【書評】佐藤亜紀『天使・雲雀』あらすじと感想!おすすめSF歴史小説

 

今回ご紹介する一冊は、

佐藤 亜紀

『天使・雲雀(てんし・ひばり)』です。

 

SF歴史小説です。

元々は『天使』と『雲雀』

という別々の本でしたが、

好評を受けて2020年に

1冊の文庫本として発売されました。

 

このうち『天使』は

第53回芸術選奨新人賞を

受賞するなど、

芸術的な評価も高い作品で、

『雲雀』はその姉妹編である

短編集です。

 

作者の佐藤亜紀は、

ファンタジーノベル大賞や

吉川英治文学新人賞など、

名だたる文学賞を受賞する

小説家であると当時に、

早稲田大学や明治大学で

教鞭を取るなどしていました。

 

また、夫の佐藤哲也も

SF小説家であることでも

知られています。

 

第一次世界大戦開戦前夜を

舞台とした歴史小説であると同時に、

異能力者が登場するSF小説であり、

その二つの要素が見事に

融合した美しい物語です。

 

歴史小説が好きな方も、

SFが好きな方も、

どちらも楽しんでいただける

作品になっていると思います。

 

 

 

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佐藤亜紀『天使・雲雀』 あらすじ

 

『スウィングしなけりゃ意味がない』の著者が放つ歴史小説、合本版で登場!

生まれながらに特殊な「感覚」を持ったジェルジュは、オーストリアの諜報活動を指揮する権力者の配下となる(「天使」)。特殊な「感覚」を持つ工作員たちの闘いと青春を描く、姉妹篇2冊をまとめた決定版。

 

オーストリア=ハンガリー帝国領内

のボヘミア(現在のチェコスロバキア)

に生まれたジェルジュは、

人の心を読んだり、

操ったりする異能力を

持っていました。

 

しかし唯一の肉親であった父親

を失ったことで天涯孤独となり

帝国政府の高官の下に

引きとられます。

 

そこでジェルジュは

異能力を研鑽し、

国家のために使うことを

求められるのです。

 

ジェルジュは思春期の

多感な時期を、

異能力の訓練と基礎教養の

授業に注ぎ、

彼の周りにいたのは教師と

異能力を駆使して諜報などに

従事している男たちだけでした。

 

異能力を持っているせいで

同い年の友人や、

彼女を持つこともできない彼は、

反感から素行不良に

なったりもしますが、

やがて成長し任務を

与えられるようになります。

 

初めて彼が送られた先は

ロシア帝国はペテルブルクでした。

 

しかし、当時三国同盟に属する

オーストリア=ハンガリーと

ロシアは対立していました。

 

そこで彼は社会主義者として

活動するアルカージナと共に、

秘密警察の影に怯えながら

過ごすのですが、

やがて彼にも少しずつ

秘密警察の手が迫ります。

 

果たしてジェルジュは

どのような運命をたどるのか、

そして始まる大戦は彼に

どのような影響を与えるのか、

興奮をそそられる物語です。

 

 

 

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佐藤亜紀『天使・雲雀』 の魅力

 

この物語の魅力はいくつか

挙げられますが、

まず第一にジェルジュの

成長していく様子を

楽しめることでしょう。

 

幼く矮小だった少年が、

抗いがたい運命に

立ち向かっていく様子には、

とても胸を打たれるものがあります。

 

次に、その独特でありながら

魅力的な世界観です。

 

本作は歴史小説としての側面

を持ち合わせていますが、

舞台となるのは

第一次世界大戦直前のヨーロッパと、

小説の題材としては

比較的マイナーな世界です。

 

さらに、そこに異能力という要素

を合わせるとなると、

他に類を見ないかなり

挑戦的な試みと言えるでしょう。

 

しかし、この時代だからこそ

生み出せる物語の面白さが

存分に引き出されており、

異能力というSF要素も

物語を面白くする上で

欠かせない存在になっています。

 

歴史とSFという二つのジャンル

を組み合わせた作品ゆえに、

一見敷居が高いようにも

思えてしまいますが、

実は複数のジャンルの要素を

持ち合わせているからこそ、

多くの人に楽しんでいただける

作品です。

 

 

 

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佐藤亜紀『天使・雲雀』 のもたらす学び

 

この小説が描く第一次世界大戦直前

という時代は、

私たちのような現代の日本人

にはなじみが薄い時代

かもしれません。

 

今から100年以上前の

出来事である上に、

我が国は大々的に戦闘は

していないので

それも仕方がないことでしょう。

 

しかし、だからといって

この作品を敬遠してしまうのは

もったいなさすぎます!

 

第一次世界大戦の趨勢は

その後のヨーロッパに

大きな影響を与えており、

それこそが第二次世界大戦の

遠因と言われるほどですから、

学んでおくことは一つの教養

と言えるかもしれません。

 

そして何より、この小説は

エンターテイメントとして

とても優れており、

さらには芸術性も高い作品なのです。

 

つい先日文庫本が

発売されたばかりですから、

平積みにしている本屋さんも

少なくありません。

 

これを機に第一世界大戦の歴史

を学んでみると同時に、

ぜひともこの作品を

お手に取って楽しんで

いただきたいと思います。

 

 

 

 

 

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