今回ご紹介する一冊は、
篠原悠希(しのはらゆうき)著
『後宮に星は宿る 金椛国春秋』
です。
大陸の強国、金椛(ジンファ)帝国。名門・星家の御曹司、遊圭は、ひとり呆然と立ち尽くしていた。
皇帝崩御に伴い、叔母が皇后に選ばれ……。
「皇帝に外戚なし」の法のもとに、星家は一族すべて殉死を命じられたのだ。
一家の療母(薬師)、胡娘(コジョウ)の助けにより、一人逃げ延びた遊圭は、町娘の明々に出会う。
明々はかつて遊圭に救ってもらったことを恩に感じており、遊圭を匿ってくれた。
その矢先、明々の後宮への出仕が決まる。
再びの絶望的状況に、明々はからりと言う。
「あんたも、一緒に来るといいのよ」
――かくして、小柄で女子にも見える体躯を生かし、
少年・遊圭は女装して後宮へ出仕することに。
しかし美貌の宦官・玄月に正体を疑われ……。
つぎつぎと襲いかかる試練に、対抗できるのは己の知恵と仲間だけ。
理不尽すぎる世の中で、少年は生き抜くことができるのか。
傑作中華風ファンタジー!
また、
6月15日発売の月刊コミックジーン7月号(KADOKAWA)
では、
hagi「後宮に星は宿る~金椛国春秋~」
として漫画化もされたのでおすすめです。
目次
中華風ファンタジーとは
最近、
今作のような中華風ファンタジー小説が
さまざまな出版社から出されています。
人気作である小野不由美『十二国記』
などは有名作品ですね。
その中でも今回私がオススメしたいのが
篠原悠希『後宮に星は宿る』という作品です。
まずは中華風ファンタジーの説明
からさせていただきます。
中華風ファンタジーとは昔の中国をモデルにした
作品のことを指します。
皆さんがイメージする、
皇帝や中国風の服、食べ物、風水、
漢方などたくさん出てきますね。
今作でもイメージされたものが出てきます。
物語を通して多く出てくるキーワードは“皇帝”と“薬食”です。
昔の中国は“皇帝”が広大な中国を統治していました。
それを維持するためには法律とたくさんの役人が必要です。
主人公はその役人を輩出している名家に生まれました。
叔母が“皇帝”の妃に選ばれたことでその道は絶たれてしまいますが、
お膝元である後宮に潜り込むので幾度も“皇帝”が登場します。
また度々国を揺るがすような事件や後宮内での面倒ごとを
解決していく中で“皇帝”にお目通りすることもあります。
主人公に目を付けた宦官である玄月は
“皇帝”と幼馴染でもあります。
生きるための知識“薬食
続いて“薬食”とはなんでしょうか?
ご説明していきましょう。
主人公の遊圭は幼い頃から身体が弱く、
長く生きられないと医師に生きられない
と言われていました。
しかし、寮母の胡娘によって
族滅の危機まで生き延びてきました。
病弱でも名家の生まれの御曹司なので、
幼い頃から役人になるための試験を受けるために
勉強をしてきました。
さらに、病弱故に“薬食”も後宮などで学んで、
漢方や体にいい食べ物に詳しいわけです。
族滅の危機から逃れた後は、
後宮に潜り込んで女装をして生きていく
ことになりますが、
そうすると、
寮母の助けを借りることができず
自分の薬は自分で手に入れたり、
調合しなければならなくなります。
そうした中で家から持ち出した本などで学ぶのです。
私も興味を持ち、
本で少し勉強をしてみましたが奥が深く、
流石中国3千年の歴史と言われるだけ
はあるなと思いました。
また、薬ではなく普段の食べ物からも
日々の悩みである肩こりなどを解消することができる、
ということを知ることができました。
ドキドキと恋愛
一族が先帝の墓地に葬られる危機から、
一人逃げ出した主人公の遊圭を読んでいて
生き延びられるのかドキドキしながら
読み進めていきました。
無事に明々に匿われた後も、
なんと指名手配を懸けている敵の懐に
潜り込むようなことになります。
皇帝のいる後宮に女装をして潜り込む
ことになるのです。
見つかったら星家ということだけ
でも殺されるのに、
さらに女装をしているということでも
処刑されてしまうのです。
常に気の抜けない状況で物語は
進んでいきます。ずっとドキドキです。
また、明々とは普段からずっと
一緒にいるわけですから、
時々女性として意識してしまうこともあります。
これからの展開でお互いが結ばれるのか、
どうなのかはネタバレになってしまうので
言えませんが、
読者はお互いの心境を知れるので
どぎまぎしながら楽しむことが
できることでしょう。
果たして遊圭は生き残れるのでしょうか。
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