今回ご紹介する一冊は、
赤川次郎 著
『焦茶色のナイトガウン』です。
赤川次郎さんといえば、
推理小説が有名ですね。
『三毛猫ホームズシリーズ』や
『三姉妹探偵団シリーズ』は、
映像化されていて
ご存じの方も多いかと思います。
本作に登場する
杉原爽香(すぎはらさやか)も、
長年続くシリーズの主役として、
多くの読者から
愛され続けてきました。
1988年の一作目
『若草色のポシェット』では、
爽香はまだ15歳でした。
その後毎年シリーズ新作が発表され、
爽香も律儀に年をとっていく
というスタイルで、
現在まで作品が続いています。
今回は47歳になった爽香が主役です。
タイトルに必ず取り入れられる
「色」にも注目です。
今回は「焦茶色」のナイトガウンです。
タイトルの意味が物語の
どんな鍵を握っているのか、
読む前から楽しみになりますね。
物語のあらすじと見どころを
ご紹介いたします。
目次
赤川次郎『焦茶色のナイトガウン』 殺人事件と家事
15才で同級生の殺人事件に
巻き込まれた爽香は、
それ以来、
なんらかの事件に必ず
巻き込まれる
(首をつっこむ?)
ようになります。
ふだんの爽香は、
福祉施設の創設や都市開発など
に取り組むキャリアウーマンで、
くたくたになるまで働いています。
そんな多忙な中でも、
遭遇した事件の関係者を
放っておけず、
ついつい世話を
焼いてしまいます。
今回の事件は、
主婦が自宅で殺された
殺人事件です。
逮捕されたのは、
爽香の高校の
同級生・井田和紀でした。
井田の娘・梨花から相談を
受けた爽花は、
もちろん放っておけずに
親身になって話を聞きます。
井田の事件から間もなくして、
爽香は仕事帰りに
火事の現場に遭遇します。
なぜかそこでも巻き添えを
食った爽香は、
火元の風俗店に勤める伽奈(かな)
と美幸に出会い、
彼女たちの世話も
焼くことになります。
ただの雑居ビルの火事に
思えた現場には、
出火前から殺されていたと
みられる男の遺体が発見されます。
しかも遺体は、
有名な国会議員の息子でした。
絡み合う二つの事件が
同時に進んで行き、
事件慣れした爽香の勇敢な物語
がスタートします。
赤川次郎『焦茶色のナイトガウン』 物語の軸は「お節介」
杉原爽香の物語は、
事件に巻き込まれるだけでなく、
爽香がお節介なところが見どころです。
夫の明男や、爽香の仕事を
サポートする久保坂あやめは、
事件に首を突っ込んでいく
爽香を引き止めながらも、
そんな爽香の性格を
気に入っています。
爽香は、長年事件に
巻き込まれただけあり、
事件を嗅ぎつける勘の鋭さと
肝のすわった性格が男前です。
刑事を前にしてもひるまないし、
ピンチの時に救ってくれる
殺し屋の知人もいます。
爽香だけでなく、
あやめもなかなか堂々とした性格で、
爽香の影響を受けているよう
に感じます。
父の無実を証明するために
単独捜査する梨花や、
火事に巻き込まれた伽奈も、
どこか逞しくて好感をもてる
キャラクターです。
強い存在感のある
女性たちの姿が描かれていて、
そんな彼女たちみんなに
安心感を与える爽香の
キャラクターが、
長年読者に愛されているのも
納得です。
赤川次郎『焦茶色のナイトガウン』 爽香の姪・瞳の恋
今回は事件と並行して、
爽香の姪である瞳の恋模様
が描かれています。
爽香の亡き兄の娘ということもあり、
爽香はなにかと瞳を気にかけています。
瞳には繊細な部分があり、
強い女性たちに対して、
この繊細さも物語に
引き込まれるポイントになります。
本作は、杉原爽香シリーズを
初めて読んだ方も、
すんなりと楽しめますし、
1作目から爽香の成長を辿って
読んでいくのもまたオススメです。
爽香は波乱万丈な人生を
歩んでいるので、
年代ごとの爽香の心の変化も
感じることができると思います。
まるで2時間物の
サスペンスドラマのような
スピーディーな展開で、
夢中で読み進められる物語です。
読み終わるころには、
すっかり爽香のファンに
なっているでしょう。
読後は、48歳になった爽香の活躍
が待ち遠しくなってしまいました。
みなさんもぜひ一度、
杉原爽香の物語を
読んでみてください。
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