有栖川有栖『妃は船を沈める』あらすじと感想!火村シリーズ17作目「魔性の女の欲望と猿の左手」

 

今回ご紹介する一冊は、

有栖川有栖(ありすがわありす

『妃は船を沈める』です。

 

本作は、

私が敬愛する有栖川有栖先生の

『火村英生シリーズ(作家アリスシリーズ)』

の17作目になります。

中短編と言いますか、

第1部・幕間・第2部の構成になってます。

 

火村英生シリーズはドラマ化もされていて、

俳優の斎藤工が演じるというイケメンぶりでしたが、

小説に登場する火村先生もクールで論理的で

若白髪が目立つイケメンなんですよ。

でもどこか闇が見え隠れするギャップも

良いんです。

 

 

 

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「お妃さま」は魔性の女

 

「妃」と呼ばれ、若い男たちに囲まれ暮らしていた魅惑的な女性・妃沙子には、不幸な事件がつきまとった。友人の夫が車ごと海に転落、取り巻きの一人は射殺された。妃沙子が所有する、3つの願いを叶えてくれる猿の手は、厄災をももたらすという。事件は祈りを捧げた報いなのだろうか。哀歌の調べに乗せ、臨床犯罪学者・火村英生が背後に渦巻く「欲望」をあぶり出す。

 

今回の主人公は、三松妃紗子。

彼女は、

いわゆる「魔性の女」ってやつです。

そして、そういう女性が

必ず幸せになれるかというと

まったくもってそんな事は無い。

「モテと幸せは直結しないんだな、

下手したら不幸になりかねない。」

などと非モテの私はこの本を読んで

安心したのでした。

三松妃紗子は、41歳だが30代半ばに見えて

ぱっちりした目が魅力的な女性。

少々大きすぎる口を除けば。

そう、若くはないんです。

「美魔女」というイメージでしょうかね。

その魔性の女は以前、保険のセールスで

多額の貯金を作っていて、今は株などをして

暮らしていました。

結婚はしておらず、

なんとも奇妙(不道徳とも言える)な生活

好んでいたのです。

それは、街で見かけた20歳前後の若い男の子を

拾うように集め、そばに侍らせるというもの

でした。

「妃紗子」という名前から、

「お妃さま(おきさきさま)」などと

男の子たちには呼ばれていました。

まさに、逆ハーレム状態です。

若い男性と話すと楽しいし、

可愛そうな男の子を保護しているから

不純な気持ちはないと彼女は主張しますが・・

そして、出入りする男の子たちは

コロコロ入れ替わるんです。

私は女性ですが、羨ましいというより

いやらしいなと思ってしまいますね。

 

 

 

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「猿の手」は願い事と引き替えに不幸をもたらす

 

その三松妃紗子がお金を貸していた男が

運転していた乗用車ごと海に飛び込んで

不審な死を遂げます。

その男には多額の保険金が掛けられていて・・

果たして、自殺なのか。殺人なのか。

その男の妻が最有力容疑者と

なりますが、真相は・・・

この事件を引き起こした引き金は

三松妃紗子が「魔性の女」だったから

と言えるでしょう。

例のごとく、火村先生によって事件は

解決される訳ですが、

火村先生と妃紗子はどうも相性が良くない

ようでした。

妃紗子自身、年下の男性好きですので

大人の男性からしても

ハマらないんでしょうかね。

妃紗子は、

「猿の手」と呼ばれる

「願い事を3つ叶えてくれるが、

見返りによくないことが起きる」

という猿の手のミイラを大切に

していました。

イギリス人のバックパッカーにもらい、

インドの行者の魔法が掛かっていると

いう不気味すぎるシロモノです。

妃紗子はどんな願いをしたのでしょうか?

 

 

 

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人妻になった「魔性の女」再び

 

第二部の『残酷な揺り籠』は、

なんと妃紗子が結婚していて

人妻になっていました。

あの逆ハーレムの生活を楽しんでいた

彼女がですよ!?

収まるところに収まったかと思いきや、

またしても「魔性ぶり」が事件を引き寄せます。

人妻になっても、「魔性」は顕在でした。

そして、火村先生や推理作家の有栖川とも

2年半ぶりに対峙します。

今度は自宅の離れで胸を銃で撃たれた男が。

殺害した犯人は誰なのか?

解決するポイントは、

現場の窓ガラスが割られていたことです。

予期しない地震が事件のときに起こった

がために、窓ガラスを割る羽目になった

とだけ言っておきましょう。

そして、

「その窓ガラスを割る必要があった人物」

は容疑者の中でも一人しかいませんでした。

かなり頭のキレる妃紗子と

同じく頭の回転が凄まじく早い火村先生との

対決は見ごたえがありますよ。

 

 

 

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妃紗子は「セイレーン」

 

この本のタイトルである

『妃は船を沈める』が意味するように

妃紗子はまるで「セイレーン」でした。

「セイレーン」とは、

ギリシア神話に登場する海の怪物で、

上半身が人間の女性で下半身が魚であり、

海の航路上の岩礁から

美しい歌声で航行中の人を惑わし、

遭難や難破に遭わせる。

 

そう、人魚です。

推理作家の有栖川有栖が、

妃紗子にこう言いました。

「あなた自身お認めになった心の歪みは、それだけでは個性にすぎないけれど、時に周囲の人間の心を決定的に歪ませるのかもしれません。」

 

世の男性の皆様、

人魚には注意が必要です。

 

 

 

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