【書評】中山七里おすすめ新刊『復讐の協奏曲』御子柴シリーズ!あらすじレビュー

 

今回ご紹介する一冊は、

中山七里(なかやま しちり)

『復讐の協奏曲』です。

 

大人気中山千里による

「御子柴礼司」シリーズの最新作が

この『復讐の協奏曲(コンチェルト)』

 

『贖罪の奏鳴曲』、『追憶の夜想曲』、

『恩讐の鎮魂曲』、『悪徳の輪舞曲』に次ぐ、

5段の作品。

 

2年ごとに出版されていて、

しかも第5段まで出ていることを見るに、

御子柴礼司シリーズは

かなりの人気を博しているようです。

WOWOWでドラマ化もされています。

 

私は前4作品は未読状態でこの

『復讐の協奏曲』を拝読したのですが、

例え前4作読まずとも、

十二分に楽しめます。

 

御子柴礼司というダークヒーローが

何とも言い難い不思議な魅力を

放っている作品でした。

 

それでは、内容を紹介していきましょう。

 

中山七里『復讐の協奏曲』が、

こちらからすぐに読めますよ♪↓


中山七里『復讐の協奏曲』 元死体配達人・御子柴礼司と、この国のジャスティス

 

私の仕事は無罪にすることで、
真相を明らかにすることではない。

御子柴が元〈死体配達人〉だと知る
事務員・洋子が殺人容疑で逮捕された。

大人気「御子柴弁護士シリーズ」衝撃の最新刊!
12ヶ月連続刊行企画 第11弾!

一度心に巣くった獣は簡単に消えはしない――
めぐる因縁そして〈復讐〉の結末は!?

三十年前に少女を惨殺した過去を持つ弁護士・御子柴礼司。
事務所に〈この国のジャスティス〉と名乗る者の呼びかけに応じた八百人以上からの懲戒請求書が届く。
処理に忙殺されるなか事務員の洋子は、外資系コンサルタント・知原と夕食をともに。
翌朝、知原は遺体で見つかり、凶器に残った指紋から洋子が殺人容疑で逮捕された。
弁護人を引き受けた御子柴は、洋子が自身と同じ地域出身であることを知り……。

 

冒頭の「プロローグ」で語られるのは、

佐原みどりという少女が

殺されたという過去です。

 

おそらくモデルになっているのは

1997年に日本中を震撼させた

神戸児童殺傷事件。

 

みどりちゃんは、

「死体配達人」と呼ばれる犯人によって、

バラバラに切断され、

惨い姿で発見されてしまいます。

 

そして何より世間を驚かせたのが、

犯人が14歳であったこと。

 

その犯人の名は、園部信一郎。

 

所謂少年法に守られ、

被害者家族の望むような刑は受けずに

数年後社会に出てくることとなります。

 

園部信一郎に対し、

抑えきれない憎悪を抱く

佐原みどりの家族や友人。

 

そしてプロローグから、話は現代へ。

 

主人公は、弁護士御子柴礼司。

彼は、元死体配達人の男でした。

 

過去はどうあれ、弁護士の腕は上の上。

有名政治家からも弁護を頼まれるほど

の才を持っています。

 

ある日、弁護士会に御子柴礼司あての

懲戒請求書が届きます。

 

御子柴の身の上は、既に知れ渡っているので、

他弁護士からの懲戒請求は日常茶飯事。

 

しかし、今回届いたのは

「この国のジャスティス」と名乗る

ブログ主の呼びかけに応じた

「善良なる」一般市民からでした。

 

ねじ曲がった「善意」に反抗するため、

そして、賠償請求のため、

御子柴は「この国のジャスティス」

の正体を探し始めます。

 

何百と届く懲戒請求書を処理するのは、

御子柴弁護士事務所の日下部洋子。

 

そんな折、洋子は外資系コンサルタントの

知原とともに食事をするのですが、

なんとその翌日、知原が遺体で発見されます。

 

容疑者として逮捕されたのは、

日下部洋子。

凶器には、彼女のものが

ついていたのです。

 

そして、彼女の弁護を担当するのは、

御子柴礼司。

 

依頼人日下部洋子の容疑を晴らすため、

そして「この国のジャスティス」

の正体を突き止めるために、

動き出します。

 

 

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中山七里『復讐の協奏曲』 絡み合う復讐の2文字

 

元死体配達人という、

常識からすれば憎むべき人物

御子柴礼司ですが、

不思議と魅力的に映ります。

 

その言葉尻から浮かび上がってくる

知的な印象と、

どんな不利な状況でも弁護人の利益を

守ってきたという実績がある。

 

そして何より、依頼人という立場

ではありますが、

日ごろから業務を共にしてきた

日下部洋子を守ろうとするその姿勢。

 

冷酷、冷徹、非情という印象は

否めませんが、

過去に冒した罪をまた冒すようなこと

はないと思われます。

 

しかし、周りはそれを許しません。

 

『復讐の協奏曲』そのタイトルが示す通り、

復讐が今回のテーマです。

 

御子柴と名を変え、

弁護士という社会的地位のある職業に就き、

プラチナカードを持っても、

幼い少女を斬殺した

死体配達人・園部信一郎である過去

は変えられません。

 

死体配達人に殺された

佐原みどりの周りの友人、そして親族。

 

大事な者を殺された彼らにとって、

どれだけ時が経とうが

御子柴礼司は憎むべき人物。

死刑になるべき人物。

 

そんな男がのうのうと暮らしている。

それは、許されるべきことでありません。

 

それが現れたのが、

「この国のジャスティス」。

 

そして、知原が殺されたのも、

復讐によるものだったのです。

 

 

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中山七里『復讐の協奏曲』 メインテーマは洋子の過去

 

「この国のジャスティス」は、

佐原みどり殺しに、

非常にかかわりのある人物でした。

 

そして、知原は誰の手によって

殺されたのか。

日下部洋子の過去は。

 

なぜ御子柴が死体配達人と知りつつ、

ずっとそばにいるのか。

様々な謎が、最後に明らかになります。

 

やはり、裏にあったのは、

復讐の2文字でした。

 

御子柴礼司シリーズも今回で第5段。

日下部洋子という女性事務員の過去

を露わにしていくのが、

メインのようで、

他作品は御子柴の法廷闘争に対し

スポットライトが当てられている

みたいです。

 

確かに、初めて御子柴礼司シリーズを

読んだ私としては、

もう少し検察側との法廷での戦いが

見たかったですね。

 

今まで読んできた方々にとっては、

今まで謎だった日下部洋子の過去が

やっとわかると言ったところでしょうか。

 

後は、御子柴の人間らしさですね。

 

物語が後半になるにつれて、

彼が普通の人が持つような

感情であったり、

心の動きを見せてくれました。

 

衝撃的なプロローグではありましたが、

人は変わる事の出来る生き物である

という事を、御子柴と、

そして何より日下部洋子から教訓として

教わったような気がします。

 

 

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