中山七里『護られなかった者たちへ』映画キャストは佐藤健!書評とあらすじ!

 

今回ご紹介する一冊は、

中山七里

『護られなかった者たちへ』です。

 

この作品「河北新報」など

全国14紙に

2016年2月から2017年9月に

連載され、

NHK出版より

2018年1月25日

に発売されました。

 

東日本大震災から

9年がたった仙台で

起こった殺人事件を軸に、

 

日本の生活保護制度の限界

に迫る社会派ミステリです。

 

瀬々敬久監督、

佐藤健主演で映画化され、

2020年冬に公開予定です。

 

中山七里さんは2009年

『さよならドビュッシー』で

第8回「このミステリーがすごい!」

で大賞を受賞し、

 

斬新な視点と華麗な

どんでん返しで

“どんでん返しの帝王”

と呼ばれています。

 

この作品でも予想を

裏切らないどんでん返しが

用意されています。

 

 

 

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中山七里『護られなかった者たちへ』 衝撃的な死因が謎を解く鍵

 

佐藤健主演で映画化決定!!

佐藤 健〔主演〕阿部 寛/清原果耶/吉岡秀隆/倍賞美津子/林 遣都ほか
監督:瀬々敬久脚本:林 民夫企画:アミューズ配給:松竹

「あなたにこの物語の犯人はわからない」―― 中山七里

仙台市の保健福祉事務所課長・三雲忠勝が、手足や口の自由を奪われた状態の餓死死体で発見された。
三雲は公私ともに人格者として知られ怨恨が理由とは考えにくい。
一方、物盗りによる犯行の可能性も低く、捜査は暗礁に乗り上げる。
三雲の死体発見から遡ること数日、一人の模範囚が出所していた。
男は過去に起きたある出来事の関係者を追っている。男の目的は何か。
なぜ、三雲はこんな無残な殺され方をしたのか。 誰が被害者で、誰が加害者なのか──。
怒り、哀しみ、憤り、葛藤、正義……
この国の制度に翻弄される当事者たちの感情がぶつかり合い、読者の胸を打つ!

第三の被害者は誰なのか
殺害された彼らの接点とは
第三の被害者は
本当に“護られるべき者"とは誰なのか

“どんでん返しの帝王"中山七里が、日本の社会福祉制度の限界に挑んだ問題作!

 

 

事件は仙台市の社会福祉事務所

の課長が遺体で発見される

ところから始まります。

 

死因は餓死。

 

その衝撃的な死因に、

怨恨が疑われるますが、

被害者は恨まれるなど

考えられないとの評判の人格者。

 

捜査は暗礁に

乗り上げてしまいます。

 

作品は県警捜査一課の

笘篠誠一郎と

犯人かと思われる模範囚

の視点で話が進みますが、

 

捜査が進むにつれて、

被害者は本当に

被害者なのか?

という疑問すら首をもたげます。

 

犯人の動機はどこにあるのか。

 

その謎を解く鍵が、

餓死という回りくどい

殺害方法です。

 

本当にこれを映像化するのか、

と思うとぞっとします。

 

そして犯人については

本当に意外な人物です!

 

さすが“どんでん返しの帝王”!

 

いつまでたっても

どんでん返しされなかったので

少しもやもやしましたが、

 

でも最後の最後にちゃんと

やってくれました。

 

どんでん返し犯人から

解決までのスピード感は

清々しい程です。

 

 

その衝撃的な死因から、

動機については

「逆恨み」なんだろう

想像はつくけれど、

 

思っていた以上に

真相の闇が深い作品です。

 

ぜひ犯人の動機から、

事件の真相に

迫ってみて下さい。

 

 

 

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中山七里『護られなかった者たちへ』 社会福祉制度の闇に迫る

 

この作品で大きな鍵と

なるのは日本の社会福祉制度

についてです。

 

家庭で決して仕事の話を

しなかったという被害者。

 

捜査一課の笘篠は

「どんな仕事でも外部に漏らすことのできない陰の部分がある」

と考え、

 

〈当然の業務なのに恨みを買う可能性〉

があると

被害者の職場、

社会福祉事務所を訪れ、

生活保護の現実を

目の当たりにします。

 

「生活保護」と言うと

やはり良い印象がない

と言うのが正直なところです。

 

不正受給などの

ニュースを見る度に、

複雑な気持ちになります。

 

ですが社会の適正な

セーフティネットとして

機能していれば、

素晴らしい制度です。

 

それを維持していくために

最前線の社会福祉事務所の

人達がどんな思いで

働いているのか。

 

受給者たちはどんな気持ち

でいるのか。

 

本当に適切な社会保障とは

なんなのか。

 

最後の犯人のメッセージが、

きっと著者の一番伝えたかった

ことなのではないかと感じます。

 

ぜひ最後まで読んで、

少しだけ振り返ってみて下さい。

 

様々な問題提起をする、この作品は

正しい社会派小説です。

 

 

 

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中山七里『護られなかった者たちへ』 この作品は震災小説だったのか

 

冒頭、なぜ舞台が仙台で

なければいけなかったのか、

と思いました。

 

なぜ震災から復興を

しつつある仙台が

舞台なのかと。

 

生活保護の増加は

日本全体の問題であるから、

仙台である理由は

感じなかったのです。

 

ですが、きっとタイトルに

あるように、

あの東日本大震災の時

「護られなかった者たち」

がたくさんいたのだろう、

と想像します。

 

この作品は、

もしかしたら震災小説

と言えるのかもしれません。

 

作中にも震災の傷跡が、

たくさん描かれています。

 

この小説は決して

社会福祉制度を糾弾する

ためだけの作品ではありません。

 

護られるべき弱者を

どうやって護っていくか、

 

あくまでも問題提起の作品

だということを、

強くお伝えしたいです。

 

最後に著者の中山七里さん

があるインタビューで

おっしゃっていたことを

ここに引用させて

いただきます。

 

「事件の犯人はわかっても、物語の犯人は読み終えた後も誰にもわからない、現時点での最高傑作です!」
(週刊ポスト2018年2月16・23日号より引用)

 

 

 

 

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