中村文則『R帝国』文庫版あらすじと感想(書評)「コロナ後の世界を描く?」

 

今回ご紹介する一冊は、

中村文則

『R帝国』です。

 

中村文則さんは

「土の中の子供」で

芥川賞を受賞した他、

 

「掏摸」では海外の文学賞や

海外の新聞社の

小説ランキングに

ランクインするなど、

 

国内外で高い評価

得ている作家です。

 

そんな中村文則さん作の

『R帝国』は、

近未来をテーマにした

SFデストピア小説

になります。

 

議席の99%を占める「党」が

絶対的な権力を

握っている島国の

R帝国に住む主人公は、

 

ある日隣国と戦争を

していることを知り、

その戦争に巻き込まれます。

 

その戦争に対して

何かがおかしいと

感じた主人公は、

敵国の兵士と出会い、

 

その兵士と協力して

「党」に対抗し、

本当の真実を

追求していく小説

になります。

 

それでは、

ネットの口コミでも、

非常に賛否両論がある

『R帝国』について

書評していきます。

 

 

 

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中村文則『R帝国』現代社会の悪い要素が詰め込まれている小説

 

「朝、目が覚めると戦争が始まっていた」

キノベス! 2018第1位、アメトーーク! 「読書芸人」で紹介
読売新聞、毎日新聞など各紙誌で賞賛の声!
全体主義の恐怖を描く傑作、待望の文庫化。

近未来の島国・R帝国。人々は人工知能搭載型携帯電話・HP(ヒューマン・フォン)の画面を常に見ながら生活している。ある日、矢崎はR帝国が隣国と戦争を始めたことを知る。だが何かがおかしい。国家を支配する絶対的な存在"党"と、謎の組織「L」。この国の運命の先にあるのは、幸福か絶望か。やがて物語は世界の「真実」にたどり着く。

 

『R帝国』では、

戦争や独裁政治、

人種差別や移民問題、テロ、

 

情報操作、

ネット上の誹謗中傷、

 

原子力発電の問題、

ウイルス兵器などの、

テクノロジーが

発達したことに

よって生じた問題や、

 

古くからある問題が

詰め込まれています。

 

それらのテーマを

網羅的に扱うことは、

テレビや新聞などの

メディアを通じては

難しいのではないかと感じ、

 

小説だからこそ

扱うことができたのでは

ないかと感じます。

 

実際に作者の

インタビューを読んでも

そのようなことを

喋っていました。

 

主人公と戦争の敵兵との

ロマンスの場面や、

ミステリー的な要素を導入し

 

物語として楽しめる要素

を入れることで、

多くの人がこれらの

テーマについて、

 

手軽に触れることが

できることは

いいことだと思います。

 

また、賛否両論が

起こる様なテーマを

扱っている中村文則さんは、

 

批判されることを想定

していたと

考慮に入れてこの作品を

世に出したことを考えると、

本当に伝えたい内容

なんだと感じました。

 

 

 

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中村文則『R帝国』本当にR帝国が未来の日本になるのか

 

『R帝国』のモデルと

なった島国は

間違いなく日本でしょう。

 

与党が政権の99%を握り、

与党が出した法案が

無条件で通るようになり、

 

国民に言論統制や

情報規制が

なされることになりました。

 

また、国民1人1人に

人工知能が搭載された

スマートフォンの様な端末の

HR(ヒューマン・フォン)

が与えられ、

 

その人工知能がネット上で

所有者の様な行動を

とるようになります。

 

その人工知能が、

ヘイトスピーチや

誹謗中傷を行うようになり、

 

ネット上はとても

混沌としたもの

になっています。

 

私自身は、正直、日本は

この圧倒的な独裁政権の

様な状態までには、

ならないと思っています。

 

SNSの普及によって、

政府が間違っているような

内容の法案を出せば、

 

反対の声が

上がるようになり、

国会の様子もある程度は

オープンに

されているからです。

 

しかし、

行き過ぎた民主主義が

このような独裁政権になり、

 

言論統制や情報操作が

起こる様な状態

になる可能性は考えておく

必要があると感じました。

 

 

 

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中村文則『R帝国』と香港の民主主義の弾圧から感じること

 

この書評を

書くことになって、

一番に思い浮かんだことは、

香港で起こっている

民主主義の弾圧です。

 

中国が

「香港国家治安維持法」を

施工したことによって、

 

民主化を促す動きや、

国家に対して

批判的な意見を

発信した人が、

 

最高で終身刑の罰則

を受けること

になってしまいました。

 

これは与党に権力が

集中しているからという

理由に他なりません。

 

そして、中国は周辺国に

対して領土を広げようと

武力行使を依然として

続けています。

 

その行為が

エスカレートすれば、

戦争になる可能性

もあります。

 

日本が今の中国の様な

状態になってしまえば、

私たちの本意とは関係なく

戦争に突入してしまう

可能性があると考えると、

恐ろしくなりました。

 

この香港の動きと

『R帝国』によって

日本人も対岸の火事ではなく、

 

もう少し政治などについて

しっかりと考える必要

があると強く感じました。

 

皆さんも『R帝国』

読むことによって、

現在中国で起こっている

問題に対して、

関心を持つ良いきっかけ

になるかも知れません。

 

 

 

 

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