奥野一成『ビジネスエリートになるための 教養としての投資』内容と書評!投資の教科書として最良

 

『教養としての〇〇』という本は

最近かなり本屋に並んでいますね。

所謂出版業界でのパワーワードなんでしょう。

本日ご紹介する一冊は

奥野 一成(おくの かずしげ)

『ビジネスエリートになるための 教養としての投資』

です。

投資なんて安い時に買って高い時に売るだけ、

教養なんているのかという批判も

聞こえてきそうですが、そうではありませんでした。

この本で語られるのは、

株式投資に代表される証券投資の

テクニックではありません。

確かにそれも多少は出てきますが、

投資というものをいかに捉えるかの姿勢です。

これから投資を始めようとしている方、

既に始められて自分の運用の仕方に悩みが

出ている方は、必読の一冊です。

 

 

 

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時間という有限の資源を最大限に活かせ

 

"人生100年時代、「老後に2000万円が必要」と言われて多くの人が絶望的な気持ちになっている。しかしはたしてそうだろうか? それはろくに「投資」を学ばず、お金を銀行に預けっぱなしにしてきたからではないだろうか。
日本人は投資を知らなさすぎる。投資と投機は違う。投資は危険なものではないし、いかがわしいものでもない。資本主義の健全な形態である。投資が盛んになり、優良企業にお金が集まるようになれば、日本の景気もよくなるはずだ。
農林中金バリューインベストメンツで抜群の実績を上げるCIOが、本来の投資のあり方とその哲学、長期投資のコツ、優良企業の見極め方などを、歴史的な背景や実例を交えながらわかりやすく解説する。

 

人生100年時代とは、

言われて久しい言葉です。

実際に、100歳まで生きる方は数年前と比べて

医療の進歩もあり格段に増えているそうですね。

現に、今の60代の方って凄い元気な

イメージがありませんか。

長寿とは人類共通の願いであることに

変わりはないですが、

その分人生に必要なお金も増加しているという事です。

曰く、最低でも2000万円必要であると

話題になりました。

老後2000万円問題というやつです。

その解決方法は、

通常20代前半から60歳までの社会人として

稼ぐ金額を出来るだけ増やすというのが一つ。

しかし、それでは足りなくなる場合もあります。

それを考慮し、著者は株式投資を進めています。

自分で働くのではなく、他人に働いてもらう。

これを資本家マインドと呼んでいます。

時間は有限です。自分の時間だけではなく、

他人の時間(他人の労働)も使って資産を

築いていかなければ、

100年の人生を豊かに生きていくことが

出来なくなってしまいます。

ですがまず20代は、自分の将来に投資をすることを

優先するべきだとしています。

もちろん株などの証券投資に回す十分な金額

があれば別ですが、

多くの人は社会に出ていきなり多額の余剰金が

あるとは考えにくいですね。

ゆえに自分が将来稼ぐであろう賃金を

増やすために自己投資を行うべきなのです。

英語などの語学、会計等ファイナンスの知識、

プログラミングなどがそれに当たるでしょうか。

一番やってはいけないのは、

自分にはコントロール出来ない他人の

に気をもむことです。

例えば、芸能人の過去のスキャンダルに拘ったり、

どうにもならない他人の将来に関して

心配をすることは自分の将来にとって

何のメリットもありません。

『嫌われる勇気』で課題の分離という考え方

が出てきていましたが、まさにそれです。

明日雨が降るか降らないか心配をしても

結果は変わりません。

私は私、他人は他人の精神です。

そして、将来の自分の価値、

自分の賃金を上げる自己投資を若いうちに

すべきなのです。時間は有限なのですから。

 

 

 

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株価ではなく、その会社が生み出す価値に注目せよ

 

