーロック・ホームズ

とでも言うべき『幽霊狩人カーナッキ』

のシリーズなどがあるのですが、

 

ここではオーガスト・ダーレスが編んだ

『漆黒の霊魂』というアンソロジーで

見つけた短編を選んでおきます。

 

恋人を乗せた船が消息を絶ち、

それを認められない大金持ちが

探索を続けて、

ついにある無人島で難破している船

を見つけるというお話です。

 

金持ちに同道して、

その難破船に乗り込んだ友人が

味わう恐怖を描いた作品で、

クライマックスの怖さは

尋常ではありません。

 

 

 

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