汐見夏衛『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』文庫版あらすじと感想!泣ける平和な今とのギャップ

 

今回ご紹介する一冊は、

汐見夏衛(しおみなつえ)

『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』

です。

 

著者はWEB小説や携帯小説で

活動しています。

2016年に今回紹介をする

『あの花が咲く丘で、

君とまた出会えたら。』

でデビューしました。

 

著者のプロフィールには

鹿児島県出身。

 

高校国語教師としての

経験をもとに、

悩み疲れた心を解きほぐす作品

目指して、

日々執筆活動をしていると

掲載されています。

 

2017年には

『夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく』

で「野いちご大賞」を受賞しており

シリーズは累計17万部の

大ヒット作品となっています。

 

著書には

『だから私は、明日の君を描く』

『まだ見ぬ春も、君のとなりで笑っていたい』

『海に願いを風に祈りをそして君に誓いを』

『明日の世界が君に優しくありますように』

 

などがあり多くのファンを

獲得しています。

 

 

 

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汐見夏衛『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』戦時中の日本にタイムスリップした主人公がみるもの

 

親や学校、すべてにイライラした毎日を送る中2の百合。母親とケンカをして家を飛び出し、目をさますとそこは70年前、戦時中の日本だった。偶然通りかかった彰に助けられ、彼と過ごす日々の中、百合は彰の誠実さと優しさに惹かれていく。しかし、彼は特攻隊員で、ほどなく命を懸け戦地に飛び立つ運命だった――。のちに百合は、期せずして彰の本当の想いを知る…。涙なくしては読めない、怒濤のラストは圧巻!

 

主人公は中学2年生の少女「百合」。

百合は親や学校、

すべてにイライラした毎日を

送っています。

 

当然学校に親しい友達はおらず

先生に対しても反抗的でした。

 

ある日、百合は母親と喧嘩をして

家を飛び出します。

 

行くところも寝るところもない

百合はとりあえず隠れる場所を

見つけいつの間にか

眠ってしまいます。

 

そして目を覚ますとそこは

70年前の戦時中の日本でした。

 

なすすべもない百合は

偶然通りかかった「彰」

に助けられます。

 

彰と過ごすうちに百合は

彰に惹かれていきます。

 

しかし彼は特攻隊員で、

命を懸けて戦地に飛び立つこと

になっていました。

 

百合と彰の運命は。

百合は現世界に戻れるのか。

 

戦時中の日本の様子と

戦争に翻弄される人々

描かれています。

 

中学2年という多感な百合の感情を

著者はリアルに繊細に

描いていると思いました。

 

プロフィールに

高校での国語教師の経験がある

と書かれていて納得しました。

 

本書は難しいことはなく

大変読みやすく書かれていて、

戦争を描いたものが苦手な人でも

すんなりと読めるのでは

ないかと思います。

 

 

 

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汐見夏衛『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』平和な日本に生きるからこそ感じるギャップ

 

未来からタイムスリップした

百合は戦争の結末や、

特攻隊員の運命を知っています。

 

彰を始め人間付き合いが

うまくない百合に対して

家族のように親身に、

親切に接してくれる周りの人々が

たどる不条理ともいえる運命に

百合の心は揺れ動きます。

 

現代では当たり前な命の大切さや

戦争に対しての否定的な考えは、

百合がタイムスリップした世界では

「非国民」とされ、

「お国のために」と戦争に行く人々

とのギャップに

百合が戸惑う様子が

リアルに描かれています。

 

特攻隊員として

出撃をしていく彰、

彰に恋心を抱く

百合のふたりの若者

の誠実で真っすぐな姿

に胸をうたれます。

 

現代の日本でも、

戦時中の日本でも

人間の心は変わることはない

と感じました。

 

ただ戦時中は家族や愛する人

を思う心を

表立って表現することができなく、

 

それはどんなにも辛く、悲しく、

切ないものだったか想像すると

胸が切なくなります。

 

そんな中で真っすぐに

気持ちを表現する

百合の心がこの本を読む人に、

何かを訴えるのでは

ないでしょうか。

 

 

 

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汐見夏衛『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』不自由なく暮らせる今に感謝を

 

「生き恥ってなに? 生きたいと思うことは恥ずかしいことなんかじゃない!」

 

 

百合が言う言葉は現代では

決しておかしくなく当たり前の言葉

なのですが、

戦時中では言葉にする

ことさえ憚られます。

 

生きること、生き延びることを

叫ぶ百合に彰は

「俺は大事な人を守るために行く」

といいます。

 

そして「百合、生きてくれ」とも。

 

頑なまでの彰に

現代に生きるものに

とっては理解しがたいもの

がありますが、

戦時中ではその考えが当たり前

だったことに

胸が締め付けられます。

 

特攻隊として出撃する前夜

逃げようとする若者がいます。

「大切な人を守るために行く」ことも

「愛する人の隣にいるために逃げる」ことも

 

どちらも間違いではない

と思いました。

 

戦時中百合が身をもって

体験したことを経験した人たちが

今現在の私たちが住む

「平和な日本」を作り上げて

くれたことを、

忘れてはいけないと

心から思いました。

 

今も戦争はどこかでおきています。

 

不自由なく暮らせる今の生活に

感謝をしながら、

毎日を大切に

生きていかなければと

思わせてくれる本書

『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』

でした。

 

 

 

 

 

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