株式投資と聞いて、

私はまずデイトレードが思い浮かびました。

マルチ画面でいくつものチャートと

にらめっこしながら

コンマ数秒逃さず売り買いを繰り返す。

これで一日数億稼いでいる人もいます。

しかし、著者曰く彼らは投資家ではない。

彼らは平日市場の開いている9時から15時まで

程度の差こそあれパソコンにつきっきりです。

つまり自分の時間を売って稼いでいるのですね。

では著者の言う投資とは何かというと、

長期投資です。

その長期が示す時間とは、

言ってしまえば永遠です。

投資すべき対象が見つかれば、

半永久的に持ち続けるのが

著者提唱の投資スタイルです。

株価というのは短期的に見れば人気投票ですが、

長期的に見ればその会社の価値を表します。

有名なウォーレン・バフェットの言葉ですね。

一番人気の株を当てるのが

短期的なデイトレードですが、

勝ちもあれば負けもあります。

数年続けて結局トントン、

乃至はマイナスという人がほとんどです。

将来的な資産形成にあたっては、

長期投資がおすすめです。

少し話が飛びますが、

会社の存在意義とは何でしょうか。

社員に給料を払う?違います。

社会に価値を与えるためです。

その価値を生み出すために、

社員がいるのです。

そう考えると、社会に価値を与えるための一員なのだと

仕事の意義も沸いてきますね。

社会に価値を与えるというのが

会社の存在意義であるならば、

将来的に価値を与え続けられる会社が

最も強い会社です。

そしてそれで利益を出せている会社が

投資すべき対象です。

では、それを如何に見つけるのか、

見ていきましょう。

 

 

 

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強靭な構造を持つ会社を選べ

 

世の中に必要とされているか、

高い参入障壁があるか、

長期潮流に乗っているか、

この3点が投資対象を選定するときに

見るべき点です。

デイトレードなどの持続性のない投資には

必要のない視点ですが、

持続的利益を目的とする長期投資には

必要不可欠な3点です。

例えば、ディズニーの例で見ていきましょう。

ディズニーがなければ、

映画館もデートも成り立ちません。

プレゼントに困ったときも

ディズニーキャラクターのぬいぐるみを

持っていけば喜ばれる事が多いと思います。

「大切な人に喜んでもらいたい」という誰もが抱く

欲求を解決してくれるのがディズニーという企業です。

社会に与える価値は十分じゃないでしょうか。

それでは高い参入障壁は?

これは言わずもがな、

今更ディズニーと勝負をして勝とうという企業

が出てくるでしょうか?答えは否。

だからこそUSJは大阪という場所を

その立地に選んだのだと思います。

最後に、長期潮流に乗っているか。

これは、人口動態などが分かりやすいですね。

人口は今後長期的に見て増加する傾向にあります。

統計局などの統計を見ると、

少なくとも2050年までは人口は増加するとされています。

つまり、ディズニーランドに行ったり、

ディズニーの映画を見る人は確実に増えていく

という事です。

世の中に必要とされているか、

高い参入障壁があるか、

長期潮流に乗っているか。

この3点を持つ企業は強いですが、

特に重要なのが高い参入障壁です。

経営とはすなわち、高い参入障壁をめぐるゲーム

であるというのです。

高い参入障壁がない企業は、

いずれ価格競争となり淘汰されていきます。

某ステーキ店が最近次々と閉店を余儀なくされていますが、

あれば参入障壁が低かったからですね。

 

 

 

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投資とは知の総合格闘技である

 

「投資は知の総合格闘技」つまり、

投資をするにあたっては多くの知識が必要

であるということです。

英語、会計、数学などの知識がなければ、

正確に会社の状況を読むことが出来ず、

長期的な読みを誤ってしまいます。

著者の会社では、どの企業に投資するかにあたって

約5年もの月日を費やすこともあるそうです。

それくらい様々な角度から分析をするのですね。

情報を分析するインテリジェンスさがなければなりません。

そう言った意味で、投資は教養がなければ出来ませんね。

楽して短期的に儲けることは出来ないと、

この本の中で何でも言われています。

株価などみなくてもいい、

見るのはその会社が強靭な構造を持っており、

それで利益を生み続けているか否かが

全てだとさえ言っています。

確かに、目先の株価には踊らされてしまう人が多いでしょう。

例えば、今般のコロナで株価は大きく下がりました。

しかし、コロナのように世界規模でウィルスが

蔓延することは過去にもありました。

それでも、長期的に見れば微々たる差異

言えてしまいます。

このような見解は、ウィルスの世界史などが

分かっていないと出てきません。

つまりここでも、教養がいるのです。

楽をして成功は出来ないと、

筆者は最後に語ります。

一生勉強。

投資を通して、人生を語ってくれるような1冊でした。

 

 

 

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