石田衣良『池袋ウエストゲートパーク』おすすめ小説のあらすじと感想!TVアニメ化も

 

今回ご紹介する一冊は、

石田衣良

『池袋ウエストゲートパーク』

です。

メディアなどで社会評論家としてもご活躍なので、

そのお姿を拝見したことのある方も

少なくはないと思いますが、

本業は小説家の石田衣良さん。

作品は、クールな視点とエッジの利いた文章で人気を博し、

そこに見え隠れする人間の持つ弱さや脆さ、

またもっと奥にある誠実さや漲るエネルギー、

そういったものが複雑に絡まり合う著書の数々は、

多くの方の共感を呼んでいます。

そんな石田さんはコピーライターご出身。

36歳で小説家になることを決意し、

1997年に第36回オール讀物推理小説新人賞を受賞します。

その作品が池袋ウエストゲートパーク』です。

デビュー作です。

ドラマや漫画、お芝居にもなっているので、

タイトルは聞いたことがあるかもしれません。

2020年10月にはTVアニメとして放送される

ことも決定しています。

本書は『池袋ウエストゲートパーク』

その続編3編を加えた4編からなる構成で、

主人公マコトが読者に語り掛けるような

文体で綴られています。

池袋の裏側、いわゆるストリートに生きる若者たち

のスリリングで躍動感あふれる生命力

をお楽しみください。

 

 

 

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石田衣良『池袋ウエストゲートパーク』あらすじ

 

ミステリーの「今」を読みたければ、池袋を読め。刺す少年、消える少女、マル暴に過激ジャーナリスト、カリスマダンサー……駅西口公園、通称ウエストゲートパークを根城にする少年少女たちが、発熱する都会のストリートを軽やかに疾走する。若者たちの現在をクールに、そして鮮烈に描く大人気シリーズの第一作。青春小説の爽快感とクライムノヴェルの危険な味わいを洗練させ、新しい世代から絶大な支持を得て話題となった連続ドラマの原作。

 

池袋の果物屋の息子として育った

主人公のマコトは、

工業高校を卒業したばかりです。

仕事に就いていないので、

毎日池袋西口公園に入り浸っていました。

ここは少しカッコつけて

池袋ウエストゲートパークと呼ばれ、

若者たちの溜まり場です。

大小いくつものグループが存在し、

それぞれをリーダーが仕切っています。

しかし、ナンパ、ダンス、ケンカ、売春、大麻・・・

なんでもやりたい放題のここでは、

たびたび事件が起こります。

マコトはそんな事件と荒廃していく街に心を痛め、

池袋を守ろうと一肌脱ぎます。

トラブルシューターとして立ち上がるのです。

少女の失踪。不審な死。一体だれが? なぜ?

放っておけないマコトは仲間を伴い、

事件の真相へと迫ります。

事件を探っていく中でマコトたちが見たものとは・・・。

さらに、売春、クスリの密売、ヤクザとの関連

へと問題は広がり、

もはやピースメーカーと自称するマコトは、

命がけで池袋のストリートを守るため駆けめぐります。

生まれ育った大好きな池袋。

そのストリートのために、

今の自分にしかできないことは何だろう?

 

 

 

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繊細さと劣等感が突き動かす正義感と行動力

 

おそらく自分の人生の中で、

きっと関わることはないだろうと思われる人たち。

小説は、そんな人たちの生きる世界を

見せてもらえるので面白いですね。

この池袋ウエストゲートパークに登場する、

マコトはじめ、いわゆるストリートに生きる人たちも、

きっと私のリアルな人生では出会えそうもない人たちです。

しかしこうして彼らの考え方や行動を小説で読むと、

派手な外見で一見怖そうで近づきがたい

お兄さんたちの中には、

実は繊細で正義感に溢れ、友達を求め、

平和を好み、正しい熱い血のたぎった若者がいる、

ということがわかります。

そして彼らの心の奥には、劣等感という重たい

負のバネが作用していることも・・・。

彼らの行動は、本来持ち合わせている繊細さに

劣等感が重なって、それが原動力となって

突き動かされているように見えます。

エリートといわれる人たちとはかけ離れているけれど、

でも、今の自分の立場で、自分にしかできない何かがあるはずだ。

それは何だろう。いつもそう懸命に考え、

100万回でも考え、身も心もボロボロに

なるまで誰かの無念を晴らす。

答えが出るまでやり遂げる。

しかも最も凄いのは、

それらすべてが一つも利己のためではない

ということです。

自分は有償か無償かなんて関係ない。

自分が得をするのか損をするのかではなく、

ただ不幸な人が報われればそれでいい。

そのために動く。黙って見ていられないから。

その徹底したポリシーは、

目先の利益にいちいち目がくらんで、

すぐにそろばんを弾き始めてしまう私たち大人

には眩しくさえ映ります。

 

 

 

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開けられなかったドアを開けたとき

 

とはいえ、そんなマコトも熱いエネルギーを

常に発散させているわけではありません。

むしろ逆。

「ときどきマコトが氷みたいに冷たいやつだなと思うときがある。でも、そんなにクールなのはおまえの心のどっかが開けられないドアみたいになってるのかもな」

 

久々に会って、ある事件を解決するために

行動を共にすることになった中学の同級生からも、

こんなことを言われます。

マコトはどこか冷めているのです。

心の中に、人を寄せ付けない独房を

持っているように見えます。

しかしマコトは、いえ、だからこそマコトは、

誰かが発する「お友達」という言葉にとても敏感です。

友達ってなんだ? 仲間って?

そう自問しながら最後には、

選りすぐりのメンバーでパープルクルーという

グループを結成し、

その仲間と共に一つの目的を成し遂げるために奔走します。

マコトは何を感じ取っていたでしょう。

そしてその中に紅一点で加わった加奈。

加奈との初恋が一気に燃え上がったのは、

ヒカルや明日香には開けられなかった

マコトの独房のドアを、

きっと加奈だけが開けることができたから

に違いありません。

開けられないドアは、

もしかしたら誰の心の中にもあるのかもしれません。

それを開けたとき、何を失い何を得るのか・・・。

高校を卒業後から少しずつ成長を見せるマコト。

マコトや仲間や池袋のストリートが

これからどうなっていくのか、

ますます目が離せません。

 

「街の物語には終わりがない」

 

 

 

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