賽助『君と夏が、鉄塔の上 (ディスカヴァー文庫)』本の感想とあらすじ!ジャンルは青春ホラー

 

今回ご紹介する一冊は、

賽助(さいすけ)

『君と夏が、鉄塔の上』です。

 

夏になると「ひと夏の〇〇」

という言葉がよく聞かれます。

 

本書はちょっと変わった

中学生たちの

「ひと夏の青春」を

描いた物語です。

 

2020年の夏は、

例年ほど特別な夏を

過ごせていない方が多いと思います。

 

ぜひ本書を読んで、

爽やかな「ひと夏」を

思い出してみてください。

 

 

 

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賽助『君と夏が、鉄塔の上』 ちょっとだけ普通でない少年少女たちの「ひと夏」物語

 

鉄塔の上に、男の子が座ってる――

鉄塔マニアの地味な伊達(だて)は中学3年生の夏休みをダラダラすごしていた。
しかし登校日の学校で、破天荒な同級生、帆月蒼唯(ほづきあおい)から「鉄塔のうえに男の子が座っている」と声をかけられる。
次の日から幽霊が見えると噂される比奈山(ひなやま)も巻き込み、鉄塔の上に座るという男の子の謎を解き明かそうとするのだが――。

爽やかに描かれるひと夏の青春鉄塔小説! !

 

 

主人公の伊達は鉄塔オタク。

 

コミュ障ではないが

普段は積極的に誰かに関わりに

いくこともない、

地味な中学3年生。

 

今年の夏もいつもどおり

ダラダラと過ごすはずが、

 

破天荒で思いついたら

行動せずにはいられない

クラスメイトの帆月と、

 

同じくクラスメイトで

幽霊が見えるらしい比奈山と

気付けば毎日のように

顔を合わせていました。

 

 

公園から見える鉄塔の上に

男の子が座っているのが見える、

と言い張る帆月。

 

どうにかして真相を確かめたい

帆月は鉄塔に詳しい伊達と

幽霊が見える比奈山を巻き込み、

謎の解明に向けて

行動していきます。

 

3人とも10代半ば、

もう大人になったようでも、

中身はまだ中学生です。

 

大人からみればちっぽけと

思えるようなことで

真剣に悩んでいたり、

人知れず抱えた感情を

どう解消させて良いか分からず

悶々としていたり。

 

そんな3人ですが、

鉄塔の上に座る男の子の謎に

立ち向かい新たな経験を

積んでいくうちに、

少しずつ成長し

気持ちも変化していきます。

 

 

 

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賽助『君と夏が、鉄塔の上』 悶々とした気持ちを細かな描写で表現

 

本作品は、描写がとても丁寧です。

 

「この描写、

ストーリーと関係しないのでは?」

という部分も細かく

しっかり描かれています。

 

はじめのうちは先の展開が

気になってしまい、

そうした細かな描写が

無駄に思えて

じれったくなるほどです。

 

ですが、そのじれったさが

ちょうど3人の悶々とした気持ち

を表しているようにも感じました。

 

自分たちの意思だけでは

どうにもならないことがあったり、

また思春期ならではの、

大人になりきれない

もどかしさみたいなものが

感じられたりするような

気がします。

 

まだ中学生、高校生だったころ

の自分を思い出して、

懐かしくなることでしょう。

 

 

 

 

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賽助『君と夏が、鉄塔の上』 ホラーが苦手な方でも楽しめる爽やかな冒険小説

 

幽霊が見える男の子が

登場人物として出て来たり、

見えないはずのものが見えたり。

 

そんなエピソードが

出てくることからも分かるとおり、

この物語はホラー的要素を

含んでいます。

 

暑い夏はホラーで涼しくなろう、

と考える人も多く、

この季節にピッタリの

ストーリーになっています。

 

といっても、

ひとつ前の項でも書いた通り

本作品は描写がとても丁寧で、

景色や状況だけでなく

登場人物たちの様子や気持ちまで

詳しく描かれています。

 

ホラーならではの怖さは

あまり全面に出てこないので、

ホラーがあまり得意でない方でも

問題なく読めると思います。

 

実は私はホラーとか

心霊モノとかが苦手なのですが、

そんな私でも楽しく読めました。

 

 

 

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賽助『君と夏が、鉄塔の上』 特殊能力やマニアっぷりを肯定するストーリー

 

本作品に出てくる人物は、

みんなどこかしら変わっています。

 

伊達のように何かのマニアだったり、

比奈山のように特殊な能力を

持っていたりします。

 

彼らが自分の持つ知識や能力を

生かすことで、

謎が解明されていきます。

 

自分たちが学生だったころ、

マニアとか変わった能力を

持っている友達はグループに入れず

一匹狼のように過ごしていたり、

下手をするといじめの対象に

なったりしていたように思います。

 

本作品の中でも、

登場人物たちはみんな

「人と違う」ことを

気にして隠していたり、

それが原因で辛い思いをした

過去を持っていたりします。

 

ですが、謎を解いていく中では

特別な能力もマニアレベルの知識も、

すべて肯定されて描かれています。

 

能力も知識も、

持っていることは恥ずかしいこと

でもなんでもない。

 

誰かのために使うことで、

貢献できることさえある。

 

そしてそれ以前に、

みんな何かしら能力を持っていたり、

何かのマニアだったりするのだ、

 

というメッセージが

隠されているような気がします。

 

登場人物たちと同じ

中高生くらいの子供にも、

ぜひ読んでほしい1冊です。

 

 

 

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