山本文緒『自転しながら公転する』新刊あらすじと書評!表紙もおしゃれ

 

今回ご紹介する一冊は、

山本文緒(やまもと ふみお)

『自転しながら公転する』です。

 

「共感度100%小説」、

まさにこの言葉がぴったり

の小説です。

 

500ページ近い

長編小説なのですが、

読み始めると時間を

忘れるほど夢中になってしまい

止まらなくなります。

 

恋愛だけではなく、

仕事、親の介護、友人関係など

至るところに共感ポイントがあり、

読む人すべてが一度は

主人公・都になって

この物語の中に登場しているような

錯覚を味わうことでしょう。

 

生きていく中で必ずつきまとう

不安や迷い、孤独や絶望、

嫉妬、自己嫌悪、不信感など

この小説を読み進めていくと、

本当に様々な感情が出たり

入ったりするため、

正直精神的な疲労感を感じて

しまうことは否めないのですが、

 

読み終えた
後に湧き上がってくる中々言葉では

表現できない温かな感情は、

今まで感じたことの

ないものでした。

 

あらすじを紹介すると

何かこの小説の価値を下げて

しまいそうで怖いので、

 

私がこの本から教えてもらったこと

を共有していきたいと思います。

 

 

 

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山本文緒『自転しながら公転する』 悩んだり、迷ったりしているのは自分だけではない

 

 

結婚、仕事、親の介護、全部やらなきゃダメですか
共感と絶賛の声続々! あたたかなエールが届く共感度100%小説!

東京で働いていた32歳の都は実家に戻り、地元のモールで店員として働き始めるが…。
恋愛、家族の世話、そのうえ仕事もがんばるなんて、そんなの無理!
答えのない問いを生きる私たちをやさしく包む物語。
7年ぶり、待望の長篇小説

 

 

「なんで自分だけこんなに辛い目に

合わなければいけないのだろう」

と思った経験は誰しも

あるのではないでしょうか。

 

この物語の主人公・都も

そのうちの一人で、

どうしても会社の同僚や

地元の友人が自分よりも

幸せに見えてしまい、

そこから何の根拠もない妬み

やひがみを相手にぶつけて

しまうのです。

 

しかし、よくよく話を聞いてみると、

幸せそうに見えていた人たちも

様々な事情や背景を抱え、

自分と同じような

負の感情と共に生きていること

に気づかされるのです。

 

そして、それに気づいた時には、

「自分だけ」と悲観していた

自分が恥ずかしくなり、

情けなくなります。

 

「あなただけじゃないよ」と

この本を読んでいる読者

という立場だと客観的に

励ますことができるのですが、

 

主人公・都に降りかかる

様々な出来事があまりにも

普段の自分の生活で

起こり得るものばかりなので、

 

「結局自分も都の状況になったら、

同じことを想うのだろうな」と、

ふと現実に引き戻されてしまいます。

 

ただ、逆を言うと、

こんなに辛い目にあっている都

がいるからこそ、

「自分だけではないんだ」

と勇気をもらって明日から

生きていけるのかもしれません。

 

 

 

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山本文緒『自転しながら公転する』 すべては捉え方次第だ

 

この物語の中で、

主人公・都の身に本当に

色々なことが起こります。

 

都は非常に素直でまじめなため、

その起こったことすべてに対して

正面から向き合い、

ああでもないこうでもないと

一つ一つ考えて抜いていくのです。

 

その思考回路や心情の動きが

丁寧に描かれているため、

読者も同じようにすべてに対して

向き合っていくことになるのです。

 

だからこそ共感できる部分が

多いということに

繋がっていくのですが、

 

もしかすると、

「あれ、自分とは違う考え方だな」

と感じる部分もあることでしょう。

 

私はそれもこの本の魅力だと

思っています。

 

ある出来事に対して、

主人公の考え方、

感じ方と読者自身の考え方、

感じ方を比較して読み進めていくと

より一層この物語の世界観に

浸ることができるはずです。

 

また、あまりにも考え方が

凝り固まってしまうと

他の考え方ができなく

なってしまうので、

 

ふと一息ついて冷静になって

別の角度や別の視点から物事を

捉えてみると意外とそう大したこと

ではなかったと

思えるかもしれません。

 

この物語に出てくる登場人物は、

色々な性格のキャラクターばかりで、

色々な物の捉え方をしているので、

 

結局は「捉え方次第なのかもしれない」

と少し心を軽くさせて

くれるはずです。

 

 

 

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山本文緒『自転しながら公転する』 結局最後は、自分を信じるしかない

 

悩んだり、迷ったりしているのは

自分だけではない。

 

そして捉え方次第で大きく

変わることは理解できた。

 

それでは果たして何を道しるべに

何を信じて決断し前に

進んでいくべきなのでしょうか。

 

読み進めていくとこういった

疑問が浮かんできます。

 

この物語はこのような疑問にも

きちんと答えを見つける

手がかりを与えてくれている

と思います。

 

物語の終盤に待っている

登場人物のそれぞれの

生き方を見れば、

それが分かってくるはずです。

 

この本はもちろん小説であるのですが、

人間とは何なのか、

正しい生き方とは何なのか、

幸せとは何なのか、

 

そういった哲学的な要素も

考えさせられる本であると言えます。

 

それらの大きな問いに対して

明確な答えを与えてくれる訳

ではないのですが、

 

自分や自分の人生について

考えるきっかけを与えてくれる

ことは間違いないでしょう。

 

私個人的には、読み終えた今、

「自分が考えたことや感じたことを信じて、

前に進んでいこう」

と心の中で燃え始める何かを

感じることができています。

 

 

 

 

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