誉田哲也『もう、聞こえない(幻冬舎)』感想とあらすじ!新刊おすすめ

 

今回ご紹介する一冊は、

誉田 哲也(ほんだ てつや)

『もう、聞こえない』です。

 

誉田哲也さんといえば、

姫川玲子シリーズ。

 

姫川玲子といえば

『ストロベリーナイト』。

 

そして『ストロベリーナイト』

といえば、

竹内結子さんでは

ないでしょうか。

 

先日の衝撃的なニュースは、

あまりにも突然で、

いまだ悲しみを拭いきれません。

 

姫川玲子シリーズは大人気を

博した警察小説で、

本書『もう、聞こえない』は

ミステリー小説ですが、

 

誉田さんは青春小説なども

多く手掛け、

特にジャンルを固定すること

なく幅広く書き続けていきたい

と語っておられます。

 

面白いのは、まったく別の作品に、

同一人物が何気なく

登場していたり、

それがまた時系列で

進行していたりする場面が

時々みられることです。

 

何冊か読んでみると、

そういう楽しみ方も

できるかもしれません。

 

 

 

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誉田哲也『もう、聞こえない』 あらすじ


 

「女の人の声が聞こえるんです」。
殺人の罪を認め、素直に聴取に応じていた被疑者が呟いた。
これは要精神鑑定案件か、それともーー。

身元不明の男性が殺害された。
加害者が自ら一一〇番通報し、自首に近い形で逮捕される。
これで、一件落着。
自分の出る幕はない、と警部補・武脇元は思っていたが……。

事件の真相に、あなたは辿り着くことができるか。
伏線に次ぐ伏線が織りなす衝撃のミステリー。

 

仲良しの幼馴染ですが、

まったくタイプの違う

二人の女性。

 

選んでいくものが違う中で、

それぞれの運命に二人は導かれ、

一人は高校卒業後、

殺されてしまうことに。

 

しかし犯人は見つからず、

14年たった今でも、

未解決事件のままです。

 

一方で、傷害致死容疑で

取り調べを受けている

被疑者の女性は、

犯行の状況や理由を聞いても

なかなか言葉を発せず、

 

ようやく口を開いたと思ったら

「声が聞こえた」

と言い出します。

 

少し前から、道路で、電車で、

それそれ事故や痴漢に

気を付けるよう告げる

警告の声が。

 

そして犯行時にも同じ声で指示が。

誰の?

それはわからないと。

 

この供述には、

さすがに警察も

困惑するばかりです。

 

被害者男性の身元も一向に

判明しないまま、

釈然としない事件ですが、

最終的には正当防衛が認められ、

女性は釈放されます。

 

しかし驚くべきことには、

一見まるで無関係のように

思われるこの二つの事件が、

時を越えて繋がっていた

ということでした。

 

そのカギを握るのは・・・。

 

 

 

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誉田哲也『もう、聞こえない』 何事にも先入観を持ったら見えるものが見えなくなります

 

男性作家さんのミステリーは、

難しい表現や硬い言い回しが

多いような印象が強いのですが、

 

この『もう、聞こえない』は、

ふと、女性が書いているのかと

思ってしまうような

柔らかい文章だったり、

また、時々クスッと笑ってしまう

ような場面もあったりして、

非常に読みやすかったです。

 

途中まではそんな調子で、

すらすらと入ってきたのですが、

ある瞬間から、その一行から、

 

突然、「?」が頭の中を

ぐるぐる回り出し、

ん?どういうこと?

じゃあこれは誰だったの?と、

そこまで読んで理解してきた

つもりだった内容が、

一気に乱れ始めました。

 

それは、先入観のせい

だったのですね。

 

そんなこと、一言も

書かれていないのに、

勝手に自分の思い込みで

読み進めていたことに、

 

後半になってハッと気づかされ、

最後の最後にそれが

すっきり整理された時には、

なんと気持ちよかったことか。

 

読者の心理を逆手に取った、

誉田さんの作戦勝ちですね。

 

まんまとやられたという感じです。

 

何事も先入観を持っては

いけないことを、

しっかりと学ばせてもらいました。

 

 

 

 

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誉田哲也『もう、聞こえない』 言霊はきっとあると思います

 

『もう、聞こえない』は、

ミステリーという

ジャンルですが、

ホラー的な部分も少なからず

あるように思います。

 

小説だしフィクションなので、

何でもアリなのですが、

もうこの世にいない人物が

現世に登場してきて、

生きている人物と交流したり

する非現実性は、

 

内容的に、

小説として受け入れられる人と、

いくら小説とはいえ

ちょっと違和感を抱く人の

両者がいるかもしれません。

 

本書には「言霊」ということが、

しきりに訴えられています。

 

幽霊を信じるか信じないか

ということはさておき、

言葉には魂がこもっている

ということ。

 

言葉にして発すると、

その瞬間から、

そこに乗せられた思いは

リアリティをもって

生きはじめる、

という理論です。

 

これは個人的に、

私もあると思っています。

 

そして、この世のすべてのことは

「言葉」によって

成り立っているという、

この作品の根本的なテーマ。

 

何かを表現しうるのも「言葉」だし、

それを知るのも伝えるのも

受け取るのもすべて

「言葉」によってである、

 

という理論展開からは、

作者の「言葉」への信頼や

強い信念を感じ取りました。

 

 

 

 

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