8月。
毎年この時期になると、
思い出します。
「戦争」のことを。
最近では、
戦争の悲惨さや残酷さを
身をもって体験して、
後世に語り継いでいる方が
少なくなってきています。
ただ、
「戦争」を体験していない
私たちのような世代でも
知っておくべきことだと思います。
そして、コロナ禍で
最近多くなってきている
自らを自らで殺めてしまう人へ
命の大切さ、
生きたくても生きられなかった人
がいることを
実感してほしいです。
今回は、
「戦争」がテーマの小説や
ノンフィクション本の
おすすめ10作品を集めてみました。
どれも心に残るものがある本
ばかりです。
目次
『戦争は女の顔をしていない』(著者:スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ)
ソ連では第二次世界大戦で100万人をこえる女性が従軍し,看護婦や軍医としてのみならず兵士として武器を手にして戦った.しかし戦後は世間から白い目で見られ,みずからの戦争体験をひた隠しにしなければならなかった――.500人以上の従軍女性から聞き取りをおこない戦争の真実を明らかにした,ノーベル文学賞作家の主著.(解説=澤地久枝)
ソ連では第二次世界大戦で
百万人を超える女性が従軍し、
看護婦や軍医としてのみならず
兵士としても戦いました。
五百人以上の従軍女性から
聞き取りを行い
戦争の真実を明らかにした作品です。
ノーベル文学賞も受賞しています。
最近、漫画化もされたので
合わせておすすめです。
この作品を読んで、
今の私達にとっては
遠くの出来事だった戦争と
いうものが
人種や時間の壁を越えて
戦争の悲惨さや
人間の残酷さを
訴えかけてくる作品
だと思いました。
戦争の悲惨さや残酷さだけでなく、
幸せな話や日常的な話、
子供の話などもあり
少しほっこりします。
当時の70年以上前の人たちでも
身近に感じられました。
また、女性がどのような思いで戦い、
祖国を守ったかということが
分かりました。
現代日本では感じえない祖国を
思う強い気持ちを感じた作品です。
『タッポーチョ 太平洋の奇跡「敵ながら天晴」玉砕の島サイパンで本当にあった感動の物語 』(著者:ドン・ジョーンズ)
1944年、太平洋戦争の末期、壮絶を極めたサイパンのタッポーチョ山で、命がけで民間人を守り抜き、自らの義も貫いた 日本陸軍の大場栄大尉(おおばさかえたいい)らの512日にわたる戦いを、大尉自らの監修のもとに、敵であった元アメリカ兵が書き上げた迫真の実録フィクションです! この2月に公開される映画『太平洋の奇跡 フォックスと呼ばれた男』の原作本の復刊です! 30年前、『タッポーチョ』が刊行されたときに、この本を読んだ若き日の映画のプロデュ―サ―が、「いつかこの話を映画にしたい」と思ったほどの感動の作品です。 戦争の実録フィクション(当時、存命だった関係者への配慮もあり、フィクションというかたちをとりました)ですが、歴史に埋もれた感動の物語です。 著者のドン・ジョーンズ氏が突然「大場大尉」と言って、私に電話をかけてきたのは、昭和44年だった。当時、彼は新潟のアメリカ文化センターの所長をしていた。すでに大場大尉と呼ばれることがなくなって久しかった私にとっては、その呼びかけは異様であり、不気味でさえあった。《中略》私は、ドン・ジョーンズ氏が気持ちのいい男であることもわかり、かって殺し合った仲だというのに、私たちの間には奇妙な友情が生まれた。 (大場栄大尉の「刊行に寄せて」より抜粋)
『太平洋の奇跡
フォックスと呼ばれた男』
という映画の原作となった小説です。
作者はアメリカ人ではありますが、
この作品の主人公でもある
大場栄大尉という人物の
戦いぶりを見て
筆を執ったそうです。
舞台は太平洋戦争のサイパン島、
アメリカ軍が攻めて来て、
終戦を迎えた後も
日本軍はゲリラ戦を継続しました。
その中である隊を率いていた
のが大場栄大尉という人物です。
そして、アメリカ軍からの降伏を受け、
「玉砕」のことばかり考えていたが
生き残ったものや民間人のことを
考え最後まで戦い
降伏したという話です。
大場大尉の決断や戦術など
“見事”としか言えないような
ものでした。
この作品はノンフィクションで
あるものの、
あくまでも
アメリカ軍の目線から
見た作品であるため、
大場大尉のことを作者が
特別視していたために
一部をフィクショナイズした
という話があるそうです。
しかし、この作品は
サイパン島での戦いを
忠実に描いていることや、
大場大尉という人物が
どのような人物だったのかを
知る重要な手掛かりに
なると思います。
大場栄さんは元は小学校の
教師で徴兵後、
日中戦争に参加し
サイパンでも戦ったそうです。
戦後は会社を建ち上げ、
政治家にまでなった
