『向日葵を手折る』あらすじと感想!向日葵男の気になる結末(彩坂美月著)

 

今回ご紹介する一冊は、

彩坂 美月(あやさか みつき)

『向日葵を手折る』

です。

 

著者の彩坂美月は

『未成年儀式』で

富士見ヤングミステリー大賞

に準入選し、

2009年にデビューします。

 

他の著作に『ひぐらしふる』

『夏の王国で目覚めない』

『僕らの世界が終わる頃』

『金木犀と彼女の時間』

『みどり町の怪人』などがあります。

 

この物語の主人公は、

父親が突然亡くなり

山形県の桜沢という集落に

引っ越すことになった

小学六年生の高橋みのりです。

 

分校の同級生たちと共に

成長するなかで起こる

事件の行方を、

不穏な空気感と、

自然や風習といった情景描写

豊かに丁寧な筆致で描きます。

 

 

 

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彩坂美月『向日葵を手折る』 向日葵流しと噂話

 

消えた向日葵。連続する不穏な事件――
そこにいるのは…誰?慟哭必至の青春ミステリ!

少年少女の成長と、ラストで明かされる真相に、慟哭必至の青春ミステリ!

父親が突然亡くなり、山形の山あいの集落に引っ越した小学校6年生の高橋みのり。
分校の同級生と心を通わせはじめた夏、集落の行事「向日葵流し」のために
植えられていた向日葵の花が、何者かによってすべて切り落とされる事件が起きる。

同級生たちは「あれは向日葵男のしわざだ」と噂するが、さらに不穏な出来事が続き……。

あざやかに季節がめぐる彼女の4年間と事件の行方を瑞々しい筆致で描く、
烈しくも切ない青春ミステリ。

 

東京から山形県桜沢に

引っ越ししてきたみのりは、

むせかえるほど濃密な緑や、

溢れる花々に圧倒されながら

家の周りを探検します。

 

近くの神社で出会った、

大人びた顔立ちの穏やかな目

をした少年、

藤崎怜は同じ山央小学校六年生

の生徒でした。

 

そんな怜の友達である西野隼人は、

強い眼差しを持つ勝気で

乱暴なまったく対照的な

生徒でした。

 

隼人は女の子にも

暴力を振るいます。

 

そんな隼人に怜は寄り添います。

 

心優しい少年がなぜ何も

言わないのか、

みのりは疑問に思います。

 

殴られた少女、犬飼雛子は言います。

 

「隼人と怜は特別。いつも一緒にいるの」

と。

 

隼人の存在は、

みんな怖いのですが、

それ以外にもみんなが

怖れているものがあります。

 

桜沢には、

夏に「向日葵流し」という行事

があります。

 

向日葵の花を灯ろうに載せて

川に流し、

子供の健やかな成長を

願うものです。

 

その向日葵の花が全て折られる

事件が起こります。

みんな口を揃えて言います。

 

「向日葵男がやったのだ」と。

 

向日葵男とは

いったい何者なのでしょうか。

 

子供たちの間で密やかに

交わされる噂話の内容は

異なっています。

 

「子供を殺す怪物なの」とか、

「異常に背が高くて、ものすごく力が強い」

など。

 

大人たちは「よそ者」だと

言います。

 

物語は終始この向日葵男の影

がちらつきながら進んでいきます。

 

 

 

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彩坂美月『向日葵を手折る』 少年少女から大人へと

 

父の喪失感を持ちながらも、

山形の桜沢で成長していくみのりの、

小学六年生から中学卒業までが

描かれます。

 

小学生時代はまっすぐに怜と

接していたのに、

中学生になり怜と呼び捨てで

呼ぶことを周りに冷やかされたり。

 

そんなみのりに怜は

変わることなく接します。

 

思春期の中で日々、

もがきながらも自分の気持ちに

正直に生きるみのり。

 

隼人は出会った頃は乱暴で

みのりと険悪でしたが、

様々な出来事を通して

徐々にお互いがお互いを

認めていきます。

 

中学に入ると隼人は、

みのりに対して昔のように

乱暴には接しません。

 

むしろ、女の子として

意識し接します。

 

三人だけではなく、

周りの同級生たちも

変化していきます。

 

誰もが経験する、

子供から大人に成長していく心情

が瑞々しく描かれます。

 

事件や別れといった

目まぐるしい生活のなかで、

美術の先生である恭子は

「生き残って、大人になれ」

とみのりを激励します。

 

 

 

 

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彩坂美月『向日葵を手折る』 共同体で生きるということ

 

成長ストーリーとともに

描かれるのが、

集落という田舎の共同体で

生きるということです。

 

そこには子供もいれば大人もいます。

 

みのりの母や、怜の母である春美、

学校の先生たち。

 

様々な大人たちの中には

良い大人もいれば、

そうじゃない大人もいます。

 

閉鎖的な共同体の良さと怖さ

が描かれます。

 

そんな共同体で生きる子供や

大人たちを巻き込む事件が、

夏祭りの夜に起こります。

 

ミステリーの核心部分です。

 

結局のところ向日葵男とは

何だったのか、

その真実には胸が詰まります。

 

大人になったみのりが

登場する結末の場面は、

これからの期待と予感が溢れ

余韻に包まれます。

 

物語の最初から最後まで、

桜沢の集落にどっぷりと

入り込めます。

 

そして鮮やかな

自然を感じながら、

青春とミステリーを存分に

味わうことができる作品です。

 

 

 

 

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