島本理生『ファーストラヴ 』小説感想とあらすじ!映画化「直木賞受賞作」

 

今回ご紹介する一冊は、

島本 理生(しまもと りお)

『ファーストラヴ』

です。

 

単純に初恋を意味しますが

誰もが懐かしく

思い出せるわけでは

ありません。

 

人によっては苦い思い出

であるかもしれません。

 

ファーストラヴに

登場する人物は

甘さと苦さの

中間の思い出を

持っているような

気がしました。

 

序盤から読むのが

やめられないほど

引き込まれたのは

著者である島本理生さんが

稀代の恋愛小説家で

あられるところが

非常に大きいです。

 

個人的に遠い昔の記憶

ですが久々にときめく

本作品をあらすじを含め

恋愛観どっぷりで

紹介したいと思います。

 

 

 

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島本理生『ファーストラヴ』 あらすじ

 

 

夏の日の夕方、多摩川沿いを血まみれで歩いていた女子大生・聖山環菜が逮捕された。彼女は父親の勤務先である美術学校に立ち寄り、あらかじめ購入していた包丁で父親を刺殺した。環菜は就職活動の最中で、その面接の帰りに凶行に及んだのだった。環菜の美貌も相まって、この事件はマスコミで大きく取り上げられた。なぜ彼女は父親を殺さなければならなかったのか?
臨床心理士の真壁由紀は、この事件を題材としたノンフィクションの執筆を依頼され、環菜やその周辺の人々と面会を重ねることになる。そこから浮かび上がってくる、環菜の過去とは? 「家族」という名の迷宮を描く傑作長篇。

第159回直木賞受賞作。

 

 

臨床心理士真壁由紀は

ライターでもあるため

父親殺しの容疑者

女子大生聖野環菜を

取材することになります。

 

弁護人である庵野迦葉は

由紀の夫真壁我聞の従妹

であり実の弟のような存在

であります。

 

仕事の場で由紀と迦葉は

相まみえるわけですが

二人の胸中は何やら

軋む音がします。

 

どちらも事件に疑問を覚える

共通点を共有しながら

真相に近づくにつれ

軋み音の原因を

ほどいていく二重の展開

をみせるのです。

 

そうです。

 

ファースト・ラヴは

ミステリー小説でも

あるのです。

 

 

 

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島本理生『ファーストラヴ』 登場人物の魅力

 

帯で映画化されることを

知ったわけですが

正直ここまで配役が

気になった作品も

ないかと思います。

 

特に気になったのが

主人公真壁由紀のまさに

ファースト・ラヴの相手

でもあった庵野迦葉です。

 

硬い蕾のような

由紀の外見から

内面の危うさまでも

実にスマートに

はぎとったかと思えば、

 

愛を確かめ合う時には

逆に自らの脆さが露呈して

痛々しい新たな殻を

作るような繊細さを

見せるのです。

 

こんな男性に大事にされたい、

気にかけてもらいたいと

 

もうどうしようもないくらいの

かまってちゃんに

なってしまいそうな自分

を見つけました。

個人的に好みです。

 

反対でもないですが

由紀の夫である真壁我聞は

それはそれは深い愛を

もった男性です。

 

迦葉の様な男性は

初恋向きで思い出すたび

胸が痛くなる甘美な秘密

をくれますが、

 

我聞はそこはかとない愛を

生涯惜しみなく与えてくれる

そんな雰囲気があります。

 

 

身近にそんな素敵な男性がいる

由紀はやはり魅力的な女性

なのだと思います。

 

 

 

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島本理生『ファーストラヴ』 ミステリーの結末

ミステリーの結末というか

由紀と迦葉が関わった

環菜の事件の結末です。

 

結末というのも語弊があって

環菜の動機が家庭環境に

あったということですね。

 

よくよく人は「普通は」とか

「一般的には」など

世間の価値観の基準を表そう

としますがこれは実は

難しいことです。

 

なぜ難しいかというと

上の言葉を用いるには

比較をしなければならず

比較から結論まで根拠を

もたせるには数が必要なのです。

 

しかもそれが必ずしも

正しいとは限らない。

 

多いから正しいとは

言えないからです。

 

正しいといわなければ

ならないわけではありませんが

数で押そうというところですかね。

 

生まれつき目が見えない人は

それが当たり前の世界です。

その通りですよね。

 

比較することもありません。

 

だからといって違う世界が

あることを全く想像しない

でしょうか。

 

環菜の場合

養父のためにとモデルを

することは普通の事でした。

 

読んだ限りでは

他の子ともしくは

家庭と比較しては

いませんでした。

 

それが普通ではないことを

教えてくれる人も

いませんでした。

 

それなのに事件は

起きてしまった。

 

その途中でもそこから逃れようと

自傷行為をしたのは

どんな理由があったのか。

 

本能です。

 

自身が嫌な事と感じて

反応したのです。

 

普通じゃないからとか

一般的ではないからという

理由もなく

 

自分の心の声にしたがって

判断できることは

実に自由なことなのです。

 

環菜はそこで声をあげることが

できませんでした。

 

彼女の行動は許されること

ではありませんが

追い詰められた結果であり

今まで時間も方法も

色々あったのにと

やはり悲劇としか

言いようがありません。

 

『ファーストラヴ』

タイトルから、

 

「女の子のまわりにはいつだって偽物の神様がたくさんいるから。」

 

女の子に限ったことでは

ありませんが

ここは偏執的に

強くたくましい女性は

抜きにして

もろく傷つきやすい女の子を

対象にしておきます。

 

確かに偽物の神様が

たくさんいます。

 

信じたがっている女の子

ばかりです。

 

偽物だろうが選び放題ですし、

間違ったっていいのです。

 

どうせ偽物なのですから

これこそが本物!と

信じて疑わないのも自由です。

 

いつでも誰でも傷つくことも

間違うことにも

臆病になるものですよね。

 

傷つかないで全うしようと

することの方が難しいし

甘いと思います。

 

ファースト・ラヴとは

初めて偽物の神様を

自分で選択して信じてついた

傷の記憶と解釈しました。

 

対象は異性とは限りません。

 

ムキになってしまったほど

苦く胸が痛むものだと

思うからです。

 

本著で深く共感してもいいし

こういうパターンもあるよね、

羨ましい!

 

でもいいので是非女子に

由紀と感情を重ねたり、

自分目線であったりで

読んでみてもらいたい

と思います。

 

 

 

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