という話を調べていて
知り驚きました。
また、
水谷眞理 著 竹内康子編
『大場栄と峯子の戦火のラブレター』
という本でも大場大尉のこと
について人柄など克明に
描かれているため
合わせておすすめです。
『最強の狙撃手』 (著者:アルブレヒト・ヴァッカー)
狙いすました一撃が戦況を一変させる――
殺すか殺されるか、極度の緊張のなか、冷酷非情とも思える冷静さをたもつ狙撃手。
対ロシア戦線で活躍した若き伝説の狙撃手ゼップの物語。
スナイパーとはどのようなものか、どのような人間が向いているかということもわかる。
2007年発行の新装版。
第二次世界大戦の
独ソ戦に参加したドイツ軍の
狙撃手ヨーゼフ・アラーベルガー
(愛称ゼップ)の
戦時中の経験を描いた
ノンフィクション作品です。
主人公のゼップは
ドイツ軍のエーススナイパーで
非公式ですが257名の
赤軍兵士を狙撃したそうです。
この作品では
第二次世界大戦の東部戦線
(ドイツとロシアの戦線)
の様子が克明に分かること
やドイツ側からの目線での
作品は少ないため、
とてもいい作品だと思いました。
また、当時の戦時中の
一般市民の様子や軍内部の様子、
どのように赤軍と戦っていたのか
なども分かります。
私が最もこの作品を
読んでいて驚いたのは、
所々に当時の写真が
載っているところです。
従軍カメラマンなのか
兵士達が撮影したものか
分かりませんが、
鹵獲した銃や撃たれた傷など
グロテスクな写真もあるため
苦手な人はご注意下さい。
私も戦争の重い空気が
読んでいて伝わり、
読むのにとても時間が
かかりました。
『野火』(著者:大岡昇平)
死者達は笑っていた。
野火の燃えひろがるフィリピンの原野をさまよう田村一等兵。極度の飢えと病魔と闘いながら生きのびた男の、戦争という異常な体験を描く名作。
敗北が決定的となったフィリッピン戦線で結核に冒され、わずか数本の芋を渡されて本隊を追放された田村一等兵。野火の燃えひろがる原野を彷徨う田村は、極度の飢えに襲われ、自分の血を吸った蛭まで食べたあげく、友軍の屍体に目を向ける……。平凡な一人の中年男の異常な戦争体験をもとにして、彼がなぜ人肉嗜食に踏み切れなかったかをたどる戦争文学の代表的名作である。
作者の経験を基にした小説です。
敗戦が決定的となった
フィリピンのレイテ島で、
結核になり部隊を追い出され、
野戦病院からも拒否された
田村一等兵は飢え、
ただ行く当てもなく
戦場を彷徨います。
何か動物を食べて
飢えを凌ぐが、
簡単に見つかるものでも
なくただ目の前に広がるのは
燃える野原と仲間の死体だけ。
意図して狂気が描かれ、
読み手すらも主人公の
田村の様に飢えを感じる作品です。
描写は非常にリアルで
田村の経験や見たものを
読んでいる間、
実際に感じたような感覚
になります。
戦争というイメージにおいて、
ただ戦う、
銃を撃ち合うというイメージを
持ちやすいですが、
「食べる」ということもまた
戦いなのだと感じる作品です。
食べ物がないわけですから、
友軍であっても敵となり
芋を取り合う相手になります。
映画も原作どおりで、
ただただ辛い話です。
人によっては少し退屈に
感じてしまうかもしれませんが
戦争というもののリアルを
感じられます。
戦争文学の代表作のひとつです。
『永遠の0(ゼロ)』(著者:百田尚樹)
「娘に会うまでは死ねない、妻との約束を守るために」。そう言い続けた男は、なぜ自ら零戦に乗り命を落としたのか。終戦から60年目の夏、健太郎は死んだ祖父の生涯を調べていた。天才だが臆病者。想像と違う人物像に戸惑いつつも、1つの謎が浮かんでくるーー。記憶の断片が揃う時、明らかになる真実とは。
有名な百田直樹の作品です。
映画化されたことでより
有名になったと思います。
私も当時、劇場で映画を見て
それから原作の本を
読みましたが
なかなか面白い作品でした。
主人公の佐伯健太郎と
その姉でフリーライターの慶子
は太平洋戦争で戦死した
祖父・宮部久蔵のことを
調べ始める。
調べる中で元戦友達から
聞かされることは
「卑怯者」「臆病者」
と言われる中で賞賛する人など様々。
やがて点は繋がり生に執着し
「生きて帰る」と妻に言ったのに、
特攻という道を選んだのか。
過去と現代を同時並行して
物語は進みます。
最初この作品を読み始めた時、
なぜタイトルが
『永遠のゼロ』というタイトル
なのか分かりませんでした、
しかし、読み終わると
『永遠のゼロ』という
タイトルの意味が分かります。
フィクション作品ですが、
「特攻」とはどういうもの
だったのか
どのような思いで
ゼロ戦に乗って戦っていた
のかが分かる作品です。
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