今回ご紹介する一冊は、
沢木まひろ 著
『きみの瞳が問いかけている』
です。
沢木まひろさんは
東京都生まれの小説家です。
『二十歳の君がいた世界』
『1人の時間をご一緒します』
『もう書けません!中年新人作家・時田風音の受難』
等多くの著書があります。
彼女の小説には恋愛が
描かれている作品が多いようです。
どの年齢でも恋愛はできるし、
どんな環境に会っても
人を好きになることは
あきらめてはいけないと
言ってくれているようです。
この『きみの瞳が問いかけている』も
視力を失った状況下においても
元気にかわいく微笑める
明香里だからこそ塁は自然と
惹かれていったに
違いありません。
それぞれ抱えているものが
ありながらもお互いを求めて
大切にしていくという
そんな気持ちに感動しました。
映画化もされたのできっと
ヒットするこの小説について
お話していきます。
目次
沢木まひろ『きみの瞳が問いかけている』 アントニオ・篠崎塁
愛しているから、別れを選んだ――。胸がしめつけられる超純愛ノベライズ!
〇あらすじ
不慮の事故で視力と家族を失った明香里。
罪を犯し、キックボクサーとしての未来を絶たれた塁。
二人は出会い、恋に落ちる。暗闇で生きてきた二人が、初めて見つけた幸せな日々。
ところがある日、塁は明香里が失明することになった原因を知り、衝撃を受ける……。
逃れられない過去の影が運命を引き裂いていく中、おたがいに自分のすべてをささげようとする二人が選んだ結末とは。※児童向けノベライズのため、お子さんにも安心して読んでいただくことができます。
2011年の韓国映画「ただ君だけ」を日本版にリメイクした作品。
家族と視力を失うも明るく生活する明香里役を吉高由里子が、暗い過去を持つキックボクサー篠崎塁役を横浜流星が演じている。監督は、「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」「僕等がいた」を務めた三木孝浩。
実写映画『きみの瞳(め)が問いかけている』は、2020年10月23日(金)全国公開!
篠崎塁は4年程前まで
キックボクシングの選手でした。
その前までの地下格闘技
のリングにいたのを
コーチがジムに誘ってくれた
のがきっかけです。
彼のそんな活躍も昔の仲間
との関係から罪を犯すこと
になり捕まってしまいます。
柏木明香里との出会ったのは
それから4年後のことです。
職場の前任者と彼女が一緒に
ドラマをみていたことから
初日にも関わらず一緒に
みることになったのが始まりです。
彼女が視力を失っていること
にはすぐに気づき
“おじさん”には少し
傷ついたものの優しく
接することのできる人です。
塁はどちらかというと
表現があまりうまくない
タイプの男性です。
けれど明香里をみていると
癒されていたのは
間違いないようです。
彼女と一緒に住み始めてからは
再び目標にプロのキックボクサー
として賞金稼ぎをして
チャンピオンになるという
目標ができたのもあり
自分らしくなれたような
気がしていたのです。
けれど4年前の事故の真実を知ると
彼は自分自身を許すことも
できなくなったのです。
キット自分はいないほうが
幸せに暮らせるはずと考えて
彼女から離れていってしまいます。
まるで「ロミオをジュリエット」
のような恋愛です。
沢木まひろ『きみの瞳が問いかけている』 柏木明香里
柏木明日香は4年程前に
事故で視力を失ってから
みえないながらも
一人暮らしをしています。
彼女の仕事は大手家電メーカーの
カスタマーセンターで
「お客様相談室」での
電話対応です。
眼がみえないというのもあり
慣れてはいるものの
上司からセクハラを受けても
我慢しながら働いていたのです。
そんな明香里も塁のことを
一緒にテレビドラマをみる
仲のいい“おじさん”以上の
心地よさを感じていたのです。
塁が自分よりも年下と
知ったときはさすがに
驚いたけれど
彼の存在になにか安心する
自分が好きになっている
ような感じもします。
彼女がセクハラを
受けたのもあり
仕事を辞めた時も
責任を取ってくれるなんて
言ってくれると
キュンキュンしちゃいます。
明香里と離れて2年が
経つころに塁と再会
することになります。
塁に会ったときの飼い犬
「すく」がとてもかわいくて
やはり犬って忠犬ハチ公
のように覚えているものだ
と感動してしまいます。
彼女は塁が喜んでくれた
マッサージをするために
ボランティアをしたり
陶芸を活かした仕事をしたり
何とも素敵な人で
女の私もきっと好きになる
そんな優しさを
持っている人なのです。
沢木まひろ『きみの瞳が問いかけている』 椰子の実
音楽の授業で
島崎藤村の“椰子(やし)の実”を
聞いたことある人は
多いように思います。
「名も知らぬ遠き島より 流れ寄る椰子の実ひとつ」
この曲を聞いたり
口ずさんだりすると
明香里はなにかしら
家族に近づけるようで
心が安らぐそうです。
「故郷の岸を離れて 汝はその波に幾月」
なんだか私自身も
口ずさんで懐かしい
気持ちになります。
2年間も離れて暮らしていた
2人を再び結びつける
きっかけになった
“椰子の実”のオルゴール
の音色だったのです。
なぜなら2人とも
この曲には
何かしらの思い出が
あったからです。
金木犀の香りとともに
その音色を聴いた塁は
もう帰る場所がなくなって
しまったのだと
涙があふれるところに
私自身も
切なくなってしました。
けれど明香里にとって
その塁の行動は
自分の記憶の中の
パズルのピースを
はめることとなり
彼の顔をみたことがない
彼を特定すること
ができたのです。
塁が思い出のシーグラス
を握りしめて「椰子の実」を
口ずさみながら
海に向かって歩くという
そのシーンは
映画を観る前から
情景が浮かんできそうです。
懐かしい島崎藤村の
“椰子の実”を
聞きたくなったのは
きっと私だけでは
ないはずです。
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